今日は母の田舎に来ている。
玄関先にたつポプラの木や、居間に飾られたキジの剥製を見ると、思わず「ただいま!」と言い出したくなる母の田舎。
残し物を求め台所をさまようGさんや、お菓子の食べカスを求め居間をさまようGさんや、
縁の下に建設されているであろう秘密基地(Gの巣)へ行くのに玄関先ですらのうのうと歩き回るGさんが、「お帰り!」と告げてくれるようだぜ。母の田舎。
俺が台所で、古き善き全盛期の遺物ビデオ神を見ていたら——
G「……」
——さっそく現れやがった。Gにじーっと見つめられた。
俺「!?」
俺は咄嗟に机の上に飛び乗る。ビビってるとかそういうのじゃないからな。
やつの動向を探るためだ。そう、それだ。
やつは動かない。触角を上下左右、動かし回るだけだった。
こないだでた亜成体とはちがう。今度のはモノホンの成体。大きさにしてやく二倍。
俺「(おいいいい頼むよどっかいけよおおおお。せめてそこから動けええええ。いや、チキってるとかそういうわけじゃないけどおおおお)」
俺「(Gとじーっくりビデオ鑑賞会なんてしたくねえんだよおおおお。ちくしょおおおお)」
俺はやつが襲ってこないよう、そーっと、足を下ろし机をおりる。ビビチキってるとかそういうのないけど。
ゴキジェットを持ってくると、ふたたび定位置へ。
するとやつは居なくなっていた!いやっほう!……と思ったら、食器棚の影に頭をつっこんで黒ムウェルなお尻をこちらに覗かせていた。
頭隠して尻隠さず……三歳時の妹がかくれんぼのときにするそれとは明らかにかけ離れていた。
食器棚にジェット噴射しようものなら、洗い立てのお皿がジェットの速度でゴミ袋行きとなる。
俺は仕方なく、食いかけのおせんべいをちぎって、そいつの近く(半径30センチメートル)に投下する。よく30センチまで手を伸ばせたな俺。いやビビンバチキンってるとかそういうのないけど。
そして、ゴキジェット片手にやつがそのおとりに食いつくのを待つ。
しばらくすると——
G「……」
——案の定姿を現した黒い影。
俺「そこだっ!!」
ジェットを噴射! 逃げ惑うG! しかしやつは倒れない!
俺「それっ! そこっ! とどめ!」
そこから追い討ちをかける三噴射! やっとこさ、やつはひっくり返った。だがまだ足をバタつかせている。
ガタンッ! 俺は机をおりると、置いてあった新聞紙をまるめ——
俺「ゴキブリ……貴様にとって大事なモノはなんだ……?」
俺「そうだ、命だあああ!!!!」
——いっきに叩き潰す!!
やつはとうとう動かなくなった。
俺はやつの体液がついてしまった分の新聞紙の一面で、やつをくるむと、窓の外へG can fly ! 放り投げる。
俺「フッ…」
俺「フッハッハ…! 見たかG! いやさ、じーっと見たかG! この俺の活躍を!」
俺「これに懲りたらもう二度と……いやちがうなっ! 何度でもかかってくるといい、この先貴様らの天敵として君臨するのはこの俺さまだあ! Gーク俺! Gーク俺!」
俺「さて! ビデオの続きを見るとするかあ!」
俺「……ってあれ?」
無敵の将軍、Gークフリートが台所に戻ると——
二匹のG「……」
——二匹のGが机の上で、食いかけのおせんべいに食らいついていた。
俺「Gーク!! ビビンバチキン——!!!!」
悲鳴をあげると、寝室目掛け風になった←