子供の頃、本屋さんに行くと、回転式の書架にディズニーの童話が並べてありました。
今でもあるのかしら?
ディズニー映画のセル画をそのまま使って、ストーリーが紹介されたオールカラーの絵本。
『白雪姫』とか『シンデレラ』とか。
そんな絵本を作るつもりで、『血の涙』のストーリーをご紹介してみようかと思います。
(といっても、子供向けのお姫様物語ではなくて、「本当は怖いアンデルセンのおはなし」みたいになっちゃいますけどぉ・・・^^;)
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
真っ暗な林の中を泣きながら走るソヨン。それを追う数人の男たちの影。
とうとうソヨンは崖っぷちに追い詰められてしまいました。
【血の涙】ストーリーの始まりです。
舞台は変わって東花島の波止場。島民たちが朝廷に献上する紙を船に積み込んでいます。
桟橋を渡る途中で足を滑らせてしまった船員を数回平手で殴って海に突き落とし、「おまえらの命より大切な献上紙だぞ」と叱咤するチョ・ダルリョン。
一方、天幕の中では製紙所の発展と豊漁を祈願する祭祀が執り行われていました。
遅れてやってきたチョ・ダルリョンに杯を回しながら、声を落としてイングォンが訪ねます。
「いなくなった船員はみつかったのか?」
「いえ、まだ・・・」
「製紙法を盗むために島にもぐりこんだ輩かもしれん。そいつがどこで何をしていたか、何のために島にやってきたのか、必ず突き止めねばならんぞ」
島全体が祭祀に集中している一方で、チャン・ハクスがトッキをゆすっています。
「私の口がひとつ滑ったら、みんなおしまいですよ」
「わかった、祭祀が終わったら埠頭へ来い」
祭祀は夜になっても続きます。島一番の権力をもつキム・チソン老人も参列しました。
「夜とはいえ三伏中です。お身体にさわります」と気遣いを見せるイングォンに
「これが最後になるかもしれん。祈祷ぐらいあげなければ」と参列を固辞する老人。
「最後だなんて縁起でもない。まだまだお元気でいらっしゃって善政を行っていただかねば」
「善政じゃと? それは天子さまだけがなさるものじゃ。わしにそんな大それた言葉を使って、謀反の罪でも着せようというのか?!」
身分の違いを厳格に守ろうとするご老人であることがわかります。
祈祷中の巫女マンシンが突然倒れたかと思うと、むっくりと起き上がり、鬼のような形相で叫びました。
「わたしの身体が八つ裂きにされても、のうのうと生きている貴様ら、必ずやこの恨み晴らしてくれようぞ!」
その顔と声はまさに7年前に処刑されたカン客主。島民たちは恐れおののきます。
血を吐いて倒れた巫女に気を取られていると、酒場の方から大声が聞こえてきました。
「火事よ~、火事よ~」
大変です。大切な献上紙を積んだ船から火の手が!
気づいた時にはすでに遅く献上紙はすべて燃え尽きてしまいました。
そうして、この火事騒ぎを調査するため派遣されたウォンギュ一行がやってきます。
第1日目のはじまりです。
ウォンギュ一行を案内して、チャン・ホバンも島に戻ってきました。
「放火の疑いもあるから、島から誰も外に出さないように」と注意するウォンギュ。
「チャサ(差使)がいらっしゃると言ったのに、この出迎えはなんだ」と激怒するホバンに
「朝から事件がありまして・・・」と言い訳するチョ・ダルリョン。
実はその日の朝、製紙所の工員チャン・ハクスの串刺しにされた遺体が発見されたのです。
船が燃えた後、殺害されたチャン・ハクスと言い争っていた船夫長が疑われますが、船員たちの証言と死亡推定時刻から、船夫長は犯人ではない、と判断されます。
検視の結果は毒殺。神経痛の治療薬にも使われる薬で、その薬を大量に買い込んだトッキが容疑者として逮捕されました。
その日の夜、チェ差使とウォンギュはイングォンの屋敷に招かれます。
「到着されるやいなや犯人を捕まえてしまわれましたね」とウォンギュを持ち上げるイングォン。
「彼は討捕使イ・ジサン様の息子なんですよ」とウォンギュを紹介する差使。
「そうでしたか。イ・ジサン様の名声を知らない者はおりません。光栄です」
「私には厳しいばかりの父でした」と謙遜するウォンギュ。
「ほとんど家には帰らないのに、帰ってくるとひとつずつ問題を出されました。間違っても叱られるし、正解が言えても説明できなければ小言を言われる、だから逃げ回っていましたよ」
「勉学を怠けないようにとの、深いお心があってのことでしょう。どんな問題か、聞かせていただけますか?」
と尋ねるイングォンに、
「では、解いてご覧になりますか?」と応えるウォンギュ。
「収穫の8割を税として収めることになっている麦畑があるのですが、凶作の年に通常の3割しか収穫できなかった場合、どれだけを納税させればよいと思うか。一度はそんな問題でした」
計算通り答えたイングォンに
「数字上はそうなりますが、父の望んだ答えではありませんでした」と返すウォンギュ。
「それで、君は正解することができたのかね?」と差使が聞くと
「はい」とウォンギュは頷きます。
「私にはさっぱり見当もつきませんが、その明晰さをもって火事事件を早急に解決してください」
と慇懃な態度で話すイングォン。ウォンギュはまだ、その言葉に含まれる棘に気づきません。
目撃者である島民の証言から、発火地点と思われる場所に怪しげな残骸が。
その後ウォンギュはホバンに案内されて、製紙所に向かいました。
「どうしてこんな離れた孤島に製紙所を作ったのだ?」と尋ねるウォンギュ。
「もともとコウゾの木が多かったのと、製紙所を建てたカン客主が、製紙法の流出を懸念したためだと聞いています」と説明するホバン。
到着したウォンギュをチョ・ダルリョンが出迎えて製紙所の中を案内しますが、いきなりロープが切れて戸板のようなものがウォンギュを直撃し、ウォンギュは二階から転げ落ちて右腕を負傷しました。
火事現場から収集した怪しげな残骸を船夫長に見せ、思い当たるふしはないか尋ねますが、「船員のものでもないとすると、はて、何なのでしょう」と首をひねるばかり。
「最近、おかしなことはなかったか?」と質問を変えたウォンギュに、
「船が燃える3日ほど前、行方のわからなくなった船員が一人いました」と話し出した船夫長。
「どんな奴だ?」
「3年前から、朝貢紙を作る時期には志願してやってきました。言葉数が少なく、ほかの船員たちともほとんど交流がありませんでした」
その夜、チャン・ホバンはトッキが留置されている牢をこっそり訪ねます。
「どうして勝手な真似をした?!」ホバンに詰問されたトッキは
「酒に毒を混ぜて飲ませたのは俺だが、死体を串刺しにしたりしていない。カン客主の祟りだ。どうか俺を島から出して助けてくれ」と哀願します。
「私に考えがある。ひどい尋問をされても、私を信じて決して口を割るなよ」と念を押し、ホバンは牢を後にしますが、帰路を襲われました。
井戸水から生臭い悪臭が漂います。
そこに、ホバンの死体発見の知らせが入りました。


ホバンの死体を見せてトッキに詰め寄るウォンギュ。
「一人目は串刺しにされて死に、二人目は釜茹で。いったいどうなってるんだ!」
トッキは恐ろしさのあまり、少しずつ話始めました。
「天主教徒のファン・サヨンがつかまって3か月後に、当時の客主カン・スンリュルが正体不明の5人の人間から告発されたのです。ファン・サヨンに資金援助をしていたと。客主が天主教徒だったと知った討捕使は、日に一人ずつ5日間、5種類の方法で客主一家を処刑したのです。幼い息子は串刺しにされ、娘は釜茹で、客主の妻は顔に紙を貼られて窒息死し、老母は頭を割られました。そして5日目、カン客主は車裂の刑を受けました」
「正体不明の5人の告発者だと言いながら、どうしてそんなに詳しく知っている。おまえも告発者のひとりか?後の二人は誰だ?」と訊きますが、トッキはそれ以上話しません。
トッキを林の中の牢に閉じ込め、おとりに使う作戦をウォンギュは指示し、
”告発者が誰か知っているものは名乗り出よ”とのおふれ書きを立てました。
「カン客主処刑当時の帳簿を見ると、当時ほとんどの島民が客主に借金をしていたようです。ところが、客主の処刑前後に、その借金はすべて返済されたことになっています。客主の死後、製紙所はキム・チソン老人の手に渡りました」
天主教徒だと告発された客主の家には柱に貼られたお札がそのまま残っています。客主が本当に天主教を信じていたのであれば、お札など家に貼らないはずです。
「大逆罪が疑われる場合は、念には念を入れて調査されるべきなのに、ほとんど何の手続きも踏まず、告発されてすぐに処刑されています・・・」
「冤罪だとでも言うのか?」
「告発者たちは次に自分が殺されるかもしれないと恐れながらも名乗り出てきません。もし嘘の告発をしたことがバレれば、自らも同じ刑に処せられます、だから・・・」
「イ軍官!客主が冤罪であったとすれば、判決を下した討捕使の捜査に間違いがあったことになる。危険な想像だ」
「私が言いたいのは、カン客主が天主教徒であったとは信じがたい、それだけです。もし冤罪であれば、それを知った誰かが復讐しているのかも」
ウォンギュと差使のやりとりを聞いて、イングォンが割って入りました。
「カン客主と放火事件に何の関係があるというのですか?この島に大逆罪人を追従する者がいると?」
「犯人が告発者に復讐しているのだとすれば、まだ3人残っています」
「だから立札を?告発者を探せという札を見て、島民たちに動揺が広がっています」と抗議するイングォン。
「当時の状況を一番よく知っているキム・チソン老人に話を聞かなければ」と主張するウォンギュに
「献上紙が燃えたショックで容体が悪くなられました。回復されるまでお耳に入れないでほしい」と要求するイングォン。
「証拠もなく無礼な真似はできない」と差使もウォンギュをけん制します。
「主のいない屋敷に住み続けているのはなぜか?死んだ主人への忠誠心か?それなら貴様も後を追って死ぬべきだろう。どうして命を長らえている?」と辛辣に言い放ちます。
「製紙所の染色を担当していて窯に火を入れるのもおまえだそうだな」
「はい、その通りですが、あの日はまったく火をつけませんでした」
「いつからカン客主に仕えていたのだ?」
「17歳の時からです。天涯孤独だった私を拾ってくださいました」
「カン客主の肖像画だな」
「はい」
「おまえもカン客主が大逆罪人だと思うか?カン客主が本当に天主教徒だったのかと聞いている」
「そういうことは・・・私にはよくわかりません・・・」と答えるトゥホ。
<その2>へつづく