ソックァンが死んだことを知らずに、ソックァンの部屋に忍び入るハンス。
ハンス)誰もいないのか?
テーブルの上には高級車のパンフレットが数冊置かれています。
ハンス)こんなところに暮らしながら、夢はでっかくってか? それとも俺が小さいのか。
草花図鑑を見つけて、
ハンス)花? 何だ?
と見ているところに、チュンベが入ってきました。
チュンベは視力を失いかけているので、杖に当たらなければハンスの存在に気づきません。
チュンベ)誰もいないな。
黒いサングラスを外し、特殊な眼鏡のようなものをかけて、何かを探し始めるチュンベ。
チュンベ)どこにある? どこだ? どこにある?
ハンス)いったい何を探してやがる。
そのとき、ドアの外にはソンニョもやってきました。
が、ソンニョは侵入しては来ず、チュンベも部屋に戻っていきました。
ハンス)あいつはまた、いったい何なんだ。
ため息をつくハンス。
ハンス)逃げた奴からつかまえよう。
そう言ってアパートの外に出ていきましたが、パトカーの近くに人だかりができているのをみつけます。
近づいて覗くと、階段の下に、ソックァンが倒れていました。
警察に問い合わせをしてみるハンス。
ハンス)ここ数日の間に殺人事件など起こっていないのですね?え? 心配しちゃいけませんか? 弟がいなくなったってゆーのに。ひどい奴だな。あんたたちが探してくれるのか。 弟は何歳かって? 7歳だよ。37歳!!
今日、目にしたことを思い出すハンス。
弟の結婚式の写真。腕にはめた時計。
それが、ソックァンの手首にあった。
が、階段の下に倒れていたソックァンの手首からはなくなっていた。
その時計が、さっきチュンベの手首にはめられていた!
ハンス)時計を持っていたのに、、、時計を持っていたら?、、、時計ひとつのことで、人を殺すか? いや、いや、奴らはあの時計が偽物だって知らないんだ。いや、だからって、時計のために人を殺すなんて。 ?! 時計でなかったとしたら。
チュンベが、ソックァンの部屋で手帳をみつけて満足そうにしていたこと思い出しました。
ハンス)手帳か! 人を殺すほど大事な・・・手帳。
今度はチュンベの部屋に行ってみますが、ドアには鍵がかかっていました。
あきらめかけたとき、ドアの横にある窓枠の一部が壊れていることに気づきます。
古いせいか、窓の外の格子は、簡単にへしゃげることができました。
体が通る大きさの穴を作り、窓から侵入したハンス。
チュンベはぐっすり眠っているようです。
異様な臭いがこもる部屋に、顔をしかめるハンス。
チュンベがソックァンの部屋で手帳をみつけたときの様子を思い出し、ベッドの下をのぞき込むと、
あった! ありました! 手帳!!
静かに、思い切り、腕を伸ばして手帳を取り出したハンスですが・・・
手の甲に異様な感触を覚えて照らしてみると、、、手の甲が真っ赤に染まっています。
ハンス)な、なんだ?
慌てた拍子にスタンドのスイッチを押し、瞬時に部屋が明るくなりました。
ベッドの上には血まみれでこと切れているチュンベが!
転がるように部屋を飛び出し、警察に電話をかけようとしますが・・・
窓の格子を壊して侵入したことを思い出します。
格子をもとに戻そうと格闘していると、ナヨンがやってきました。
ナヨン)何なさってるの? ここで、何をなさってるの?
ハンスが隠す暇もなく、部屋の中で血だらけになっているチュンベの姿を、ナヨンは目撃してしまいました。
逃げ出すナヨン。
ハンス)どうしよう、どうしよう。ちょっ、ちょっと。おい、おい!
慌てて靴を履いて、ナヨンを追いかけます。
一度見失いますが、ボイラー室のようなところで追いつきました。
ハンス)おい、ちょっと。なぁ。ここにいるんだろ? 俺が人殺しをするような人間に見えるか? 見る目がないな。 流しも直してやったのに。そんなふうに人を疑うもんじゃない。
逃げようと飛び出してきたナヨンを、ようやくつかまえました。
ハンス)静かにしてくれ、頼むから、静かにしてくれ!