意地を賭けた不毛なる争い
三好先生が言った
「創部記念パーティーにパートナーを連れて来てもいい。」
の言葉は
「パートナーを連れて来なければならない」
↓
「独りで参加してたまるか!」
と女子サッカー部は一年女子を中心に無駄な闘志を燃やしていた。
フラれ女・柳生恵里菜の場合
あ~当日になって私だけ独り、ってなったらどうしよう?
って悩む私、結城翔子は憧れのあの人と一緒に居たれたら幸せだけど、あの人がもし誰か別の女性を連れて来たら…って考えるのが怖い…。
「何で!?神は死んだの?
あんなに愛してたのに!」
部室で号泣する柳生さんはもうお馴染みの光景になってきた。
馴れって怖い。
おしとやかな島先輩が柳生さんを慰める
「今度は誰にフラれたの?話くらい聞いてあげるわ。」
「いきなり核心を突かないで下さい!…まぁそうですけど…。
…貴史に『パートナーとしてパーティーに参加して!』って言ったら、『ごめん、そんな関係じゃないから』って」
「え~?冷たい男ね~。」
「毎日、宿題見てあげたのに!ノートを取って、お弁当も作ったのに!」
「へ~、尽くすタイプなのね、柳生さんて。」
「私のこと『彼女の次に好き』って言ったのに!『彼女より優しいよ』って私に言ってくれたのに!だから勇気を出して誘ったのに!」
「…す、凄い勇気ね…。」
「なのに何で貴史は私じゃなくて彼女を選ぶのよー!」
「…それが普通だとおもう…よ。」
柳生恵里菜の闘いは続く。
良妻賢母・島敦子の場合
「島先輩はいいですよね。
大学生の彼氏さんなんて憧れです~。勿論、パーティーに来るんですよね?」
「…それがね、日曜日のデートでそれを言おうとしたら…。変な女に追けられてて…。」
「えー?彼氏さんのストーカーですか?」
「二人でカフェに入った途端、私を指して『この女誰よ?』って。」
「えーまさか浮気…?」
「そしたら彼が私を『あぁ、離れて暮らしてる妹だ』って」
「酷い!それって先輩の方が…。」
「腹立ったから『いつも兄がお世話になってます!お兄ちゃんの子供を妊娠したらお祝いして下さいね!』ってビンタしてやったわ!」
「え~、パーティー前に破局なんて悲しすぎです~。」
「えっ?別れてないわよ。私が殴ったのその女だし。
彼にはタップリお仕置きして、パーティーにも参加するように言っといたわ、みんな楽しみにしててね。」