去年の11月、アンディ・マレーがロンドンO2ファイナルを怪我で辞退したため、
2011年最後の彼の試合が生で見れなくてがっくり。
特に決勝は辛かったです。
友人に無理やり連れて行かれて、フェデラーの優勝試合を
仕方なく(←フェデラーファンの皆様、失礼)観戦。
フェデラーがトロフィーを掲げる姿は涙なしでは見れませんでした。
というのも、もしマレーが勝ち進んでいたら、フェデラーを越えて
世界3位になっていたからです!
と、2011年がちょっと物寂しいムードで終わるかと思いきや・・・
・・・12月31日に、突然テニス界に大衝撃のニュース!
アンディ・マレー、イワン・レンドルを新コーチに任命
もう自分の目を疑いました。
あの、伝説の、グランドスラム8回チャンピオンのレンドルですよ。
現代のパワーテニスの元祖とも言われるストロークのマスターですよ。
うっ、信じたくないくらい嬉しすぎるニュース!!!
もちろん大晦日ということもあって、シャンペンで盛大に祝いました!
なぜ私がここまで喜んだかというと、マレーにはコーチがずっと
いなかったからです。
去年マレーはコーチのアレックス・コレチャと決別しました。
理由は、コレチャとの遠距離「交際」。
これは多くのテニス選手に言えることですが、なかなか過密ツアーに
付き合ってくれるほどの愛情あるコーチを探すのは至難の業。
トッププレイヤーのコーチともなると一年のうち半分以上
世界中を旅することになります。
コレチャはこの巡業を拒んだようです。
マレーが二度も全豪オープンの決勝に進んだにも関わらず、
二度ともコレチャのコーチのスペースは空席。
トップ4選手のマレーのコーチがグランドスラムに現れない?
と、ファンは驚いたわけですが・・・
なんとコレチャはその間、スカイプでマレーと遠距離でやり取り。
傍目から見ても、コレチャはマレーに100%情熱を注いでいなかったのは
明らかです。
特に去年の全豪オープンでジョコヴィッチにストレート負けしたあとに
「なんでこうしなかったんだ」と試合にも来なかったコーチから
遠距離で言われたのが決別する理由となったようです。
この大会後、マレーはかなりの打撃を受けて、スランプに陥りました。
さて、ここで「マレーの次のコーチは誰になるのか!」という
憶測や話題が取り沙汰されました。
でもマレーはすぐに次のコーチを任命するのではなく、スポンサーの
アディダスのコーチ・チームのダレン・カヒルを臨時に迎えることにします。
ところが契約上、対戦相手がアディダスのスポンサー選手だった場合は、
カヒルはマレーのコーチをすることができません。
なのでファンとしては、マレーが「アディダス契約の選手」と
当たらないことを願うばかり。
しかも一番重要なグランドスラムでは、カヒルはオーストラリアのテレビ局で
解説者を努めているため、マレーのコーチボックスは再び空席。
この「フルタイムコーチなし」状況は、ファンからするとかなり焦りました。
でもマレーは焦る様子もなく、じっくりと時間をかけて、2011年も終わる頃、
レンドル任命にいたったわけです。
さてレンドルのコーチ到来は、ものすごい衝撃をテニス界に与えました。
イワン・レンドルは94年に腰の怪我で引退して以来
ゴルフに打ち込んでおり(ちなみに彼の娘のイザベラはプロゴルファー)、
かなりのレベルまで行っています。
また腰の手術をして2010年にマッケンローとの殿堂試合で
復帰するまで、ずっとテニス界から遠ざかっていました。
しかもレンドルは一度もコーチをした経験がありません。
さらにレンドルは何度も他の選手からのコーチのオファーを断ってきました 。
なので、突然の彼のコーチ就任には、誰もが驚いたのです。
でもレンドルに言わせると、これは「夢の取り合わせ」。
マレーはこれまでグランドスラム決勝に3回進出、すべて敗退。
レンドルはグランドスラム決勝に4回進出するも、
すべて敗退という苦い経験を通して、
1984年に全仏オープンでついに初優勝 。
その後は歴史が物語るとおりです。
この「あと一歩」で優勝を逃した経験を何度も味わったことについて、
レンドルはこう語っています
「これはまるで『恋はデジャ・ブ』の世界だ。僕もマレーと同じプレイヤーだった。
でもロッチー(トニー・ロッチ、現レイトン・ヒューイットのコーチ)に出会って
すべてが一転した」
(ちなみに『恋はデ・ジャブ』を見たことがない方へ:毎日起きるたびに
同じ日を繰り返すビル・マーリー主演の映画。同じシナリオを毎日繰り返すうちに、
自分の間違いを徐々に解決していき、最後はハッピーエンドになるという内容の映画)
ここでレンドルが言っているのは、何度決勝に進出しても勝てないという悪夢を
繰り返しつつ、努力の積み重ねによって最後はそのシナリオが逆転したということ。
また、自分自身がロッチーの役になってマレーの人生を変えられると
確信しているからこそ、この仕事を引き受けたということ。
これはレンドルの輝かしい歴史にとっては大きな賭けです。
もしマレーがこのままグランドスラムに勝たずにキャリアを終えたら、
レンドルはコーチ失格のレッテルを貼られることにもなりかねません。
またこれまでテニス界で沈黙を保ってきたレンドルをコーチに雇うことは、
世界中のメディアから注目を浴びることになります。
だからこそ、マレーが彼をコーチに任命したことは、
「マレーに勇気がある」証明だとレンドルは語っています。
この話題はさらに続きますが、最後にレンドルの往年のライバルである
ジョン・マッケンローのコメントを。
「レンドルは24歳になるまでグランドスラムに勝ったことがなかった。
信じられないことに、マレーは24歳。
(レンドルに軍パイを渡したくないが)マレーにとって
レンドルはいい結果をもたらす可能性が高いので、
これからの動向を追うつもりだ」
これはマッケンローの口から出たとは思えないほどのほめ言葉(笑
なぜって、マッケンローはいまだに全仏オープンの門をくぐるたび
吐き気をもよおすくらい、レンドルのグランドスラム初優勝の日を
忘れてはいません。
(マッケンローは2セット先取、その後3セットをレンドルにとられる)
人生、誰もが忘れられない思い出はあるものです(笑
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