「私が試合なんて無理よ!
ちゃんと人数居るじゃない。」
「この試合は女子サッカー部設立記念のお披露目だ。素人の京子が入ることで私達の成熟度がアピールしやすい。」
そうですね、確かに…。
全く、恋愛には奥手なクセにサッカーになると瑞穂は強引なんだから!
「それとハンデとして女子のキーパーは榎田にしてもらう。
そっちは真田がしろ。
最後に!私はこの試合で前回の借りを返すからな。」
男子サッカー部vs設立仕立ての女子サッカー部の試合が始まった。
この2ヶ月で男子は急成長し、女子は参加者が増え続けた。
(私達は未だに進展しない三角関係なのに!)
「恵!ヘディングはこうするんだぜ!」
「あっ!ダーリン素敵!でもいけない、今は敵よ!」
…最近になって武田主将と中島さんが「ダーリン」「恵」と呼びあうようになったけど…うん、聞くのが怖いからスルーしてます(笑)。
武田君は覚醒した。
勿論、瑞穂の指導もあったけど、自称・高坂瑞穂の一番弟子を名乗る小管健吾君と言うパートナーを得たことが大きい。
あ~サッカーって何でこんなに走るの?文系の私に無理よ!
「飛び込め京子!」
「ちょっと!遠いじゃない追い付けないわよ!」
え~と確かスルーパスってのが瑞穂から蹴られたけど運動苦手な私は追い付けずスッ転んで観衆の笑いを買ったじゃない!
もう!だからサッカーなんて嫌い。
でも相手選手前で転んだのを審判が勘違いして反則とってくれたわ。
サッカーっていい加減ね。
フリーキックが瑞穂から蹴られた。
ボールは真っ直ぐ私に向かっててくる。
「瑞穂のバカ!何で私を狙うのよ~。」
「よっ!京子。残念だがお前の活躍はないぜ。」
キーパーのまー君が、私との間にあるボールを目掛けて飛び出して来た。
嬉しいけど今は来てほしくない。
一応ボールを追いかけたつもりだけど、突然不規則に曲がったボールは、まー君も見失なったみたい。
だからまー君来ないで。
危ないじゃない。
危ないって!
ちょっと、こんな所で押し倒さないで~!!
…口唇まで…奪わないでよ…。
ハイ、事故です。選手同士の接触プレーの延長です。
生徒会長と副会長のキスはいけません。
示しがつきません。
でも瑞穂の
「借りは返す。」
と言ったことが気になります。
それ以上に瑞穂がわざとまー君の態勢を崩すボールを蹴って、私達をキスさせた小悪魔かどうかが気になります。
(一部完)