『今、愛する人と暮らしていますか?』
『アトリエの春』
『純情』
ハギはこの3作品を、透明度3大作品、と呼ぶことにしました
ニムのファンになったばかりの人に、あるいはまだファンになっていない人に、どの作品から勧めるのがよいか、いくら考えても答えはでませんが、「透明感のある映画が好き」という人がいれば、まずこの3作をお勧めしたいと思います。
『今愛』のコメンタリーでは、監督がどれだけ<色>にこだわって演出されたか? というお話が何度も登場します。映像のとても美しい作品ですが、今回はちょっと耳を澄まして、監督と主演4人のおしゃべりを聞かせてもらいましょう~
チョン・ユンス監督⇒ 監督
オム・ジョンファ⇒ ジョンファ(ユナ役)
パク・ヨンウ⇒ ヨンウ(ミンジェ役)
イ・ドンゴン⇒ ドンゴン(ヨンジュン役)
ハン・チェヨン⇒ チェヨン(ソヨ役)
まずはオープニングの映像に合わせて、声の自己紹介から始まりました。
監督「いつ聞いてもきれいな発音ですね」 とジョンファさんの英語をお褒めになるのが第一声です^^
ジョンファ「Thank you」(笑)
で、少し沈黙があったので
ヨンウ「監督、映画が始まりましたからご説明をお願いします」
監督「ああ。 ジョンファさんとチェヨンさんがこんなに美しかったんだと・・・みつめるのに夢中になってました」
ヨンウ「見てるだけじゃなくてご説明を・・・(笑)」
監督「僕が作った映画に間違いない?」
ヨンウ「あはは・・・ ありがとうございます^^」
(ここでみなさんお笑いになるのですが、聞き取れないんですよね)
ヨンウ「ドンゴンさん、寝巻でしょ」 (← っておっしゃってるのかなぁ・・・)
監督「このジャンバー、似合ってると思いますか? 僕はちょっと合わないような気がしていました。ドンゴンさんだからまあ見られるけど」
監督「チェヨンさんが最初に登場するシーンで使われたBGM。似合うかどうか不安でしたが、都会的な雰囲気によく合っていますね」
ジョンファ「シナリオを読んだとき、冒頭部分がどんなふうになるかとても気になりましたが、映像を観たときピッタリだと思いましたね。互いにすれ違ったり交わったりするのが」
監督「お互いに寂しさを抱いて生きているのが表現できたでしょうか」
ジョンファ「全体的に<色>のとても美しい作品ですよね」
監督「その部分には特に気を遣いました。高級感を色で表現するとしたら? 紫と赤紫と灰色」
ヨンウ「ふうん」
監督「灰色は乾いた色に見えてしまうこともあるから、浮かないように抑えた色にして、、、」
監督「このセットもそうです。紫と赤紫を多めに、肌の色と被るような部分はゴールドやアイボリーにして。化粧室の中なんかも、そういう色合いにしています」
ヨンウ「よくはわかりませんが、温かみのある色合いですよね」
監督「はい。ストーリーが、どちらかというと冷たくて乾燥した感じなので。それに、登場人物もみな、感性的というより、すっきりとクールなイメージで都会的ですから、セットまで現代的にすると逆効果になってしまうんです」
ジョンファ「現代的なものを想像していたので、最初に私の家、ミンジェとユナの家を見たとき驚きました」
監督「あの家はとくに温かみを強調して生活感を出しましたからね。ジョンファさんの表現を借りれば、とても品行方正に暮らす家(笑)」
ジョンファ(笑)
ドンゴン「僕らの家は?」
監督「君たちの家は、生意気な生活をしてる家」
一同(笑)
監督「ここでも紫。藍色も使ってますが、紫の混じったロイヤルブルーを使いました」
ドンゴン「この店がどこかとたくさんの友人に質問されました」
ジョンファ「行ってみたいって?」
チェヨン「本当?」
監督「柱のアーチが天井の高さを印象づけるでしょう」
監督「この日のドレスコードはブラックだったので、ジョンファさんのゴールドがコンセプトにうまくマッチしたと思っています」
ジョンファ「私の衣装はつねに派手目がいいと思っていましたが、今見ても少しやりすぎな気がします。イヤリングにネックレス・・・ でも、そういうふうに表現したかったんです」
ドンゴン「僕の皮ジャンはやっぱり似合ってるよ」
一同(笑)
チェヨン「ドンゴンさんのいつものスタイルじゃない。よく着てるでしょ」
ドンゴン「そ、そうだね」
ジョンファ、チェヨン(笑)
監督「都会的な雰囲気を作るのは簡単ですが、敢えて直線より曲線を多用し、シンプルなものより装飾のあるものを選びました。一歩間違えば幼稚に見えかねませんが、一線を超えるとぐんと高級感が出ますから、壁の装飾品とかも飾りの付いたものにしました」
ヨンウ「不思議ですよね。とてもカラフルな気がするのに、、、」
監督「さっきも言いましたように、紫とゴールドの2色、そこへ緑を時々入れたりしましたね」
ジョンファ「私はこの場面が難しかった」
ドンゴン「僕はずっと寝てた」
一同(笑)
ジョンファ「セリフもなくて退屈してたでしょ」
監督「一人で場を引っ張っていく以上に、他の人が演じる時間を待つのって大変ですよね」
(スタジオで何かあったようで・・・)
ジョンファ「私? ユナ? 女狐みたいでしょ」
ドンゴン「いや・・・」
監督「クレオパトラのようでしたよ」
監督「ソヨとドンゴンの・・・じゃなかった、ヨンジュンのこの家もセットにしたかったのですが、、、」
ヨンウ「(笑) これ、セットじゃないんですか?」
監督「ええ。だから奥行き感が出ないので、鏡を利用したりしました。どんなに素敵な家でも、撮影にはたくさん制約が入ってしまいます」
一同(笑)
監督「ユナのイメージを表すのにオレンジを多用した部屋です。が、今見ると、もう少しオレンジを抑えるべきだったかなという気がしますね」
ヨンウ「今、ふと気になったのですが、キャラクタひとりひとりにイメージカラーがあったのでしょうか?」
監督「美術チームでは設定していたでしょうね。ですが、現実的なものに比重を置いて撮影すると映画が面白くなくなります。人間って、さまざまな面を持っているでしょう。ひとつのイメージに固めてしまうリスクがあるんですよ。特にミンジェの場合、ヨンウさんも苦労されていましたが、様々な面を持っているじゃないですか。ユナやヨンジュン、ソヨは自分のカラーをひとつずつしっかり持っているのですが、ミンジェはいろんな色を合わせもっているところが、演じるにも難しかったのだと思います」
(ドレッサーの上のウェディング写真、もっとよく見たいです~ *^^*)
このセットでの撮影が、撮影順序としては一番最初の方だったそうです。
監督「ですから、映画でいうと最初の場面とほとんど一番最後の場面を、クランクイン直後に一日でまとめて撮ってるんですよね。映画の撮影っていうのは、特に韓国の場合、そういう現実問題の中でやっていくしかないんです。役者さんが大変ですよね」
ジョンファ「ですが私の場合は、このセットでのシーンを先に撮ったおかげで、ミンジェに対する想いがずっと心に残っている状態で演じられたように思います」
ジョンファ「うわ、私の方が脚が太い!」
ヨンウ爆笑
ジョンファ「(笑) 知らなかったわ、どうしてこうなったの?」
ヨンウ「なんで言うんだよ(笑)」
監督「脚が太いんじゃなくて、ヒップラインが豊満なんですよ」
一同(笑)
監督「フォローするほどよくない?」
ジョンファ「うふふ」
監督「このシーンはとても綺麗に撮れたよ。長年つれ沿った本物の夫婦に見える」
さて、香港です。
ヨンウ「荷物を下ろしている人はディレクターですね」
ドンゴン「この男性はだあれ?」
ヨンウ「あっはっは(笑)」
監督「私の友人です。個人的な。某通信社の副社長」
ヨンウ「お上手でしたよね」
ジョンファ「本当に」
監督「個人的な意見ですが、男優お二人とも、こうすればよかったと後悔していることがひとつあります。お二人とも、ズボンのポケットに手を入れるのがとてもお好きなようです。後で見て驚きました。全編通して見るとよくわかります。手を出してって言えばよかった」
ジョンファ「そういう男性って多いですよね」
監督「そう、たいがいの人が好きなんだ」
ドンゴン「好きって言うより、持て余すんだよね。手持無沙汰で」
監督「特にスーツで、前のボタンを止めた後にポケットに手を突っ込むとラインが崩れるんですよ。特にこのキャラクターの場合、手を出しておいた方がよかったのにと思うシーンが何度かあるんです。私だけかもしれませんが」
ジョンファ「このときは本当に腹が立ちました」
監督「じつにムカツク態度で、傍若無人ぶりを演じてくださいましたよね」
ジョンファ(笑)
ドンゴン「僕はもっと親切な態度を取りたかったんだけど」
監督「ここで、僕の大好きなドンゴンさんの演技が出ます。カバンの話をするとき。唇の端をくいっと上げるんですよ。見て下さいよ~」
・・・と、みなさん集中してご覧になっている様子。
ジョンファ「あっははは(笑)」
チェヨン「クスクス(笑)」
監督「(笑) これが、私が一番好きな演技のうちのひとつです」
ヨンウ「私はこの演技がすごく気に入ってます」
チェヨン「本当に面白いですよね」
監督「ソヨが出てくるとBGMも可愛らしくなる(笑) だから不満に思ったでしょ。ソヨにばっかり可愛らしい音楽で」
ジョンファ「音楽より、ソヨの周りは何もかもが可愛いんですよ。ほら、ここも、ほら、こっちもまた!って(笑) ま、仕方ないことですけどねぇ」
監督「観客はユナにもとても好感を持ってくれていますよ。現実的なキャラクターだし」
監督「ジョンファさんがおっしゃったように、現場ではわからないんです。他のこともいろいろ考えて集中してるから」
ヨンウ「そうですね」
ジョンファ「私、このシーンの撮影がとても楽しかったわ」
ドンゴン「チェ・ジェウォンさんがとてもユニークですよね」
ヨンウ「とてもよかったね」
監督「ここにも居て下さったら楽しかったでしょうね」
ドンゴン「私が最初に試写を見た後、真っ先に電話を掛けたのがジェウォンさんでした。(助演の)みなさん全然来てらっしゃらなかったんです。見たら誰より喜ぶ人のうちのお一人だと思ったのに」
監督「この現場ではよく笑いましたね。ジョンファさんのこの演技。とても上手く演じてくれたのに、ずっと心配してましたよね」
ジョンファ「撮り直してほしかったです。撮り直したものもありましたよね?」
監督「でもこれが一番面白いんですよ」
ジョンファ「私をとてもコミカルに見せようとばかりされるので、怒ってました(笑)」
監督「そんなふうに見えませんよ」
ジョンファ「コミカルですよっ」
監督「そんなにコミカルに見えますか? そんなことないでしょう?」
ヨンウ「コミカルです」
ジョンファ「あはは(笑)」
ユナの最後のニッコリで、ヨンウ爆笑~
その1はこのあたりまでにしましょう。 その2につづく。