そして迎えた、Xデー当日。

雲ひとつない快晴の土曜日。



「さやか、準備できたか? 遅れると親父の機嫌が悪くなるぞ」



玄関で、オーダーメイドのスーツに身を包んだ勇樹が急かしてくる。

今日の彼は、いつものモラハラ夫ではない。

外面の良い、完璧な「エリート息子」の顔だ。



「はい、お待たせしました」



私は淡いピンク色の訪問着に袖を通し、しとやかに微笑んだ。

鏡に映る自分は、どこからどう見ても「従順で幸せな妻」に見えるだろう。



(今日があなたの命日よ、勇樹)



心の中でそう呟き、私はバッグの中に忍ばせた「黒いUSBメモリ」の感触を確かめた。



***




会場は、市内でも有名な老舗料亭の大広間。

勇樹の親戚一同、総勢30名ほどが集まっていた。



「いやぁ、勇樹くん。また出世したんだって? 鼻が高いよ」

「いえいえ、叔父さんほどではありませんよ。ハハハ!」



主役である義父の隣で、勇樹は上機嫌でビールを注いで回っている。

親戚たちからの称賛を浴び、自分がこの場の「自慢の種」であることを疑っていない。



その姿が滑稽で、私は笑いをこらえるのに必死だった。



(あと1時間もすれば、その笑顔が能面みたいに凍りつくのね)



宴もたけなわになった頃。

私はそっと席を立ち、会場の隅に設置されたプロジェクターの前へ移動した。



本来なら、ここで勇樹が作った「家族の思い出スライドショー」が流れる予定だ。



私は周囲の目を盗み、プロジェクターに繋がっているノートPCのケーブルを抜き、

持参した自分のPCに差し替えた。



そして、あのUSBメモリを接続する。



カチッ。



小さな音が、私の耳には爆音のように響いた。



手元のスマホが震える。

蒼くんからのメッセージだ。



『準備完了? こっちはいつでもOKだよ』



蒼くんは今、会場近くのカフェで待機してくれている。

何かあった時のための「保険」だ。



『ええ、完璧よ』



私は短く返信し、スマホをしまった。



深呼吸を一つ。

さぁ、ショータイムの始まりだ。



私はマイクを手に取り、会場全員が注目する中、一番華やかな笑顔でこう言った。



「皆様、本日はお義父様の古希、誠におめでとうございます。

私から、ささやかではございますが、お祝いのムービーを作らせていただきました」




会場から温かい拍手が起こる。

勇樹も満足げに頷いている。



私はPCのエンターキーに指をかけた。



(見ていてね、蒼くん。私たちが作った最高傑作を)



次の瞬間、巨大なスクリーンに映し出されたのは、

家族の笑顔の写真……ではなかった。



----------------




つづく



何も知らない親戚たちの拍手。

外面の良い夫の満足げな顔。

嵐の前の静けさが、残酷な結末を引き立てます。



次回、ついに「あの写真」がスクリーンに。

会場が凍りつく瞬間、夫は、義父は、どんな反応を見せるのか。

第1章完結、衝撃の修羅場回です。






これ続けてますが今のところ5キロ減ってきました!

本当におすすめですよ!


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【第11話】古希祝いのスクリーンに映ったもの





翌日の日曜日。

私は「友達とランチに行ってくる」と勇樹に嘘をつき、蒼くんのマンションに来ていた。



ローテーブルの上には、私たちがこの50日間で集めた「武器」が並べられている。



1.ラブホテルのレシートと、美香の裏書きの写真

2.「寄生虫」「タダで捨てる」と発言したボイスレコーダーの音声

3.昨夜撮影した、車内での決定的なキスの写真



「……完璧だね」



蒼くんが、現像したばかりのキスの写真を指先で弾いた。

鮮明すぎるその一枚は、どんな言い訳も封じ込める破壊力を持っていた。



「これで、いつでも彼らを地獄に落とせる。……で、いつやる?」



蒼くんがカレンダーを私の前に差し出した。



私は少し考え、そして来週末の日付を指差した。



「ここ。来週の土曜日」



「この日は何かあるの?」



「勇樹の実家で、お義父さんの古希(70歳)のお祝いがあるの。

親戚一同が集まる、大事な食事会よ」



蒼くんの目が、スッと細められた。



「……なるほど。あいつ、父親には頭が上がらないもんね。

親戚の前で『自慢の息子』を演じなきゃいけない日か」



「そう。勇樹にとって、一年で一番『恥をかきたくない日』よ」



私がそう言うと、蒼くんは満足げにニヤリと笑った。



「最高だね。最高のステージだ」



蒼くんは立ち上がり、ホワイトボードに何やら書き始めた。



「ただ証拠を突きつけるだけじゃつまらない。

もっと劇的に、もっと残酷に演出してあげようよ」



彼が提案したシナリオは、悪魔のように完璧だった。



まず、私が「良き妻」として振る舞い、勇樹を油断させる。

そして、宴もたけなわというタイミングで、



「お義父さんのお祝いに、私からちょっとしたスライドショーを作ってきたんです」



と言って、プロジェクターを起動する。



そこで流すのは、もちろん家族の思い出の写真……



ではなく、この不倫の証拠写真の数々だ。



「想像しただけでゾクゾクするね」



「ええ。きっと素敵なパーティーになるわ」



私たちは顔を見合わせ、静かに笑った。



もう、迷いも罪悪感もない。

あるのは、この完璧な復讐劇を成功させるという使命感だけ。



さぁ、勇樹、美香。

あなたたちの「最後の晩餐」まで、あと6日よ。



----------------




つづく



Xデーは「義父の古希祝い」に決定。

親戚一同の前で、夫の化けの皮を剥がします。



次回、いよいよ決戦の当日。

何も知らない夫と、笑顔で準備を進める妻。

地獄の食事会が幕を開けます。



【第10話】嵐の前の静けさ。最後の晩餐





深夜1時。



寝室のドアが音もなく開き、勇樹が忍び出ていった。

私は布団の中で目を開け、息を潜める。



(やっぱり動いた)



美香からのパニック連絡に耐えきれず、直接会って対策を練るつもりなのだろう。

浅はかだ。



玄関のドアが閉まるのを確認し、私はすぐにベッドから飛び起きた。

着替えて、裏口から外に出る。



そこには、すでにエンジンをかけた蒼くんの車が待っていた。



「……来たね」

「うん。やっぱり出かけた」



私は助手席に乗り込む。

蒼くんは短く頷き、勇樹の車の後を追ってアクセルを踏んだ。



***




尾行は20分ほど続いた。

勇樹の車が向かったのは、街灯もまばらな郊外の運動公園の駐車場だった。



深夜ということもあり、他の車は一台もいない。



私たちは少し離れた木の陰に車を止め、ライトを消した。



闇の中で目を凝らすと、勇樹の車の助手席に、

すでに誰かが乗っているのが見えた。



美香だ。



二人は車内で激しく言い争っているようだった。

美香が手を振り回し、勇樹が頭を抱えている。



「……揉めてるね」



蒼くんが冷静に呟き、後部座席から望遠レンズ付きの一眼レフカメラを取り出した。



「え、そんな本格的なの持ってたの?」

「仕事柄ね。……さぁ、ここからが本番だよ」



蒼くんは慣れた手つきでカメラを構え、ファインダーを覗く。



車内の二人の様子が、手に取るようにわかる。



美香が泣き出したようだ。

すると、それまで頭を抱えていた勇樹が、急に美香の肩を抱き寄せた。



(……は?)



さっきまで「寄生虫」だの何だの言い合っていたくせに、

今度は慰め合ってるの?



そして次の瞬間。

二人の顔が重なり、濃厚なキスを始めた。



カシャッ、カシャッ、カシャッ連写音が静かな車内に響く。



「……撮れたよ。バッチリ」



蒼くんがモニターを見せてくれる。



そこには、車のルームランプに照らされた、

言い逃れのできない決定的な瞬間が、鮮明に写し出されていた。



ラブホのレシートは「行ってない」と言い張れるかもしれない。

音声は「冗談だった」と言えるかもしれない。



でも、これは違う。



「これで、社会的に抹殺する準備は整ったね」



蒼くんの冷たい声に、私は深く頷いた。



目の前で繰り広げられる夫の不貞行為を見ても、

不思議と涙は出なかった。



あるのは、獲物を追い詰めた狩人のような、冷酷な達成感だけ。



(さぁ、勇樹、美香。覚悟してね)



Xデーは、もう目の前まで迫っていた。



----------------




つづく



ついに押さえました。決定的な証拠写真。

焦った二人の行動は、あまりにも隙だらけでした。



次回、すべての証拠が揃ったところで、

さやかと蒼は、いつ、どこで、それを突きつけるのか。

「公開処刑」の舞台がついに決定します。





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【第9話】Xデーの決定と、完璧なシナリオ




翌日の夜、21時過ぎ。

ガチャリと玄関のドアが開く音がした。
いつもの乱暴な開け方とは違う、どこか恐る恐る気配を伺うような音。

「……ただいま」

リビングに入ってきた勇樹の顔を見て、私は心の中でガッツポーズをした。

顔色が悪い。
目が泳いでいて、視線が定まらない。
そして、しきりにスーツのポケットの上からスマホを触っている。

(あぁ、美香から連絡がいったのね)

『誰かにバレてるかも!』『変なアカウントからDMが来たの!』
そんな悲鳴のような連絡を受けて、気が気じゃないのだろう。

「おかえりなさい。ご飯にする?」

私は努めていつも通り、少し怯えたような「モラハラ夫に従順な妻」のトーンで声をかけた。

「……あぁ。いる」

いつもなら「遅せぇよ能無し」くらい言うくせに、今日は随分と大人しい。

食卓についても、勇樹は上の空だった。
箸が進まず、チラチラと私の方を見ては、すぐに目を逸らす。

(何よ、私が犯人だとでも言いたいの?)

そして、我慢できなくなったように口を開いた。

「なぁ、今日……誰か家に来たか?」

「え? ううん、誰も来てないけど」

「……そうか。変な電話とか、郵便物は?」

「ないわよ。どうかしたの?」

私は首を傾げてみせた。
完璧なポーカーフェイス。女優にでもなれそう。

「いや、別に……なんでもない」

勇樹は再びスマホを手に取り、画面を睨みつけた。
おそらく美香からのパニック状態のLINEが届いているのだろう。

私はお茶を飲むフリをして、グラスの縁で笑いを隠した。

(滑稽ね。私がすぐ目の前にいるのに、スマホの中の『見えない敵』に怯えてるなんて)

私はグラスを置き、何気ない調子で、
しかし彼にとって一番「痛い」言葉を投げかけた。

「随分と熱心にスマホ見てるのね。
誰かに見られたら困るものでも入ってるの?」


ガタッ!!

勇樹が過剰に反応して、椅子を鳴らした。

「は、はぁ!? 何言ってんだお前! 仕事のメールだよ!
お前みたいな暇人と一緒にするな!」

大声で怒鳴り散らすが、その声は裏返っていて、顔は引きつっている。
図星を突かれた時の、典型的な反応だ。

「……そう。ごめんなさい」

私は小さく謝ってみせた。

(やっぱり、こいつは小心者だ)

外では偉そうにしていても、少しつつけばこのザマだ。

勇樹は逃げるように食事を切り上げ、寝室にこもってしまった。
きっと今頃、美香と二人で震えながら「犯人探し」の電話でもしているのだろう。

私は一人残ったリビングで、スマホを取り出した。

『魚がかかったよ。今夜あたり、二人で密会するかもね』

蒼くんにメッセージを送る。

恐怖に駆られた人間は、必ずボロを出す。
二人が焦って動けば動くほど、私たちは決定的な瞬間を押さえやすくなる。

さぁ、次はどんな顔を見せてくれるの?

 

 

----------------

 


つづく

見えない恐怖に怯える夫の姿、最高に滑稽でした。
「何も知らないフリ」で追い詰めるのが、一番効果的ですね。

次回、焦った夫と不倫相手がついに動きます。
緊急密会……その現場で待っていたものとは?

 

 

 

 

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宣伝とかではないのですが余りに良かったので。

 

 

 

 


【第8話】決定的なカーセックスの現場

 

 

 

 



家に帰り、お風呂上がりの洗面所。

ドライヤーをかけながら、私はスマホで「あるアカウント」を開いていた。



『mika_smile_0520』



夫の不倫相手、美香のインスタグラムだ。



フォロワー数は500人程度。

「カフェ巡り」「ネイル」「仕事の愚痴」……。

どこにでもいる、キラキラしたい女子の投稿が並んでいる。



でも、その中には吐き気を催すような「匂わせ」が散りばめられていた。



***




【3日前】

写真:助手席から撮った、運転中の男性の左手。

本文:『仕事終わりに迎えに来てくれた♡ その時計、私がプレゼントしたやつだよね?似合ってる♡』



(……その時計、私が去年の誕生日にあげたものなんだけど)



夫・勇樹は「お前からのプレゼントなんてセンスない」と言って全然つけていなかった。

それを「私がプレゼントした」と嘘をついて投稿している美香。



虚飾。嘘。マウント。



この女の人生は、嘘で塗り固められている。



その時、画面上部に通知が来た。



蒼:『さやかさん、今大丈夫? 作戦開始するよ』



蒼くんからだ。

心臓がドクン、と跳ねる。



私は震える指で『OK』と返信した。



蒼くんが作ったのは、プロフィール写真も投稿もない、

真っ黒なアイコンの捨てアカウント



ユーザー名は『justice_kik』

(※kik = 寄生虫、という皮肉を込めたらしい)



ターゲットは、美香がたった今ストーリーズに上げたばかりの投稿。



----------------




【美香のストーリーズ】

背景:ビールの写真

文字:『上司の悪口大会なう(笑) 奥さんの料理がマズイとかウケる〜w 胃袋掴めない女は終わりだよねw』



----------------




……これ、昨日の電話の内容だ。

私が作った生姜焼きを勇樹が「マズイ」と言ったことを、ネタにしている。



怒りでスマホを握り潰しそうになった瞬間。

蒼くんからスクショが送られてきた。



「これをDMで送ったよ」



その内容は、シンプルかつ、彼女を地獄に突き落とす一文だった。



『昨日の22時15分。

勇樹さんが電話で「寄生虫」って言った時、

あなたは「キャハハ」って笑ってましたよね?』




具体的な時間。

具体的なセリフ。



これは、「あの電話を聞いていた人間」にしか書けない内容だ。



私は唾を飲み込んで、美香のストーリーズ画面を更新(リロード)し続けた。



1分後。



2分後。



既読がついたのだろうか。



突然、画面がパッと切り替わった。



【このストーリーズは利用できません】



消した。



さらにプロフィール画面に戻ると、

さっきまで公開されていた過去の投稿が、次々と消えていく。



匂わせ写真。

勇樹の時計の写真。

デートの報告。



全・部・削・除。



「……ふっ」



思わず、私の口から乾いた笑いが漏れた。



見なくてもわかる。

今頃、美香は顔面蒼白になって、震える手でスマホを操作しているはずだ。



「誰!? 誰が見てるの!?」

「まさか奥さん!? それとも興信所!?」




疑心暗鬼。

見えない恐怖。



蒼くんからのLINEが再び入る。



蒼:『ビビって全消ししたね(笑) でも遅いよ。魚拓(スクショ)は全部とってあるから』



頼もしすぎる共犯者。



ざまぁみろ。

あなたたちが私を笑っていた時間、私たちはこうしてナイフを研いでいたのよ。



でも、これはまだ挨拶代わり。

本番は明日、勇樹が帰宅してからだ。



美香から「誰かにバレてるかも」と連絡を受けた勇樹が、

どんな顔をして帰ってくるのか。



私は楽しみで、久しぶりにぐっすりと眠れそうだった。



----------------




つづく



まずは一発、ジャブを入れました。

「誰かに見られているかもしれない」という恐怖は、不倫カップルにとって一番の毒です。



次回、疑心暗鬼になった夫・勇樹が帰宅。

そこでさやかが放った「ある一言」が、さらに夫を追い詰めます。



【第7話】夫の焦りと、私のポーカーフェイス