桜ひとひら


少し古びた厚い本 ゆっくりページをめくる

あの日閉じ込めた押し花 春の香りが零れる


二人歩いた 小さな公園 夕暮れのベンチ

一緒に見上げた花吹雪 ずっと覚えている


薄紅色の花びら ひらひらと舞う

あなたの肩越しに 桜ひとひら


風に運ばれた花びら 手を伸ばすけど掴めない

咲いて散る姿こそ 美しいのだと分かった


どんな時でも前に進めと あなたは言ったわ

一緒に過ごせる僅かな日 二人笑っていた


薄紅色の花びら ひらひらと舞う

やさしい想い出が 今も生きてる


薄紅色の花びら ひらひらと散る

あなたはもういない 風にさらわれ


薄紅色の花びら ひらひらと舞う

あなたを忘れない 風に散っても


立ち上がるベンチにも 桜ひとひら



♪「桜ひとひら」/さゆ李