世界的指揮者、西本智美がベラルーシ国立交響楽団を率いて公演を行うことを知り、舞台であるサントリーホールに足を運んで来た。
ベラルーシ国立交響楽団は1972年設立、ソビエト連邦時代から続く由緒正しいオーケストラである。
ピアノは本国ロシアで絶大な人気を誇る奇才アレクサンダー・ルビャンツェフ。

世界でも数少ない女指揮者・西本智美という人は、およそ女性らしからぬ表現をする指揮者であり、仁王立ちで猛々しく、力強くタクトを振る姿が衝撃的であった。
『男装の麗人』と称される彼女だがそのスマートさと圧倒的な迫力にすっかり呑まれてしまい、夢中で目で追う自分がいた。
後ろで弾いているルビャンツェフに時折横目で投げる視線が鋭く、魅惑的で、その視線の先に座る私はその度に心臓を射抜かれるような心地がした。
演奏時は軍隊を雄々しく率いるナポレオンのごとき印象だが、指揮台を降りればその立ち居振る舞いは洗練されていて、非常に堂々としており、余裕顔で微笑む姿も優雅そのもの。
容姿ばかりで話題性がある人だと思われがちだが、迫力ある存在感、巧みで豊かな表現力とオーケストラをまとめあげる実力は本物であると感じた。
一方、弱冠25歳のルビャンツェフだが、青年というより少年といった方が良いと言える華奢で繊細な印象のピアニストである。
『白魚の様な指』という言葉はこの人の為にあるのではないかと思える、白く美しい細やかな指先で、鍵盤に踊る魔法をかけていた。
最も気に入っている作品だというラフマニノフのピアノ協奏曲第3番が彼の大舞台となった。
誰もが耳にしたことがある、1度聴いたら忘れられないロマンティックで哀愁漂う旋律(残念ながらその部分は全編を通して1度弾かれるだけで繰り返しがない)が印象的だ。
ルビャンツェフの魅力は音楽解釈と表現がとても個性的で独特、そして自由だということが挙げられる。
時折彼があまりにも没頭して弾いているので、こちらも息をつく暇がないと感じることもある。
音楽ライターによるルビャンツェフのイントロダクションに、『それはまるで、裸足で、どんどん深い森の小道に入り込んでいくようでもある。』とあったがまさに彼の演奏はそんな印象。
卓越したテクニックを持っているがその指先が一種の清廉さをたたえている。
「悲しみをはらんだ作品でも、どこか人を救うような部分がなくてはならない」と語る彼の言葉が印象的だった。
これからの活躍に期待したい。
アンコールはブラームスのハンガリー舞曲第5番
これは大変嬉しいサービスだ。
最後に美しくも圧巻な演奏力を見せつけ、この日の公演は幕を閉じた。
さて西本智美の指揮は見たことがなくても、このCMをご存知の方は多いのでは?
(ドヴォルザーグの交響曲第9番『新世界より』 何度観てもシビれます♡)
西本智美
現在、ロシア国立交響楽団首席客演指揮者。オリンパスホール八王子エグゼクティブプロデューサー。
ロシア国立サンクトペテルブルク音楽院オペラシンフォニー指揮科に留学。
チャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団芸術監督兼任主席指揮者、ムソルグスキー=ミハイロフスキー記念サンクトペテルブルク国立アカデミックオペラバレエ劇場主席客演指揮者などを歴任。
ハンガリー国立歌劇場、プラハ国立歌劇場などでも成功を納め、オペラ指揮者としても評価が高い。
2010年にはカーネギーホールにてアメリカンシンフォニーオーケストラを指揮し、大成功をおさめ、2011年にはウエストチェスター交響楽団に招聘されるなどアメリカにも進出中。
2012年9月より日本フィルハーモニー交響楽団のミュージックパートナーに就任する。
2007年よりダボス会議を主催する『世界経済フォーラム』のヤンググローバルリーダーに選出されており、その動向は世界中から注目を浴びている。
2009年ベストドレッサー賞受賞。
西本智美オフィシャルサイト
Alexander Lubyantsev
1986年サンクトペテルブルク生まれ。2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクール3位入賞。
同大会で審査員を務めたドミトリー・バシキーロフは「若々しく奇想天外。神秘的で、まるで別世界に居る感覚に陥ったような音」という賛辞を贈った。
2011年に行われた第14回チャイコフスキー国際コンクールでは優勝候補と期待されたものの、惜しくも決勝進出を逃した。結果に不満を頂いた聴衆は審査の公正さに疑念をぶつけ、ルビャンツェフの名を連呼する騒動にまで発展。
この事態に対し異例の記者会見が行われた。コンクールの結果とは別に、ロシアの音楽批評家たちにより公正な評価投票が行われ、見事第1位に輝き「批評家賞」が贈られた。
コンクール後も「聴衆によって選出された優勝者」として新聞各紙や専門誌を大いに賑わせ続けており、本国ロシアでも絶大な人気を誇る、今最も注目すべきピアニストの一人である。
彼はその透徹した音楽と卓越した技術力により「リヒテルの再来」とも言われている。
現在ロシアのペトロザヴォーツク市国立音楽院に在学中。自身の楽曲制作にも精力的に取り組んでいる。
2012年には南アフリカのクワズルナタール・フィルハーモニー管弦楽団、ヨハネスブルグ・フィルハーモニー管弦楽団との共演、そしてベラルーシ国立交響楽団とは日本でのツアーを行う。
2013年1月にはルドヴィーク・モルロー指揮の下、シアトル交響楽団との共演でアメリカデビューを飾る。
また、ソロリサイタルとして、南アフリカの6つの都市、エストニアのチュリ春音楽祭(Türi Kevadfestival)、そして日本では第31回 横浜市招待国際ピアノ演奏会への出演を控えている。
2012年には南アフリカのクワズルナタール・フィルハーモニー管弦楽団、ヨハネスブルグ・フィルハーモニー管弦楽団との共演、そしてベラルーシ国立交響楽団とは日本でのツアーを行う。
2013年1月にはルドヴィーク・モルロー指揮の下、シアトル交響楽団との共演でアメリカデビューを飾る。
また、ソロリサイタルとして、南アフリカの6つの都市、エストニアのチュリ春音楽祭(Türi Kevadfestival)、そして日本では第31回 横浜市招待国際ピアノ演奏会への出演を控えている。
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