自民党の作った安保法制に関するアニメ動画は、ひげのおじさんが「徴兵制はありえない。だって・・・」という発言で終わる。
なぜ理由を答えないのか、そこで説明が終わってしまうのか、それとも説明できないのか、不安と同時に恐怖すら覚えさせる内容となっていることで、話題だ。
ありえない、理由はいくつか考えられる。
一つはこの記事のような「経済的徴兵制」と呼ばれる事実上の徴兵制。
苦役は強制しない、あくまで志願するもののみ、としながら、学費免除、給与支給などのアメで「自ら志願させる」というもの。
ちなみに、防衛医大も、防衛大も、そこそこの学力が問われるので、それに比例して貧困層はそれさえも享受できない可能性がある。
つまり、自衛隊になる人は、「普通に進学して、普通に大学に行く」レベルの中間層でもある。
そうした中間層でさえ、大学を出ても、正社員に就き、ずっと働ける保障のない時代になるので、自衛隊の志願者はおそらく、自衛隊のリスクが高まったとしても変わらないだろう。
そうした一定の志願者数によって、わざわざ徴兵制にする合理性なんてないという「強気の発言」が成り立つ。
また、システムが高度化している、軍事技術の高度化、というのも、安倍総理自身が上げている理由の一つだ。
徴兵制で、数年兵役させたところで、高度な軍事技術に理解が追い付かず、合理的でなく効率が悪い、という論理だ。それは、本当にその通り。
一方で、そうした専門性の高さは、別の観点からも懸念が考えられる。
研究職に対する軍事研究費の助成、サイバー攻撃の防衛や軍事システム開発、通信傍受など、専門性の高い理系職のプログラマ等の徴用である。
「日本は絶対に徴兵制にはならないことを数字で証明してみましょう」なんていうあほな記事を書いている人もいたけれど(リンクすらしたくない・・)、兵隊の数じゃなく、情報戦が重要とも言われているし、いまどき無人機で攻撃もできてしまう中、結局重要なのは軍事システムや軍事工学になってくる。
そうしたシステムや機械工学、さらには軍需産業、武器の製造を行うのはだれか、という話になってくる。そうした軍需産業において、二次請負、三次請負といった従来通りの工業社会が成り立つとしたら、多くの貧困層は武器などを製造する労働者として、「戦争をする国」に加担することになるだろう。仮に、その武器を日本が使わなくても、世界のどこかの紛争でそれが使われる可能性は大いにある。
いまや「脅威」は領土、領海だけに限らず、宇宙空間、サイバー空間にも及ぶ、というのは首相の言でもあり、安保法制の趣意書にも記載がある。
そうした脅威に対する「防衛」、そしてそうした脅威が他国に及び、日本に飛び火しそうな可能性があるとき、「兵隊」ではない多くの民間人が登用されるリスクを想定していまうのは、杞憂なんだろうか。
こうした懸念とともに、文系学問の縮小、理系分野の推進をうたう教育改革の話を聞くと、ますます憂鬱な気分になる。
徴兵制はあり得ない。だって・・・の先に続く言葉。
だって、しなくたって十分に軍事力を高められる素地が固まりつつあるんだから。
やっぱり全然大丈夫じゃないし、不安しか残らない。
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