専門家に教わる
肌の奥深くに水分を補給する3つの方法


「肌が乾燥していますね」
スキンケアを受けるたびに耳にする言葉ではないだろうか。「水分不足」は普段から肌のケアに力を入れている人たちもよくぶつかる問題だ。

美容専門医のイフェオマ·エジケメ博士(Dr. Ifeoma Ejikeme)は「乾燥した肌とは、水分が不足したり水分を蓄える能力が落ちた肌のこと」として「皮膚がつっぱり、ひどい場合は角質ができたり刺激を感じることもある」と説明する。肌に水分が足りない時、肌がくすんで暗く見え、小じわがさらに目立ち、 肌のツヤも消えるのは、周知の事実だ。

臨床美容専門家でありロンドンのクリニック「モルタル&ミルク(Mortar & Milk)」の共同創立者、パメラ·マーシャル(Pamela Marshall)は、単純に肌ツヤの問題以前に保湿はニキビなどの炎症を鎮めるのに大きな役割をすると話す。彼女は「皮膚が乾燥すると皮脂腺からさらに多くの皮脂を生成しろというメッセージを送る。このように過度に分泌された皮脂が毛の皮脂腺に流れ込むと、むくみと炎症を起こす。また、毛細血管も拡張され、紅潮がひどくなる」と説明した。

それでは、正しい肌の保湿法とは何だろうか?
 <ヴォーグ>が専門家たちを訪ね、最もシンプルな方法を調べてきた。

1.「何を食べるか」がカギ


「水分摂取」が肌に水分を供給する第1原則だということは誰もが知っている。それでは必須脂肪酸が含まれた食事が、肌をしっとりさせるという事実も知っているだろうか。マーシャルは「私たちの肌は水とよく混ざる性質である親水性と、脂肪質によく混ざる親油性を同時に備えている。これは肌をしっとりと保つためには水と脂肪質の両方が必要だということを意味する」と説明した。彼女は「ナッツ類やシード類、アボカド、油気の多い魚といった食品や不飽和脂肪酸が豊富なオメガのサプリメントも肌全般の保湿と肌質向上に役立つ」と付け加えた。

2.「集中ケア」製品の使用は控える


マーシャルは「 水分を含んだようなしっとりとした肌を望むなら、普段使うスキンケア成分を確認する必要がある」として「この世のすべての保湿製品を使用するとしてもアルファヒドロキシ酸(AHA)成分を過度に使用した製品があるなら、肌の乾燥を防ぐことはできない」と話した。酸性成分やレチノールのような活性成分が肌に驚くべき効果を与えるのは事実だが、大半の消費者は製品を正しく使用できずにいるとも付け加えた。彼女は「集中ケア製品はまるでケーキのようだ。たまに楽しむなら甘くて美味しいが、毎日使うと肌の健康に打撃を与えかねない。集中ケア製品や抗酸化製品、皮膚保護製品との適切なバランスを見つけることが重要だ」と説明した。

彼女は、刺激なしに角質除去を望むのであれば、ポリヒドロキシ酸(PHA)をスキンケアルーティンに加えることを勧めている。長期的に見れば持続可能な方法で柔らかく角質を除去できるからだ。
AHAよりPHAの分子量が大きいため、肌に刺激を与えず炎症も緩和してくれる。また、抗酸化剤や保湿剤の機能もあるため、肌の水分を保護し、維持するのに役立つ。

一方、イフェオマ·エジケメ博士は、慎重に繊細に肌を管理するよう呼びかけた。どんな種類の角質除去剤でも、刺激を感じた場合は使用を中断するか使用量を大幅に減らし、洗顔時にも肌にやさしい洗顔料を使って肌を慎重に扱わなければならないと言う。また、セラミドやナイアシンアミドのように肌バリアを丈夫にし、経皮水分の損失を減らす成分の使用も勧めた。これらの成分がコラーゲンの生成と肌バリア機能に役立つからだ。

3.スキンケアルーティンに「保湿剤」は必須


自分の重さの1,000倍まで水を含むことができる「ヒアルロン酸」の水分供給能力は卓越している。しかし、スキンケア成分には注目すべきもう一つの水分供給の英雄がいる。エジケメ博士は「グリセリンは肌の天然保湿因子と非常に類似した機能をする。価格も安いのに、ヒアルロン酸の影に隠れて光を浴びることがない」と紹介した。グリセリンは粒子が比較的小さいため、ヒアルロン酸より皮膚に深く浸透し、刺激も予防する。また、肌タイプに関係なく使用でき、ノンコメドジェニック製品としてオイリー肌とニキビ肌も安心して使用できる。

エジケメ博士は「セラミド、スフィンゴシン、脂肪酸といった成分は水分貯蔵庫のような役割をする」として、スキンケアルーティンに加えることができるパンテノールやアロエベラなど他の保湿成分も推奨した。セラムが保湿成分を肌に伝達する機能をするならば、保湿剤は「保護膜」としてすべての有効成分を肌の中に閉じ込める役割をする。

マーシャルは、「じっくり時間をかけた、地道なケアが望む肌を手に入れるためのカギだ」と話す。彼女は「集中ケア製品の大部分が成熟細胞や死んだ細胞からなる表皮層、あるいは角質層に機能するという事実を知らなければならない。これは化粧品安全規定に従ったものだ」とし、「すなわち私たちが使用する大半の製品が表皮層だけに効果を発揮するため、短期的には皮膚の機能自体に大きな効果がないということを意味する」と説明した。しかし、長期的に見るとプラスの効果を与えるため、一貫性を持って長期間使用することが非常に重要だと強調した。