たまゆら 11 | ラブストーリー

ラブストーリー

  何度だって言うよ あなたが好き
    

 

 

※BL表現が強い為、苦手な方はスルーでお願いします

お読みになってからの苦情や攻撃などはご遠慮ください

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
俺は、この年になって人生初のモテ期に突入しているんだろうか
 
 
今のアロママッサージのお店を経営しだしたのは10年前
開店当初からお客さんがついた訳では無い
その頃はまだ男性向けのサロンが注目されることはなくて、最近になって男性の美容意識が高まった事もあって漸くお客さんが増え出した所だ
 
 
色んな人が来店する中で癒しを求めて来るのが殆どで、俺自身が大変だった時期を乗り越えて来ているからお客さんの気持ちがよく分かる
そう言うのがお客さんの心を癒す手助けをしていると思っている
だから理解する事で深入りしてしまう所があるのか、相手に勘違いをさせてしまう傾向にある様だ
 
 
多分チャンミンもその1人で
それから、健人は従業員だし意外だったけれど他にもお客さんに告られる事が続いていた
 
 
男性専用だからって、そういう人が集まるのもあるんだろうか
でもチャンミンなんかは元々女性しか興味がなかった様なのに
どうして俺なんだろう
 
 
アロマは人の気持ちに働きかけると言うけれど全くそんなつもりはないのに最近やけに好かれることが多くなっていた
 
 
困るのは当然相手の体に触れる仕事だから、こういう仕事をしている人にしか分からないとは思うけれど肌を通してその人の気持ちが移る事がある
気分が上がっている人に触れればこちらも上がるし気分が落ちている人に触れればこちらも気分が落ちる
つまり好きが溢れているとその気持ちが俺に移ってしまうんだ
 
 
そんな事?と思うかもしれないがそういう事は本当にあって、お客さんに惚れちゃいそうになるから俺は極力飲み込まれない様にしている
 
 
それが冷たく思われて気持ちがないんだと離れて行く人もいる
その中でチャンミンはそれでも俺にマッサージされに通っていた
そんなチャンミンの想いは手に取る様に分かった
俺が好きでどうやって俺を落とそうかと思っているのが伝わってく
 
 
だから俺は絶対にチャンミンの気持ちが移らない様に一線を引いていた
 
 
明日はチャンミンの予約の日だ
俺はお客さんの予約の前日にはラインを入れる
いつもの様に明日の予約時間の確認とお待ちしていますと一言添え
大抵のお客さんはこんな業務連絡は無視して来店する
でもチャンミンは最初から丁寧な返事を返してきた
 
 
人柄がわかる丁寧な文章で送られてくるLINEのメッセージは好感が持てるものだった
そしてこっちから更に返事をすると一つ可愛らしいスタンプが送られて来る
それがチャンミンのイメージとかけ離れた可愛さでおれはいつも微笑ましく思っていた
今日もその返事が来る筈だった
 
 
「急で申し訳ありません。仕事が入りましたのでキャンセルをお願いできますか?」
 
 
キャンセルは二度目だ以前も仕事が忙しくて暫く来店しなかった事がある
今度も忙しいんだろうか?
そう言って来店しなくなる人もいるし、口実だとしたらこちらから予約を強要すると困るだろうから俺は、次回の予約に関しては何も触れずにキャンセルだけを受け入れてLINEは終わった
 
 
二週間に一回、俺と会うのが楽しみだとか言っていたのに
やっぱり俺が冷たくしてるから冷めてしまったんだろうか?
それとも急な事だし、何かトラブルとかじゃなきゃいいけど・・・
 
 
なんて俺はスマホのLINEを覗き込みながら考えてぷるぷると頭を振った
俺がそこまで考える必要はない
 
 
チャンミンはお客さんだからこの店に来た時には癒されてもらう為に手を尽くすけど、それ以外でチャンミンの事を気遣う必要はないんだ
次の予約が入るのを待てばいい
 
 
「ユノさん」
 
 
俺は健人に声をかけられて振り返る
 
 
「最近チャンミンさん来ませんね」
「あぁ・・・そうなんだよな、何かあったかな?」
「俺明日チャンミンさんに会うんで聞いてみますね」
「え?」
 
 
なんで健人がチャンミンと会うんだ?
しかもプライベートでなんて
 
 
「あ、チャンミンさんとキックボクシングの体験に行くんですよ、ユノさんも行きます?」
「なんで?」
ストレス発散に行くんですって話したらチャンミンさんも行きたいって」
 
 
いやそれはいいけど、一体いつそんな話をしたんだ?
って言うかいつからそんな仲良くなったんだよ
 
 
「健人・・・あんまりお客さんとプライベートな関係になるのは・・・」
「あ・・・実は友達とチャンミンさんが仲良くて」
「え?」
「ここにも来てる風磨です」
「風磨って健人のお客さんで来てくれてる子だよね?・・・その風磨君ががチャンミンと仲がいいの?」
「はい、前のワークショップで仲良くなったみたいで」
「そうなんだ・・・」
「だから明日3人で会うんですよ」
 
 
仕事が忙しいかと思っていたけどそんな時間はあるのか・・・
アロママッサージに来てくれたらいいのに
 
 
「チャンミンは元気なのかな?」
「元気は元気みたいですけど、なんか好きな人に振られたって言ってたな・・・」
「・・・そ、そうなんだ」
 
 
それって俺の事だよな?
健人には話してないんだ?好きな人が俺って事は
でも明日そんな話もするかも知れないな
 
 
「チャンミンにマッサージにおいでって言っておいて」
「はい」
 
 
俺は何となくモヤモヤとした気持ちになったのを隠す
 
 
チャンミンと健人?
なんだか不思議な組み合わせだ
 
 
俺が好きな者同士?
 
 
フラれた傷を舐め合って惹かれ合うなんて事もあるんだろうか?
 
 
 
 
 
俺はますますモヤモヤした気持ちになった
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

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