『のぼうの城』 著/和田 竜(小学館) | LOVIT & THE VANTLINES

『のぼうの城』 著/和田 竜(小学館)

のぼうの城/和田 竜

¥1,575
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戦国期、天下統一を目前に控えた豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じた。
そのなかで最後まで落ちなかった支城があった。
武州・忍城。周囲を湖で取り囲まれた「浮き城」の異名を持つ難攻不落の城である。
秀吉方約2万の大軍を指揮した石田三成の水攻めにも屈せず、僅かの兵で抗戦した城代・成田長親は、
領民たちに木偶の棒から取った「のぼう様」などと呼ばれても泰然としている御仁。
城代として何ひとつふさわしい力を持たぬ、文字通りの木偶の棒であったが、
外見からはおおよそ窺い知れない坂東武者としての誇りを持ち、
方円の器に従う水のごとき底の知れないスケールの大きさで、人心を掌握していた。
武・智・仁で統率する従来の武将とは異なる、新しい英傑像を提示したエンターテインメント小説。


この本は文句なしで面白かった!

日本の歴史的には、そこまで有名な武将ではない「成田長親」の物語。

成田長親とは、当主・成田氏長の従兄弟で、無表情で、無駄に背の高い大男で、
のそのそと歩く姿から、「でくのぼう」を略して、当主の従兄弟であるのにも関わらず、
家臣はおろか百姓達からも「のぼう様」と変てこりんなあだ名で呼ばれているが、
本人は全く気にしていない。

本名で呼ぶのは、身内・重臣のみで、運動は滅法苦手な上に、
馬にさえ乗れない。 農作業が好きで、よく領民の百姓作業を手伝いたがるが、不器用なため、どちらかというと迷惑をかけている。
長親が百姓仕事を手伝うと、手直しに三日はかかるという・・・。
こんな感じで何をやってもうまくできない長親。
だからこそ長親は、領民からも部下からも、
「わしらがちゃんと見てやらんとどうしようもないなぁ」と、
お情けに近い状態で慕われているんです。

ですが、この「のぼう様」が完璧なキャラクターで、
元々映画化を意識しての作品とあってだけに、
登場人物のキャラクター達もかなり個性的で、
各々のファンなんかが出て来てもおかしくないほどです。


ちなみに・・・・・
正木丹波守利英(まさき たんばのかみ としひで)
成田家一の家老。長親とは幼なじみ。幼い頃見た、上杉謙信の姿に触発され、武芸の鍛錬に勤しんだ。
長親に潜在的な将器があるのではと思っている。

柴崎和泉守 (しばさき いずみのかみ )
成田家家老。筋骨隆々とした巨漢。20歳以上年の離れた妻との間に6人の子どもがいる。
丹波の持つ朱槍が欲しく、少年期から常に丹波と張り合っている。

酒巻 靱負(さかまき ゆきえ
成田家家老。22歳。「隙あらば襲ってみろ」と丹波にからかわれたことがあり、
所構わず頻繁に実行している。多数の兵法書を読み漁り、
自称・毘沙門天の化身だが、今回が初陣。



あらすじは、周囲を湖に囲まれ、浮城とも呼ばれる忍城(おしじょう)の、
領主が、こののぼう様なんです。

天下統一目前の豊臣秀吉は、関東最大の勢力北条氏の小田原城を落城しようとして、
豊臣側に抵抗するべく、北条氏政は関東各地の支城の城主に篭城に参加するよう通達する。
支城の一つであった忍城主の氏長は、北条に従うように見せかけ、
裏で豊臣側への降伏を内通し、篭城作戦に参加していた。

「武州・忍城を討ち、武功を立てよ」秀吉にそう命じられて、
豊臣の二万の大軍が押し寄せてきます。
その時なにを思ったのか、
こののぼう様は降伏するどころか、気の抜けた声で、

「戦いまする」

と戦うことにしてしまうのです。


総大将たる長親には、将に求められる智も仁も勇もない、正にその名の通り、
でくのぼうのような男。主だった将兵は小田原へ赴いていた。
三成率いる二万超の軍勢に、百姓らを徴発して二千強の成田氏。
果たして勝機はあるのか。


こんな感じのお話で文中に長親が言う言葉に、


「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。
 これが人の世か。それが世の習いと申すなら、このわしは許さん」


これはカッコ良すぎます!!

かなりアガります!!


今までの歴史小説の次元を遥かに超えた作品です。


「坂東武者の槍の味、存分に味わわれよ」