イタリアンの大きな店に勤め10年。
毎日、仕事と一人暮らしのマンションの往復。職場は女性ばかり。
男性といえば店長や厨房に居る連中だけ。おまけに規則は厳しい。
制服はもちろん、髪は真っ黒に染めること。マニキュアなんてもってのほか。
不規則なローテーションで働く私は出会いなんてまるで無し。
お客さんはカップル、ファミリー・偉そうな肩書きのあるおじさん。
そんな中で10年も働き疲れてしまった。
「早く結婚してちょうだい」と両親は訪れてくるたびに口を揃えていう。
特に父親は「早く孫の顔をみたい」と言う。
私だってこんなキツい職場から脱出して結婚したい。
でも、内気な私は同僚や後輩に「休日を替えて」と頼まれると嫌とはいえない。
だから便利なお姉さんと後輩たちにラベリングされている。
ある日、母だけ訪れてきた。またかと思い心の中で構える。
母は黙ってブレスレットを私に渡した。何これ?でも知っている。
昼食時に仲間が話していたパワーストーンだ。母は「ムーンストーン」と告げて帰る。
私の腕に付けてほしいらしい。いつ付ければいいのかわからないから私はしばらく放っておいた。
休み明け、出勤したら「寿退社」とロッカー室に同僚の名前が貼ってあった。
悔しいけど現実。どうやって出会えたの?でも聞けない。
そういえば彼女はパワーストーン好きだと仲間から聞いていた。
思い切って祝福の言葉を口実に彼女に聞いてみた。
やっぱりブレスはプライベートの時に付けていた。
でもそれだけではなかった。彼女はサンキャッチャーを家に置き、願いをかけていた。
しかも、強い力をもつサンキャッチャーをだ。自分の寝室に下げていると教えてくれた。
私もあやかりたい。帰宅してすぐにネットで検索してみた。
彼女がいったとおり強力な力をもつサンキャッチャー。
私も恋愛して結婚したい。思い切って少ない貯金から買ってみた。
届いてからすぐに窓辺に下げてみた。本当に彼女が言ったとおり。
サンキャッチャーから強いエネルギーを感じた。
次の日、仕事から帰ると締め切った部屋の空気が澄んだ感じがする。
何か体も癒されてくる。ぐっすり眠れて起きても爽快。
その日を境に仕事にも意欲がわいてきた。笑顔でキビキビと接客していると同僚が褒めてくれた。
日数を重ねるごとにポジティブになる自分に気づき、
母がくれたムーンストーンのブレスを付けて合コンに行ってみようと思うようになった。
合コン当日になって自分でも驚くなようなことが連続で起きた。
積極的に男の人と話ができる。そして楽しい。
何人目かの男性との最初の会話。相手がブレスの石の名を聞いてきた。
ムーンストーンと答えた。彼は相思相愛の恋愛の石と言った。
彼にサンキャッチャーを窓辺に下げてから職場でもいわれたように意欲的になっていた。
彼は黙って私の話を聞いてくれた。暖かく包み込んでくれるような人は初めてだ。
最後に彼もパワーストーンが好きと白い歯をみせて笑った。
その日から交際が始まった。
私の仕事のシフトにあわせ深夜デートもOKしてくれる。
ときどき、ランチにきて遠巻きに私をみて安心して帰る彼だ。
職場で最近綺麗になったといわれる。そして、同僚や後輩に頼まれた休日変更も断れるようになった。
彼と映画や食事に行き気がついた。
腕にオニキスとムーンストーンの組み合わせでブレスを付けていた。
聞き上手で優しい彼に私はとても癒される。
私は早く結婚したいと願いながら、彼との恋愛期間を楽しんでいる。
不思議な余裕を感じる。
でも強い味方のサンキャッチャーが結婚へと導いてくれると信じている。