今年の夏WOWOWプライム土曜オリジナルドラマ「賢者の愛」が4話完結で放送されました。

原作:山田詠美

脚本:Sawa

音楽:稲本響

出演:中山美穂、高岡早紀、竜星涼、浅利陽介、草村礼子、朝加真由美

榎木孝明、田辺誠一  他

製作:WOWOW MMJ

監督:源 孝志

 

原作は山田詠美原作のドラマタイトルと同じ「賢者の愛」。

 

主だった配役はこの方たち。

左から田辺誠一・中山美穂・竜星涼・高岡早紀

凄いんですよぉ〜細かいこだわりが、、、といってもいつものオタクな私の視点なのでまぁ「はいはい( T_T)\(^-^ )、、」って感じで聞いてください。

 

<ざっくりあらすじ>

郊外の海辺の高級住宅街の古い洋館で、13歳の高中真由子は編集者の父、母、そして真由子が恋心を抱く、離れに住む作家志望の青年・澤村諒一(田辺誠一)と穏やかに暮らしていた。

ある日、隣家の豪邸に真由子と近い年頃の娘のいる朝倉家が越してくる。

朝倉百合と真由子は互いに仲良くなる。控えめな真由子は自由奔放で彼女のものをすべて欲しがる百合に振り回されながらも親友として成長してゆく。

ある日、百合は真由子の父を誘惑、その後彼は自殺をする。しかしこの百合のことは真由子しか知らない。

21歳のバレンタインの前日、突如、百合から諒一との子供を妊娠したことを告白され、二人は結婚する。

真由子は自暴自棄となり、その日のうちに行きずりの男に処女を差し出す。

やがて百合は男児を出産し、真由子にその子の名前をつけて欲しいという。真由子は「直巳」(竜星涼)と名付ける。

それから20年経った今、真由子は文芸誌の編集者となり作家なった諒一の担当となり、秘かに直巳と逢瀬を重ねていた。

子供時代の直巳役のコはめちゃ可愛い〜^ - ^

 

*「直巳」という名は谷崎潤一郎の小説『痴人の愛』に出てくるのちに妖婦となる「ナオミ」からつけた。『痴人の愛』は主人公の譲治が、自ら見出した美少女のナオミを自分好みに育て上げようとする物語。その結果、ナオミは予想もしなかった怪物に変身をとげて行き、譲治は、その妖艶さに翻弄し尽くされる。そして、ついには、屈服して、まさに「痴人」のようになる話。

真由子はそのような過ちを犯さず決して痴人とはならないよう慎重に「直巳」を自分好みの青年に仕上げる。そして彼の心をつかむことで百合に復讐をしようとする、という内容です。

結末は結構ショッキングではあるのですが、ネタバレしないでおきますね。

 

主演の中山美穂が20歳ほど年下の俳優さんと濃厚な絡みがあるとのことで、結構話題になったらしいのですが、まぁ別にどうということもなかったです。^ - ^

私が感じたのは、決して男女間のことではなく、女友達の物語でした。

ドラマや小説では百合の「我儘」や「欲しがりやさん」が「やな奴感」を前面に出しています。しかし、彼女の愛情に対する渇望感は、飲んでも飲んでも乾きが癒えない病に見えて酷く可哀想だったです。

 

しかしこのドラマ、どろどろした復讐劇にもかかわらず、かなり品よく美しく仕上がったように思いました。

最も私の目を引いたところは次の三つ

・インテリア (住宅・ホテル)

・二人の主役(真由子・百合)のファッション

・シャンパン絡みのエピソードと銘柄

どれも4時間のドラマの台詞では言い表せない行間を埋めているような効果があったように思います。その上かなりおしゃれ!(^ ^)

まるで全てが、飛行機の機内誌や家庭画報の広告に出てくるようなものばかりです。

 

このドラマでは都内のホテルが2軒撮影に使われてました。1軒目は作家になった諒一が執筆のために借りているリーガロイヤルホテル東京のジュニアスィート。ここはドラマのクレジットにもロゴは出てるし、ホテルのホームページでも盛んにこのドラマの撮影に使用したとアナウンスをしています。

 

 

 

インテリアはヨーロピアンクラシックと謳っているが、どちらかというとちょっと昔のアメリカンクラシックのような気がします。(ただしアメリカンサイズではないんだけどね。)

1994年のオープン時見学させてもらったのですが、当時よりインテリアの印象は変わっていません。(もちろん何度も改修はしていますが)ただクラシックスタイルなので20年たっても古さはあまり感じません。ハワイの昔からあるホテルなどもこんな感じではないでしょうか?

東京の文豪が篭るホテルとして有名なのは御茶ノ水の「山の上ホテル」。かつては川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、などが定宿としていたことで有名。60年ほど昔、アメリカの建築家の設計で建築された「山の上ホテル」のインテリアはアールデコ風のクラシックスタイル。そのへんのイメージから諒一の定宿はやはりクラシックなインテリアのホテルだったのでしょうね。

 

一方もう一軒のホテルは真由子が直巳との密会に使う「マンダリンオリエンタル東京」。日本橋三井タワー上層階に2005年にオープンしたミシュラン6つ星の高級ホテルです。日本橋という場所と外国人ビジネス客を意識してか和風モダンでラグジュアリー感溢れる静かで落ち着いたホテルです。「(香港のマンダリンホテルやバンコクのオリエンタルホテルも同じ運営会社)

(ドラマより)

(ホテルHPより)

(ドラマより)

(ホテルHPより)

 

HPやパブリシティでホテル名をバンバン出しているリーガロイヤルホテルと比べて

「マンダリンオリエンタル東京」はクレジットにすら名前を出していません。

これだけインテリアも印象的な照明や家具が映っているにもかかわらず名前を出さないというところ、、、スゴイな。

(私は以前縁あって内覧をさせていただきました。決して常宿にしているわけじゃないです(≧▽≦)うひゃ)

そしてこちらのインテリアは和のファブリックを使ったモダンのスタイル。家具も内装も直線的で高層階からの眺めも良い素敵な部屋です。

文芸出版社の敏腕編集者で(ドラマ内で編集長に出世する)バリバリ仕事をする真由子はクラシックではなくクールでモダンなインテリアを選んだのでしょうか。それとも自宅が洋のクラシックスタイルである彼女が選ぶ非日常は和モダンだったのかな?

キャリアウーマン(今では死語か?)の真由子が仕事の後で泊まる想定なのでしょうが、1泊20万近くするはずですよ〜すごいですね〜〜(´Д` )

 

次は住宅のインテリア

真由子の自宅。子供の頃から住んでいる洋館です。

海が近くにある郊外という設定。知的な父親、品の良い母親と暮らした家です。

アンティーク風の家具や絨毯ですが、どれも温かみのある感じの良いインテリアです。

ダイニングセットも全て揃いのものでなく、椅子も張り生地も揃っていないし、テーブルと椅子の色も違う。決して一気に揃えたのではなく色々な年代の家具がその家の歴史を感じさせます。

 

 

 

どちらかというとヨーロッパの郊外の別荘の雰囲気でしょうか?

これはインテリア雑誌「I'm home」に出てきそうなインテリアです。

 

それに対して、隣家の百合の育った家は、シャンデリアや最新のシステムキッチンを備えた豪華な家ですが、どこか落ち着かない雰囲気。暴れる弟たちが散らかすリビングはちょっと残念。

(母親に1万円を渡され「これでご飯を食べなさい」と言われるシーンもあります。)

 

 

百合と諒一が結婚して住んでいる家。

これはまた内装も、家具も真っ白で余計なものも一切置かないモダンなデザイン。

まるでインテリア雑誌「モダンリビング」に出てきそうです。

あまりにクールで、ちょっと家族で住んでる?って感じはしますね。

 

 

百合は親を反面教師としたのか、部屋はいつもきちんと片付いていて、料理もきちんとこなしている。

ただし一人でビールを飲みながら宅配ピザを食べて時に、不意に帰ってきた諒一に「ジャンクフードで育った自分はたまにこういうものが食べたくなるの」というシーンがあります。こんな風に彼女の闇を表現するのはとても上手いなと思います。

 

                           「賢者の愛」2に続く