しかもまた素敵なお写真とともに‼

・・・それから、パク・ヨンウ。
彼の名前が映画『純情』の最後に登場する。
ずいぶん悩んだことだろう。
映画は、二度とは戻れない1991年の夏、離島の村の水の輝きや空の光ほどに澄みわたり純粋だった初恋の物語。
EXOのト・ギョンス、10代の俳優キム・ソヒョン等、新鮮な若手俳優が当時の顔。
それから何年もの時が流れたある夜、ラジオブースに座って手紙を読み、映画を、当時の時代に案内するのがパク・ヨンウだ。美しくも悲しい想い出の主人公もまた、彼である。
「真っ青な物語」
パク・ヨンウが読んだ『純情』のシナリオの第一印象だ。
完成した『純情』もまた、彼がどうしてその色を思い浮かべたのか、思わず頷ける。
塗り込められていない、純度の高い10代の感情が、美しい全羅南道の自然によく似合う。
しかし彼は、出演オファーを受けてずいぶん悩んだ。クレジットの先頭に名前が出ないことなんかは問題ではなかった。
「悩ましいシナリオでした。気に入らなければ悩みもしません」パク・ヨンウはそう言って話し始めた。
「休みなく出演を続けるのも大切ですが、それより大切なのは、やるからには上手くやらなければいけない、ということです。下手くそでは意味がない。上手くやる、というのはいろいろな意味を含んでいます。やりきる能力もなければならないけれども、その役に合った心情的、物理的イメージも必要です。感情を上手くキャッチして理解して・・・ところがその「真っ青」を僕が表現できるのか、不安が大きかったんです。
僕自身がその「真っ青な感情」を誰より大切に考えて生きてきたと思っています。だからこそ、そこに少しでも害を及ぼすのではないか、それを考えると怖かった」
しかし、食事をしながら丁重にお断りしようと出向いた会食の席に、突然イ・ウニ監督がやってきた。シナリオを自ら脚色した監督の熱意にほだされて、パク・ヨンウは考えを変えた。
「こどもの日みたいに目がくるくるとよく動く、というのが第一印象でした。『純情』にぴったりの監督だと思ったし、だから信頼できました。結局その場で釣られてしまいましたよ(笑)」

彼の演じるDJヒョンジュンは、ト・ギョンス扮するボムシルの現在の姿だ。
ト・ギョンスの名前はクレジットの先頭を飾る。分量も当然、相対的に過去に比重がかかる。
「欲はもちろんありますが、現実的な部分は考え方しだい。自分がやると決めたからには決めた理由にだけ集中すればいい。ギョンスさんのストーリーがそのまま僕のストーリーなのだし、過去の出来事は僕のために皆が頑張ってくれたものだと考えることもできるでしょ」と明るく笑う。
人気アイドルグループのメンバーと二人一役で出演する気分を尋ねると、「いいですよ。イケメンだからできることでしょ。タイトルにそう書いてよ」と返ってきた。いやはや実に、パク・ヨンウの表情そのものが、ずいぶん明るくなった印象を受ける。
劇中のヒョンジュンは用意された台本もろくに読まない気分屋のDJ。しかし、硬い殻の中に傷つきやすい内面を隠した、いまだ癒えない傷を持つ人物でもある。
ふいに届いた手紙に、過ぎし日の初恋の回想に入り込んで、ようやく慰めを得る。
前作『アトリエの春』で彼が演じた、疲れきった芸術家が再び生気を取り戻していった姿を彷彿とさせる。
「言われてみるとそうですね。意図したわけではありませんが。素材の内容に関係なく、そういうものに魅力を感じるんでしょうね。昨日も、『シンドラーのリスト』をまた観ながら、いたく感動したんです。計算高く現実的だったシンドラーも、戦争に直面して人を助けることで自分自身が救われます。そういう映画、素晴らしい内容の作品があれば、これからもやりたいですね。自ら演じれば、僕自身もそういう感覚になれます。『純情』がそうでした。できることなら俳優も作品を通して癒され、その想いを観客と分け合いたい。じつに素晴らしいことじゃないですか」

パク・ヨンウは、なににつけ出発は「健康」だと骨身に染みたと話す。『アトリエの春』以後の約2年間、絶えず運動して自分自身を振り返りコンディションを回復してきたので、自然と肯定的な気持ちになれるのだという。相変わらずバンパイア何者ぞと言える容貌を保ち続けていられるのも、そのためだろう。「歳を取らないようですね」という称賛に照れながら、好きな俳優ジェレミー・アイアンズとトニー・レオンへと話の矛先を変えた。
「美男とカッコいい男は必ずしも同じではないと思うんです。容貌は歳とともに変化しますが、それとは関係なくカッコいい人、歳を取るほどにますますカッコよくなる人がいます。僕もそういう人になりたい」
「何より大切なのは心の持ちよう。生きることに真剣で、純粋で、実践的であれば容貌にもそれが表れる。俳優として、そういうものを見せなくてはいけないのに、そういう生き方をしなければいけないのに、と考えます。
演技するのが辛くて怖かった時期がありました。今でも演じることは怖いですが、よい作品に参加できるのはとても嬉しいです。ずっと続けていきたい。歳を取れば、もっと精神的に成長しないと。いい加減にはできません。言い訳もできなくなる。
焦る気持ちはありません。歳を取るほど真摯に、正直に、口数はすくなくても不言実行できればと思っています」