ウィンブルドン:マレー、初戦勝利でマスコミの口を封じる | マレー・ファン@ラブテニスワールド

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英国テニス・ナンバーワン選手のアンディ・マレーを応援しながら、
ロンドンでの暮らしを綴るブログです♪
マレーがついに2012年ロンドン五輪で金&銀メダリストとなりました。
一緒に応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!


怪我で療養を始めて約一ヶ月が経ちました。その間、お気遣いのコメント、
ありがとうございました。本当に嬉しいです!苦しくなったときには、
コメントを何度も読み返して元気つけてました。

やっとネットの環境に戻ってきたので、早速iPadで人差し指で汗を書きながら
書いてます。
一つ一つのコメントに返事をするにはiPadだとどうしても
不便すぎるので、この場を借りて、皆様にお礼を申し上げます。

力尽きる前にテニスについて今日は思いっきり書こうと思うので、私の怪我に
ついてはのちほど…

***

さて待望のウィンブルドンが始まりました!
何といってもイギリス国民中の注目の的は、アンディ・マレーの初戦。

マレー、ウィンブルドン初戦


ウィンブルドン開催前は、これほど苦しいことはないというくらい、マレーにとっては
かなりの至難の日々でした。

というのも、全仏オープンのヤルコ・ニーミネン戦でマレーが取った『タイムアウト』が
大きな波紋を読んだからです。

マレーは1セット目の試合中に背中が痙攣。

ボールをまともに打ち返せないばかりか、サーブもぽよーん。もちろん走ることも
できません。

ボックス席に座るイヴァン・レンドルはじめマレーチームは、この様子を見てヤキモキ。
しきりに『試合中止』のサインをマレーに送る始末。

明らかにこのままではマレーは全仏棄権か…と思われたのですが、2セット目に入り
タイムアウトを取った後、突如、マレーの活力が挽回。逆にニーミネンはリズムを崩し、
結果 1-6, 6-4, 6-1, 6-2 でマレーが勝ちました。

マレー、全仏背中の故障


この後、イギリスのITVで解説を努めていたジム・クーリエは、

怪我が悪化する危険を冒して試合を続けたマレー

を批判。でもこれはまだいい方…

波紋を呼んだのは、1977年にウィンブルドン女子シングルス優勝を果した元イギリス・
テニス選手、
バージニア・ウェイドの発言です。

彼女はユーロスポーツでの解説中に、マレーを

Drama Queen(ドラマのヒロイン気取り)」と、

あたかもマレーが怪我を誇張しているかのような発言をしたのです。

この「ドラマクイーン」発言はたちまちイギリス中のマスコミに取り上げられ、
ツイッターでも賛同者や反論者を含め大騒ぎになりました。

もちろん私はマレー・ファンとして、彼女の発言に鬼怒り。

でも何よりもショックを受けたのは、当のアンディ・マレーでした。
普段からマスコミから叩かれるのは慣れているとはいえ、今回はかなり
衝撃が大きかったようです。

「本来僕(イギリス人)を応援すべき人の中に、本人に実際の怪我の状況を
 確かめもせずにセンセーショナルな発言をする人がいる。これは非常に残念だよ。
 僕にしかどれほど怪我の状態が悪いか分からないわけだからね」

さらにその発言をしたのが、マレーが親しく思っていたバージニア・ウェイドだった
だけに、ショックの度合いが大きかったようです。

「彼女(バージニア・ウェイド)は子供の頃からよく知っている。僕の母と一緒に
 コーチに関わっていたからね。でも彼女は試合開始20分前に僕に何が起こっていた
 か知る由もない。それに
怪我をしたふりをして、6-1, 4-2 から立ち上がろうと
 する意味がどこにある?」

この試合開始20分前の出来事とは、背中に8本の痛み止めの注射を打っていたこと。

イギリスのスポーツファン(マスコミ&一般人)の情熱の過剰さは、時には選手たちに
とっての大きな敵になってしまうから悲しいです。今年のサッカーのユーロで負けた
イングランドも同じ運命ですが…

さてウェイドの「ドラマクイーン」発言は、その後も大きく尾を引きずり、
トミー・ハースですら、マレーが背中を押さえる仕草は「演技だ」と批判。

クイーンズでのマレー初戦敗退後は、さらに新聞の見出しが『マレー、
ドラマクイーン』
で飾られるばかり。

ウィンブルドンのドローが発表されたあとも、イギリスのマスコミでさらに
マレー叩きが続きます。その多くは


「マレーが倒せるわけのない相手がずらりと並んでいるので、マレーの今年の
  ウィンブルドン優勝は無理」

という、何とも悲観的な予想。

今回はなんと、マレーの初戦の相手、ニコライ・ダビデンコまでがマレー叩きに参加。
ダビデンコは試合の一日前に、イギリス大衆紙のザ・サンのインタビューで、こんな
発言を。

「僕たちはマレーを笑いものにしているんだ。マレーはプレイをしたくないような
 ふりをしてコートにのろのろと上がってくると思ったら、突然野獣のように走り回る。
 これが彼がずっとやってきたことだ。

 マレーは全豪オープンで決勝に進んだけど、彼が優勝できるとは思えないね。ラファ・
 ナダル、ロジャー・フェデラー、ノヴァク・ジョコヴィッチと比べると、マレーは
 彼らのレベルには到達できないよ」

この発言はさらにイギリスのマスコミとファンの間で大きな衝撃を巻き起こしました。

ダビデンコが数年前に苦しい状況から這い上がって復活したことを応援していただけに、
彼が試合前にマレーをこのようにゴシップ的にあおるのは、私にとって非常に残念な
出来事でした。

…と前置きが長くなりましたが、マレーの試合開始前は、イギリスではなんとなく陰鬱な
空気が漂っていたのです。

状況がお分かりになりましたでしょうか?

特にサッカーでイングランドがユーロ2012で敗退した直後なので、
国民のムードはどん底です。

さて、今回の試合は私は女子決勝のチケットを友人と交換して見に行ったのですが
(女子決勝よりマレーの初戦の方が数倍大事です!)、会場もマレー応援で盛り上がると
いうより試合開始前はすごく静かでした。

どちらかというと、イギリス観客はマレーが敗退するのを息を呑んで
覚悟しているという感じ。

逆にマレーは、クイーンズの初戦敗退で芝での試合数が少ないので、
とにかく早くコートに立ちたいと語っていましたが…

で、結果!

なんですか?????!!!!!

マレー、とにかく冷静にダビデンコを切りまくるっ!

ファーストサーブはほぼ完璧。


チャンスがあるごとに繰り出される攻撃的なフォアハンド。

でも一番のショックは、超素晴らしいバックハンド・スライス。

芝生をあまりにも低い位置でかっ飛ばすので、ダビデンコが拾いきれない。いつの間に
こんな素晴らしい武器を見につけたの~?


さて、試合が進むごとにファンの士気は高まってきました。私は大声を出すと痛みが
走るので静かに見ていましたが、マレーの切れのいいショットが決まるたびに
観客が大歓声!

マレーは見事にマスコミからの様々なプレッシャーを振り切り、

『自身のテニス』

答えを出しました。

でも今日は負け惜しみダビデンコが、さらにイギリスのマスコミで大口を叩いて、
傷口を大きくしてます。


「マレーは僕を6-0, 6-0, 6-0で倒すべきだった!」

ちょっと~、もう完全にダビデンコの格が下がりました。

さて今日の見出し。

・Wimbledon: Andy Murray returns to form with a bang
 (ウィンブルドン:アンディ・マレー衝撃のカムバック)


・Sizzling Andy off to a flyer: Masterclass from Murray thrills Centre court
 
 (燃えるアンディ:マレーの達人ぶりがセンターコートを揺るがす)

・Andy Murray Says it's time to let tennis do the talking after first round demolition of Nikolay Davydenko
 
   (ニコライ・ダビデンコを初戦でつぶしたアンディ・マレー「テニスの結果でものを言うべきだ」)

…などなど、打って変わったようにマレーの試合っぷりを褒め称える記事ばかり。

あの試合っぷりだったら、何も非難するべき場所がないっ!

これがスポーツの宿命ですね。

私としては、自分が現在怪我で苦しんでいるので、どれほどスポーツ選手にとって
怪我が
命取りかをよーく理解できます。

実際、私も毎日痛み止めがないと生活できない状態。

なので今回のマレー叩きを見てると…なんだか悲しい。

あと今回の試合にはマレーのお母さんは来てませんでした。

彼女はフェドカップのキャプテンとして、別コートで行なわれていたイギリス女子
シングルスの試合を応援。

普通の選手だったら家族が心置きなく自分の息子・娘の試合を見れると思うと
(ティム・ヘンマンの両親は毎年ウィンブルドンのボックス席に座っていました)、
イギリスでマレー家族にかかるプレッシャーをほんとに気の毒に思います。

ちなみにマレーは、お母さんのジュディの影響が強すぎるといつも叩かれてます(´д`lll)

***

最後になりますが、私のこれまでの近況をご報告。

怪我が思ったよりもひどく、利き腕+上半身全体がぐるぐる巻きにされていたため、
実はまったく通常の生活ができない状態でした。お湯を沸かすことや
お風呂を入れることすらできない状態なので、この一ヶ月、彼氏の実家に
お世話になってました。

リタイアした夫婦なので、私が来たことをすごく喜んでくれたようで大事にして
もらいました。こんなとき、人とのつながりをとってもありがたく思います。

ブロードバンドのない生活も久々に味わいました。携帯でネットはたまにチェックして
ましたが、片手だと検索やアドレスを入力するのもかなり困難ということを発見。
いろいろと勉強になりました。

全仏はイギリスのITV(民間局)で放映していたので、ブロードバンドや衛星放送なしの
環境だったにも関わらず、すべての試合をテレビ中継で見ることができました。
決勝はジョコヴィッチのダブルフォルトでナダルの優勝。何ともいえない終わりでしたね~

クイーンズの二日目と三日目はチケットを持っていたので、彼氏に無理やりお願いして
連れて行ってもらいました。雨続きで超寒くて、凍えながらの観戦でした。

二日目、ケビン・アンダーソンとイボ・カロビッチの試合を連続で見ましたが、正直、
彼らの試合はリズムがなくて面白くないですね。カロビッチはなんでバスケの選手に
ならなかったんだろう、というくらい背が高すぎるし、彼らの試合はサーブの良し悪しで
試合が決まるという感じで…。

クイーンズ三日目、マレーの負け試合はかなり辛かったです。二日目からへとへと
だったのですが、実際公共の場で過ごすのは本当に困難で(例えばトイレに行くとか)
この日はもう完全にグロッキーでした。
なのでマレーが負けたあとは、がっくりするとともに、もう力が残されていないという感じ。

彼氏の両親は娘を持ったことがないので、そんな風に可愛がってくれたという感じです。
ただ
私もそろそろ自分の生活を始めないと精神的に苦しいという状況になってきて、
昨日のウィンブルドンの試合観戦を機に、やっと自宅に帰ってくることになりました!

お世話になった彼氏の実家には本当に感謝ですが、やっぱり自宅はいい~。

来週から本格的なリハビリが始められるので、すごく楽しみです。
きっと怪我した選手たちも、こんな気持ちなんだろうな~と、しみじみ。

それではかなり疲れが出てきたので、今日はこの辺で…