小説 『アトリエの春』 その2 | パク・ヨンウ☆だぁ~い好き(*^^*)  

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小説 『アトリエの春』 を読んでいます。

映画の原作小説、というのはこれまでたくさん読んできましたが、映画が先にあって、映画を小説化した作品、というのは初めての体験です。

映画の映像がそのまま文字にまとめられたもの、ぐらいに想像していたので、映画のシーンを思い出すために読み始めたのですが、、、

これは、どう解釈したらよいのでしょう? 映画にはなかったシーンが描かれているのです。それも、少なくない分量で。

撮影はされたけれど編集の段階でカットされた部分、なのでしょうか?
だとすれば、DVDが発売になるときには、ぜひとも特典映像に含めてほしいと思う内容です。

まだ、3分の1しか読んでいないので、この後にどんなシーンがでてくるかはわかりませんが、そこまでのところで、映画ではその<人となり>まで見せられなかったヒャンスクが、かなり丁寧に描写されていました。

ヒャンスクというのは、ジュングの家で下働きをしている若い女の子のことです。

映画の中では
「先生はお薬をお持ちしたってどうせ飲まれないわよ」と膨れたり
使われもしないアトリエを定期的に掃除させられると文句を言ったり、
<モデル>のミンギョンに嫉妬を覚え、どうして自分ではダメなのかとジュングに詰め寄ったり、
という姿が描かれますが、
ヒャンスクがなぜそんなことを言うのか、そんな行動を取るのか、については触れられていませんでした。

観客としては、「若いから、もっと格好のいいお仕事がしたいのね。子供を二人も産んだオバサンのミンギョンが自分よりちやほやされるのが妬ましいのね」と思った程度で、ヒャンスクの心の中まで想像してみるような材料は提供されなかったと思います。
(もっと感受性の豊かな方や、ヨンウニムに視線を取られてばかりいない方なら違った見方をされたかもしれませんが^^;;;)

それが、小説の中では、彼女がジュングの家にやって来た事情から、丁寧に説明が入ります。

ヒャンスクの家族が生業としていた精米所が火事になり、生活の糧を失って一家が路頭に迷うしかなくなったという噂を聞いたジョンスクが、ヒャンスクの父親のソウルでの仕事を保証する代わりに、長女を寄越してほしい、と申し入れるのです。

このときすでに病に気づき生きる気力の萎えてしまったジュングに、若い娘をあてがうことで、何とか元気を取り戻してもらえるのではないかと考えてのことでした。

父親も長女も答えをためらいましたが、活発な性格のヒャンスク(次女か三女のようです)が自分からジュングの家に行くと申し出たのです。

ヒャンスクが初めてジュングの家に来た日、ジョンスクはミンギョンにしたのと同じように、ヒャンスクをお風呂に入れてきれいに洗ってやります。そして「どうか先生が生きる気力を取り戻せるように助けて」と頼むのでした。

ところがジュングは、ヒャンスクに一切関心を見せませんでした。自分に遠慮してのことかとジョンスクは数日留守にしてみたりと気を遣いますが、ジュングの態度は変わりません。

手持ち無沙汰なヒャンスクは、雑用を手伝いながら、ミンギョンが現れるまで3年近い歳月を、ジュングの家で暮らしていたのでした。

自分の力ではジュングの心に波風ひとつ立てられなかったヒャンスク。
ジョンスクが望んだことを何ひとつ果たせていないのに、家族全員が生活の面倒までみてもらっている申し訳なさ。
ミンギョンの出現は、ヒャンスクにとって、とてもとても複雑なものであったに違いありません。

ミンギョンの来ない日に、服を脱いでジュングの前に立ち、「私ではダメなのか?」と問うたヒャンスクに、会場ではぷっと吹き出す声が聞こえてきましたが、こうして前後の事情を知ると、その気持ちが痛いほどよくわかります。

ジュングとミンギョンが作業をしているアトリエに昼食を届けに行った際、ミンギョンが奪うように食事を受け取り、さっさとドアを閉めてしまったことにムッとしたヒャンスクでしたが、小説ではあの後、道端でミンギョンが出てくるのを待っていたことになっていました。

そして二人で話しながら(ヒャンスクが自分の事情を打ち明けながら)ジュングの家に帰るのですが、家の前にたどり着いたとき、ミンギョンが「どうして私にそんな話をしてくれたの?」と聞くのです。

その質問に、ヒャンスクはこんなふうに答えました。
「先生が、あなたなら拒絶しないかもしれないと思ったもんだから(선생님이 언니라카믐 거부하지 않을 수도 있겠다 생각이 들어가)」

もう、この台詞!
3人の女性の立場から、読み返し、考え直し、私の頭から一向に離れてくれません^^;;;

自分はそのためにこの家に来たのに、そういう立場、地位にいるはずなのに、彼は一切自分のことを女として見てくれない、という胸の疼き。

自分であれば、彼の男としての本能を呼び覚ませるかもしれない、と感じる、ひとりの女としての喜び、優越感。

妻としてのプライドを投げ打ってでも、生きる意志を取り戻してくれそうなミンギョンにすがるしかない悲しみ。

妄想は際限なく広がるのですが、この台詞が作品からはカットされた理由も何となく理解できたりします。


じつに奥が深いです。残り3分の2も楽しみです。

また新しい発見があればお伝えしたいと思いますが、ハギのブログには、興味深いことに韓国語学習者もよく覗きに来られているようです。

映画を観て『アトリエの春』に好感を持たれた方には小説でも読み直してみることをお勧めします。