ABC商事、1階のエントランス。
私は受付の女性に、分厚い茶封筒を差し出した。
「おはようございます。こちら、人事部長様宛の親展です。
非常に重要な内部告発の資料ですので、至急お渡しいただけますか?」
「かしこまりました。確かにお預かりいたします」
丁寧にお辞儀をする受付嬢に微笑み返し、私は踵を返した。
封筒の中身は、USBメモリと、紙に印刷した報告書。
あの「キスの証拠写真」と、モラハラ・不倫を自白している「音声データの書き起こし」だ。
ビルの向かいにあるカフェ。
窓際の席でパソコンを開いていた蒼くんが、私を見て片手を上げた。
「お疲れ様。物理攻撃(封筒)は完了?」
「ええ、バッチリ。そっちは?」
「こっちのデジタル攻撃も、タイマーセット済み。
……ほら、今、発射したよ」
時刻は午前9時00分。
勇樹と美香が所属する営業部の共有アドレス、そして人事部と役員宛に、
蒼くんが作った匿名アカウントから「一斉送信メール」が放たれた。
件名は、
【内部告発】営業部・勇樹と美香の社内不倫、および配偶者への悪質な加害行為について
本文には、二人が会社に内緒で不倫していること。
そして、妻を精神的に追い詰めて「タダで捨てる」計画を立てていたことの暴露。
ご丁寧に、証拠画像のデータ付きだ。
「さぁ、今頃どうなってるかな」
私たちはコーヒーを飲みながら、向かいの巨大なオフィスビルを見上げた。
それから約1時間が経過した、午前10時15分。
テーブルの上に置いていた私のスマホが、ブルブルと震え出した。
画面には『勇樹(クズ)』の文字。
私は蒼くんと顔を見合わせ、わざとゆっくりと通話ボタンを押した。
「……もしもし?」
「お前っ!! お前、会社に何しやがった!!?」
鼓膜が破れそうなほどの、悲鳴のような怒声。
でも、声の奥底がガタガタと震えているのがわかる。
「何って? 私は今、弁護士事務所に向かってる途中だけど」
「すっとぼけるな! さっき、朝礼の後に部長から会議室に呼び出されたんだよ!
俺と美香、二人ともだ!」
「へえ、それで?」
「会議室に入ったら、人事部長もいて……。
机の上に、あの写真とメールのコピーが置かれてたんだよ……っ!!」
勇樹は過呼吸気味に、その時の「地獄」を語り始めた。
部長は一切怒鳴らなかったらしい。
ただ、汚物を見るような目で二人を見下ろし、こう言ったそうだ。
『君たち、会社をなんだと思っているんだ』
会議室の、凍りつくような沈黙。
言い逃れしようとした美香は、音声データの書き起こしを突きつけられ、
その場で泣き崩れたという。
さらに最悪なことに、あのメールは部署全員のPCにも届いている。
会議室を出た後、フロア中の同僚たちが、二人を好奇と嫌悪の目で見つめていたらしい。
「俺はもう終わりだ! 出世もパーだ!
お前、俺の人生ぶっ壊して満足かよ!!」
逆ギレして喚き散らす勇樹に、私は氷のように冷たい声で返した。
「自分の人生をぶっ壊したのは、あなた自身の『下半身』と『その口』でしょ?」
「っ……!!」
「せいぜい、美香ちゃんと二人で無職から頑張りなさいよ。
慰謝料はしっかり請求させてもらうから」
ツーツーツー。
私は一方的に電話を切り、蒼くんに向かってVサインを作った。
「作戦、大成功」
「最高だね。これで二人とも、社会的に完全に終わった」
蒼くんが嬉しそうに私の頭を撫でる。
義父からの勘当。
会社での居場所の喪失。
これが、私を「寄生虫」と嘲笑った人間たちへの、当然の報いだ。
つづく
いかがでしたか?
会社に不倫の事実が一斉送信される……想像しただけでもゾッとしますよね。
でも、自業自得です!
次回、会社を追われた美香が、ついに私の前に姿を現します。
泣きながら放った「最低の言い訳」とは?
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【第15話】シタ女の涙と、見当違いの逆恨み
