生物教師 三好真理亜の華麗なる日常
朝
「おはよう。お寝坊さん♪」
朝日よりも時計よりも、目覚めたら一番に私を見て欲しくて、じっと徹の寝顔を見ていたらやっと起きてくれた。
「もう、こんな時間かよ!起こしてくれたら良かったのに!
いつもの電車間に合わないよ!」
慌てて着替えを始める徹。
男の支度は早くて羨ましい限りだわ。
「私の車なら十分に間に合うわよ。」
「さすがに学校まで一緒は不味いだろ!」
もう制服に着替えて鏡に向かう徹。
自慢の長髪をセットする仕草はそこいらの女子より手間がかかるかも(笑)。
「あら、大丈夫よ。適当な所で下ろすから。遠すぎたら全力でダッシュね。
遅刻はダメよ♪」
「だったら早く起こせよ!」
「あら、昨夜私を寝かしてくれなかったのはだぁれ?
徹ったらあんなに私を…。」
「用意出来たから車の準備を!!頼むから急いでくれ!」
「昨夜のこと思い出したら何か熱くなってきたみたい~。
ねぇ、もう一回…。」
「い・そ・げ!」
そう私、生物教師・三好真理亜は生徒の榎田徹と付き合ってる。
恋に理由は要らないの。
たとえ徹が一回り年下の高校生でも。
私が死んだ弟の夢を見てうなされて目を覚ましても、何も言わず手を握り続けてくれる徹を死ぬほど愛してるわ。
大好きな人と同じ枕で寝ても悪夢を見てしまう私を徹は丸ごと受け止めてくれる。
授業中
「…で、あるからしてABO方式における血液型によればA型とB型からO型は十分に産まれるわけで…。
男子は女子の浮気を疑わないように!いいね~。」
「三好先生!まず高校生の妊娠を想定しないで下さい!」
「冗談よ内藤さん、じゃあ、保健の授業の続きは内藤さんと真田くんが…。」
「しません!冗談はそれくらいに早くテスト範囲まで進めて下さい!」
「はいはい、五組の武田くんは乗ってくれたのに~。」
…私より先生らしい内藤さんと真田くんは大好きよ♪。けっこう本気だったのに(笑)。
「先生、私の彼氏が~超冷たいんですけど~」
昼休みになれば女子生徒から途切れることなくこんな恋愛相談を受ける。
私はいつも
「女は常に誇り高くありなさい。他人の評価や見栄や自慢じゃない、本当の意味で己の尊厳を身に付けなさい。それが良い女ってものよ。」と言ってあげる。
えっ?私が女子サッカー部の顧問になった理由?
鍛え甲斐のある生徒が集まったから?
徹の傍に居たいからよ♪