『武人時代』が取り上げられたKBSジャーナルはもうひとつありました
訳者泣かせのキーワードがいくつも登場するので上手くお伝えできるか自信ありませんが、興味深い内容なのでご紹介したいと思います。
再録 『武人時代』 放送1年 - 『武人時代』 が残した逸話
800年前の歴史を蘇らせる作業
”俺らがやらなきゃ 誰がやる”
史実に基づいた歴史ドラマを作るための努力
2003年2月8日に第1回が放送された 『武人時代』 は、『太祖王建』、『光宗大王 -帝国の朝-』 に続くKBSの高麗史シリーズ第3弾。武人たちの手でクーデターが起こされた毅宗(ウィジョン)24年(1170年)から、崔氏政権を誕生させた崔忠献(チェ・チュンホン)が死ぬ(1219年)まで、50年の間に起きた歴史的事件を背景として天下を治めた武人たちの野望と闘争を描く、150部作大河ドラマだ。
歴史学においてもまだあまり研究の進んでいない武臣政権を取り上げた初めてのドラマであるのに加えて、300億ウォンを超える製作費、主だった出演者だけでも130名以上であること等、放送開始前から注目されていた作品だ。衣装だけに7億ウォンを投資し、エキストラは2万人を超えた。戦闘シーンや行進のシーンを撮るときには、役者40名、アクションスタッフ50名、エキストラ350名にスタッフ50名・・・と、総勢500名が動員された。
従来の武侠時代劇と異なり、将軍ひとりひとりのキャラクターに沿って多様な武器も用意された。イ・ウィバンの鉄槌、イ・ウィミンの斧鉞、チョン・ジュンブの長剣、キョン・デスンの青龍刀と扇、イ・ゴの双刀、チェ・ウォンの鬼龍刀、イ・ヨンジンの弦月刀、チェ・ブの長刀など、将軍の武器だけでも20余種に及ぶ。戦闘や惨殺シーンを撮影するときには鉄製の武器を使用したため役者陣の顔や手には大小の傷が絶えなかった。
激動の高麗史にも負けない数多くのエピソード
制作過程におけるエピソードもたくさんある。昨冬の、体感温度が零下20度を優に下回る強烈な寒さの中で撮影が強行されたため、ちょっとした隙に一人二人と人がいなくなる。間違いなく150名のエキストラを招集したはずなのに、少し経つと30名ばかし減っている。寒さをしのぐため山に退避してしまったのだ。もちろん食事の時間になると戻ってくるのだが。
数百万ウォンもする酒を空にしてしまった役者もいた。スタッフたちも、”やらかしそうな” 役者は最初からマークしているのだが、「あの人は大丈夫だろう」と信じている相手に裏切られるのだ。
シン・チャンソクPD(ディレクター)の知人で、エキストラをやってみたいと参加した人がいた。城壁での戦闘シーンを撮影している途中でハシゴが壊れて怪我をしてしまった。血を流している怪我人に対してシンPDは温かい言葉をかけるどころか「あっちへ行って手当てしろ!」とひと言怒鳴っただけで撮影に戻って行った。結局その知人は、つれなくされたのに耐えられずエキストラをやめた。決められた時間の中で撮影を終えなければならない放送の世界を理解できなかったために起こったエピソードだ。
一日に500人の髭を整えなければならない衣装室。髭の材料が不足したときには、主たる役者に一般の髭を(時代劇用ではないという意味?)、エキストラには髪の毛や犬の毛を使って即席で髭を作り対応したこともあった。
昨年の冬はあれほど寒かったのに、夏になると今度は雨続き。シンPDは 「台本がぎりぎりにしか出てこないので天気に関係なくとにかく撮らなければいけない。朝7時から明け方4時まで撮影を続けるんだけど、その間ずっと降ってるんだ。水曜から金曜まで撮影があっても、3日間ずっと雨だという週も多かった。幸い映像は自然につながって見えるけれどもスタッフの苦労は並大抵のものではなかったよ。照明係は感電の危険性も高いし、二人が途中で辞めてしまった」と、制作上の苦労話を聞かせてくれた。
キョン・デスンの死とチェ・チュンホンの登場がこの先の展開
『武人時代』 は、清廉な政治を標榜したキョン・デスンが信頼していた腹心の部下に毒を盛られて衰弱し、息を引き取ることでイ・ウィミンが政権を掌握する。しかし彼もまた、息子たちの堕落した行いのせいでチェ・チュンホンに殺害されてしまう。武臣政権5番目の実権者チェ・チュンホンの登場である。
「武臣政権時代の政治は非常に混乱していました。現代の政治ととてもよく似ていますね。絶対的な権力は間違いなく腐敗するというのが、このドラマのテーマです。反面教師、他山の石って言葉があるでしょう。このドラマがそんな役割を果たしてくれると嬉しいです。政治的な答えを出せるわけではありませんが。 そして、萬積の乱(萬積という人が中心になって起こした奴隷解放運動)、マンイ・マンソの乱(マンイとマンソ兄弟が中心となって起こした民衆運動)を描いたように、この先も王朝一辺倒ではなく民衆の視点も取り込んでいきます」 シンPDの言葉だ。
イ・ウィミン_ イ・ドクファ
30年この業界でやってきてこれほどスケールの大きい作品は初めてです。視聴率というより我が国の放送史に長く残る作品だろうと思います。
寒ければ寒いなりに、暑ければ暑いなりに、長時間カツラを被り髭を蓄え、そこへ20kg近い甲冑を身に着けて激しく動くのはとても大変でした。1年にわたり戦闘シーンを撮影しながら馬にもよく乗りました。この歳になってこのような作品に参加することができたなんて自分でも驚きです。有終の美を飾るまで、一生懸命演じます。視聴者のみなさんも応援よろしくお願いします。
キョン・デスン_ パク・ヨンウ
時代劇は初めてで難しかったです。”初めてだ” という負担感のせいで余計に辛かったのだと思います。台本を受け取るのがぎりぎりなのに古めかしい言葉が多く、それも簡単にはいきませんでした。
よく覚えているのは、父の死とホスンの死、全国を歩き回った末にクーデターを起こした時、などです。
キョン・デスンの最期まで、残り少しとなりました。心を空っぽにしなければいけないところですが、わかっていても上手くいきません。今まで通り誠意を尽くします。
次のページには、視聴者から寄せられたご意見の紹介が少しあって、
さらに次のページには大晦日に行われた2003年KBS演技大賞授賞式の様子がレポートされています。
優秀演技賞(男性) パク・ヨンウ 『武人時代』