日給月給で働いていたハルカにとっては仕事をクビになったという事がその時点で収入がストップするという事に繋がる。
それ程余裕のある生活をしていたとは思えない状況での収入ストップはいくら嬉しい事でも笑い事では無かった。
「早急に会って今後の打ち合わせをしよう。」とハルカに伝えた。
「はい、宜しくお願いします。」と答えたハルカはやはり不安の中にも開放感を感じている様子だった。
基本的には昼の仕事に戻りたいと言うハルカだったが、それだけの収入で生活をしていける状況では無かった。
昼の仕事を始めるとしても給料計算の締め日から給料日までの期間は全くお金を手にできない状況となる。
やはり一時は日払いを手にできる仕事に身を置くしか生きて行き様が無い。
そして日払いを手にできる仕事。
風俗か水商売。
会って話す前に電話で何度か話をした。
ハルカ自身も彼氏に隠さなければならない仕事に嫌気がさしていたのだろう。
「もしどうしてもお金の為にやりたいというならば風俗の仕事も紹介はできるけれど、これを機会に風俗は上がった方がいいと思う。」という僕の言葉にハルカも同意した。
「友達と一緒に新しくオープンするマッサージ屋さんで働こうと思っています。その面接が今度あります。」とハルカは言った。
僕は現実を突きつける。
「給料はいくらだい?」
「最初は時給800円スタートで頑張れば1000円に上がります。」とハルカが答えた。
日給で6000円にも届かない。
「それだけじゃ生きていけないよ。」
現実は甘くない。
僕が東京で水商売をやっていた頃、身一つで上京してきた女の子を世話した事が何度かあった。
まず考えなければいけないのは月々の最低必要金額。
それが意外にも多いのが現実だ。
ハルカに指示をする。
「会う日までに月々生活の為に必要な金額を弾き出しておいて。家賃、保険、税金、年金、ローン、生活費、雑費等。それぞれのできるだけ正確な数字を出してから色々と考えた方がいい。」
そして僕は一つの選択を迫られる。
水商売の「日払い」という力を借りなければ絶対に凌ぐ事ができない状況。
それは簡単に把握できた。
問題は何処で働かせるかだった。
水商売は僕の専門分野。
どの様な形でもハルカの力になれる。
もちろんハルカには彼氏がいるという事を理解はしていたが、ハルカに対する僕の熱い想いが消えた訳では無かった。
もしハルカを自分の店で働かせるならば、ハルカを一流のホステス・女性に育て上げる自信が僕にはあった。
完璧なフォローもできる。
しかしハルカに対する想いは断ち切らなければならない。
「自分の店に女を作るという事。好きな子を作るという事は御法度。」
それが僕の業界のルール。
店のトップである僕がルール違反をする訳にはいかない。
近くにいれば離れなければならない。
離れなければ近くにはいられない。
僕にとっての残酷な選択肢。
ハルカはきっと僕の事をただの良い人程度にしか想っていないのに僕は自分の夢を選択した。
「ハルカにもっと近づきたい・・・。」
今思えば自分勝手な夢だった。
「ハルカは知り合いの店に預けよう。」
そう決断した。
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