二ホンイノシシ(以下猪)は、ツキノワグマと同じく本州に1種類の猪の仲間である。
本州では、ツキノワグマと並んで2強となる、野生の頂点に君臨する哺乳類だ。
体長は1~1.7m、体重は80~180kgで、ツキノワグマとほぼ同じ体格である。
時速40kmで走り、垂直に1m跳べる事から、かなり馬力のある動物と言える。
牙は15cm程になり、包丁のような切れ味がある為、
攻撃されたら一たまりもない。
●猪の危険性
猪は雑食性で、知能が高い哺乳類である事は熊と共通している。
しかし、生活圏がより人間に近い事もあって、熊に比べ人里に出没する危険性が高い。
猪は本来臆病な生物で、出会い頭でなければ積極的に人を襲う事はない。
だが学習能力が高く、生ゴミなどの餌に執着し易い。
増して、餌を与えるなどの行為は御法度。
人を恐れなくなった猪は、買い物袋を持った人を襲撃するようになる。
市街地で多くの人が襲われた例もあり、死亡例もある。
猪を決して侮ってはいけない。
●猪に遭遇したら
対処方法は熊と共通する。
遭遇しても刺激せず、背中を見せないように向かい合って後退する。
万一襲われたら木や建物などの高い所に避難する。
熊とは違い、木に登れないのが幸いだ。
子供の猪には近付かない、音で存在を知らせる点も熊と同じ。
●豚と猪
豚は家畜化した豚であり、猪とは同一種。
雑種は猪豚(イノブタ)と書く。
豚も猪同様の危険があり、農家で豚に襲われ大体動脈を損傷し、
失血死してしまう事故もあった。
狩猟採集時代、猪は貴重な蛋白源だったが、
人類が農業を始めると家畜化されるようになった。
中国・朝鮮では新石器時代から用いられ、
日本列島では西暦200年代~600年代に大陸からもたらされた。
その後、仏教が広まると殺生禁断の思想により養豚は衰退。
明治になると、近代的な大規模な養豚が始められた。
富国強兵の足掛かりとしても振興されたのである。
1939年には国内の豚は115万頭に達したが、第二次世界大戦により衰退。
戦後直後には8万頭に数を減らした。
戦後の復興により数も回復。
1960年にはアメリカより欧米原産の大型品種が導入され、
その後も品種改良により、効率的な生産体制が確立された。
現在、肉豚として消費される豚は2千万頭である。
●家畜化する猪、野生化する豚
豚は猪から自然に派生したものではなく、
人間が人為的に作り出した品種なのだ。(人為淘汰)
もし人類が養豚を止めたとしたら、人間の下を去った豚は野生化して、
何世代も掛けて猪に戻るかも知れない。
人為的に作り出された動物は、人類がいなくなり、飼う人がいなくなれば、
自然の修正力で押し返される運命にある。
その証拠に、福島の避難区域ではイノブタが発生して問題になっている。
家畜の豚が脱走し、野生の猪と交配して生まれたイノブタが、
無数に生息しているという。
●調べて分かった事
猪は古来より人間の餌食であったが、
丸腰の人間では逆に餌食にされてしまいかねない。
猪も熊と同様、無暗に干渉せずに棲み分ける事が重要だ。
ところで、豚は「鳴き声以外全部食べられる」と言われる経済的な動物で、
知能も高く、ペットとしても家畜としても使える多目的な動物なのだ。
猪は単なる野生動物となってしまったが、
豚は現在も貴重な蛋白源に他ならない。
それだけに、口蹄疫で22万頭もの豚が処分された出来事は、心を悲しくさせる。
処分された事にとやかく言っても仕方ないが、口蹄疫のそもそもの要因は、
人間側の利益しか考えていない現代の養豚産業の理念そのものだと思う。
もっとも、人口爆発の危機が日に日に迫る中で、
食糧資源を浪費する畜産は飽和点に近付きつつある。
人は豚を手放すのか、よりクリーンな産業構造を築くのか、
選択すべき時が来るかも知れない。
参考URL
https://inoshishi.etc64.com/
http://www.iza.ne.jp/topics/events/events-9365-m.html
http://www.jppa.biz/rekishi.html