今年の世界フィギュア女子は浅田真央選手がショートプログラム2位から逆転で優勝した。


フリーでは最初に跳ぶはずのトリプルアクセルを転倒で跳べなかった。


しかし、そこから強靭な精神力でその後のプログラムをこなし、見事逆転でトップにたった。


転倒を除けば、ほぼ完璧な演技で彼女のポテンシャルがいかに高いかを示してくれたように思う。


昨年優勝した女王・安藤美姫選手は当日の練習中に左足の脹脛を痛め途中棄権した。


安藤選手は常にケガとの戦いだった。


昨年の世界選手権は優勝できたものの、今期は昨年11月のNHK杯でもジャンプにミスが目立った。


彼女のフリーの演技が見れなかったことは残念だったが、アスリートとしては棄権することも勇気である。


早くケガを治して来期はまた素晴らしい演技を見せてほしいと思う。


日本選手というよりは全体で最も素晴らしかったのが中野友加里選手


フリーのエントリーは最終滑走、ラストに観衆総立ちのパーフェクトな演技を見せた。


メダルに届かず4位だったのは残念だったが、コンビネーションジャンプが2回とも3回転、2回転ではしかたがない。


ひとつでも3回転、3回転があればメダル、または逆転優勝もあったかもしれない。


しかし、今期これまで彼女は3回転、3回転は取り入れていない。


本人も言っていたようにあれが今できる最高の演技だったのだろう。


それにしても一昨年代打で出場したNHK杯優勝からここまでの成長は目を見張るものがある。


それまで安藤美姫選手や浅田真央選手の陰に隠れて存在すら知らなかった彼女は毎年ひとつひとつ階段を登るように自らに課せられた課題をクリアしてゆく。


今期のトリプルアクセルの成功は最も安定感があった。


ぜひ来期は3回転、3回転のコンビネーションジャンプをマスターしてほしいと願う。


表彰台の3人の選手はすべて3回転、3回転を入れているのだから。


世界でトップを目指すには必要な課題である。


中野友加里選手は一年ごとに力をつけ、もしかしたら2年後のオリンピックで大輪の華を開かせるかもしれない。


日本選手以外では銀メダルのイタリア、カロリーナ・コストナーは精神面の成長が見られ、一度のミスを後に引きずらなくなった。


本来持っている潜在能力は高いだけに今後も楽しみな存在である。


銅メダルの韓国、ユン・ソナ選手は彼女が持つ女性の柔らかさ、たおやかさを演技で見せてくれた。


同世代の浅田真央選手とよく比較されるが、浅田選手がスピードと高い技術に裏打ちされた演技なら、彼女は全身から滲み出る表現力としなやかさで観衆を魅了する。


今回も腰痛に悩まされていたようだが、フリーではさすがの演技を披露した。


それにしても優勝した浅田真央選手は精神的になんと強いことか。


転倒してその後の演技であれだけのパフォーマンスをできるのはアスリートとして優れている証拠。


追いこまれれば追いこまれるほど、実力を発揮する。これまでの日本人にはいないタイプのスポ-ツ選手である。


昨年の悔し涙が強靭なメンタルと卓越した表現力、ステップ、エッジワークを作り上げたのだろう。


これで日本人選手は2年連続世界チャンピオンになった。


2006年のトリノオリンピックの荒川静香選手から数えれば3年連続で世界大会優勝者の誕生になる。


またフィギュア熱が高まるだろう。


いちフィギュアスケートファンとして、2年後のバンクーバーまでこの勢いを繋げていってほしいと思う。


そして最後に、浅田真央選手、ほんとに優勝おめでとう!!