翌、元旦の朝はお天気が悪かったようで、荒れる海をバックに、ロビーでくつろぐところから始まりました。
「あんちゃん」
「なんね?」
「すいとぉよ」
日本語にするとこんな感じの(?)のやりとりを、韓国語の方言で練習するお二人。
カタカナで書くとこう↓↓↓
「オッパヤ」(抑揚は、「トットちゃん」に近似)
「ワァ?」
「サラハンでぃ」(抑揚は「もういいかい」に近似)
それから突然、身の上話を始めるニム。
「我が家には女性が少なくて、慣れていないせいか女性にどう接していいのかわからない」
「それを相談できるお友達もいなかったの?」
「初めて女性とつきあったのもずいぶん遅かった。始めてデートしたのが23歳だったかな」
「つきあっても2年間、何もできなかった。話もできず、そばにいるだけ。女性からしたら辛気臭いでしょ(苦笑)」
「しゃべらないと始まらないのに」と、言霊(ことだま)の説明をするりなさん。
「自分の中で思っていても、とにかく声に出さないと始まらないのよ」
今はそれがよくわかる、とでも言いたげに、真剣な表情で頷くニム。。。
二人はベランダに出て海風に吹かれます。
りなさんのナレーション~
わたしたちは、屋久島で新年を迎えました。
海から吹いてきた新年の風はとっても冷たく
ヨンウさんの青い上着は波のようになびいてました。
山には雪が降っていました。
わたしは、初詣をするため森の神社を訪ねました。
わたしたちが、それぞれの時間を過ごしたあの日、
あなたは、ソウルから持ってきたというシナリオを読みながら一日を過ごしましたね。
このとき、わたしはあなたの心の中にある不安に気づいていました。
わたしは森の神様に、縄文杉に続く道を開いてください、と祈りました。
新年初日は、あなたが会いたがっていた年輪を重ねた樹は白雪の壁に包まれ
数日の間、山に行く登山路は閉鎖されていましたね。
どうか温かい風が吹いて、峯を覆っていた雪が解けて、森への道が開くように。
聖老人と、この島のすべての樹々に祈りました。
祈りを終えて帰る道に、綺麗な風が森から吹いてきました。
(その5につづく)