いよいよクライマックスです。
信じられないことですが、ドンユンは少しずつ監禁生活に適応してゆきます。
-ずっと夢見ていた規則正しい生活。朝6時に起床。30分間ストレッチをして、6時半に朝食。用便を済ませたら12時まで原稿を書く。昼食後しばしゲームなどして休息を取り、再び原稿の続きを書く。夕食が済めばヨンラクと、その日書いた原稿について討議する。10時に就寝。手錠をかけられている苦痛がないとは言わないが、誰しもこの状況に置かれたら、適応してゆくのだろう。-
ヨンラクに頼めば、いつでもおいしいコーヒーのお代わりを淹れてもらえる。
ただ、このコーヒーには、茶さじ1杯分の「何か」が混ぜられています。
ヨンラクの淹れてくれたコーヒーを飲みながら、ドンユンはこれまで自分がやってきたことを思い出しながら原稿を書き進めていきます。監禁されて、半月が過ぎようとしていました。
その間、ドンユンの自宅には家宅捜索が入ります。そこで刑事はたくさんの台本を押収して帰りますが、ボユンがわざと刑事の目につくように準備していたフシがあります。
刑事たちが押し掛ける前に、ボユンはドンユンのPCの中に、ヨンヒ青年のPCにあったのとまったく同じファイルが多数格納されていることに気づいていました。
「監禁されてからの話は全くの創作だから・・・」
ラストをどのように描くか、アイデアの浮かばないドンユンにヨンラクは「ヒントをあげましょうか」と持ち掛けます。
ヨンラクが与えたヒントとは、チョン・ナムフンがドンユンを脅迫したときの、音声ファイルでした。
「お、おまえだったのか? チョン・ナムフンを殺したのは・・・?」
「どうですか、この展開。予測可能でしたか? 今の僕たちに必要なのはまさにこれです! 先生は意外と想像力が足りない。ナムフンさんが死んだ日に、先生はこの部屋に来たんですよ。その意味するところを考えてみなかったんですか?」

「授賞式の日、僕は先生の後を付けました。そしたらどうです。僕の他にも先生の盗作を知っていた人物がいた。二人の人間が同時に脅迫するなんて変でしょう」
「ナムフンさんが死んだと聞いて、先生は正直、ホッとしたんじゃないですか? この音声データは、ナムフンさんのポケットから抜き取りました。おそらく、3億を受け取っても、後々これで先生をゆするつもりだったんでしょう」
ヨンラクの冷たい表情に、ドンユンは現実を悟ります。
「忘れていた。ヨンラク、あいつは完全にイカレてる。あいつの頭の中には 『盗まれた本』 のエンディングまで出来上がってるんだ。その結末を変える力は俺にはない。俺にわかるのは、主人公の結末が、そのまま俺の最期になるってことだけだ」
恐怖にかられながら、ドンユンは必至で自分の助かる道を、ストーリーを編んでゆきます。
そのとき、別荘に訪ねて来た人がいました。ときどきこの別荘に泊めてもらったという、別荘の主の友人です。
人の気配に気づいたドンユンが、大声をあげて助けを求めます。
別荘の中の異変に気付いた旅人が、扉を叩いて一晩の宿を頼むのですがヨンラクはうまく追い返してしまいました。

逃亡を試みたドンユンに、ヨンラクは注射針を向けます。
「作業を中断しましょう。ラストは僕が書きます。僕の書いた原稿を先生に直されるとあれほど腹が立ったのに、立場を変えて先生の原稿を読む立場になると手直しが必要な部分がたくさん目につきます。ご苦労様でした」

「頼むから結論は俺に書かせてくれ」と哀願するドンユン。
3時間で書き上げる約束をして、いったんは原稿に向かわせてもらいます。
その間に、赤ん坊のインギョンが高熱を出し、ヨンラクは子供を抱いて出ていきました。
すると、、、木陰から姿を現したのはオ刑事です。
ドンユンの車が停まっていることを確認して、別荘の中に忍び込みました。

監禁されているドンユンを発見し、手錠を外してやろうとしますがビクともしません。
鎖を壊す道具を探しに部屋を出ようとしたところで、ヨンラクに斧で頭を叩き割られてしまいました。。。
オ刑事の落とした拳銃を拾おうと必死のドンユン。
オ刑事を殺した斧を振り回し続けるヨンラク。
死闘のシーンが続き、ドンユンは薬指の指先を切り落とされてしまいますが、ドンユンは覆いかぶさってきたヨンラクの首に手錠の鎖を巻き付けて締め上げます。

ヨンラクは素手でドンユンの首を絞めますが、先に力尽きたのはヨンラクでした。
警察が別荘にやってきて、助け出されるドンユン。
「生きていてくれてありがとう」と泣きすがるボユン。

砕かれた足を引きずり、薬指に包帯を巻いたドンユンが映画会社のオーナーとレストランで向かい合っているシーンの後、
2人の赤ん坊を見守るドンユンとボユンの姿が描かれて、-END-

かと思いきや、
斧を持ったヨンラクが再び登場してボソリと言います。
「結局、ハッピーエンドなんですね」
そして、最終章<花火>に続きます。


「ハッピーエンディングだなんて、無理がありすぎですよ。レストランのシーンはまるで 『ミザリー』 だし。目新しさがありません」
「もう少しだけ時間をくれ」
と訴えるドンユンに、ヨンラクは手錠のカギを渡しました。
「行ってください。先生はもう自由です」
砕かれた足をひきずりながら表に出たドンユンは、車のエンジンをかけて別荘を後にします。
