花愛、シガーを嗜む① | 工藤 花愛の恋する短歌の作り方

工藤 花愛の恋する短歌の作り方

ボンテージとインドをこよなく愛すちょっと過激な恋愛短歌人です



初めてシガー(葉巻)を間近で見てそれがとても魅力的なものだと思ったのは今からちょうど1年ほど前



ホテルオークラにあるオーキッドBARでだった



オークラは米国大使館の目の前にあり、議員会館や首相官邸からも近いため首相始め政界人がよく出入りしているホテルである



その夜はとある紳士に山里でのディナーに招待していただいた



日本料理山里はオークラの中でも政治家御用達の店として知られている



毎日、新聞報道で発表される『首相の動静』にて

『虎ノ門にあるホテルオークラ東京内の日本料理店・山里にて防衛庁長官と食事』

などとその名はひんぱんに出てくる



『山里会』が開かれる場所としても知られており、またCIAの活動拠点とされる黒い噂もある




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私達の周りのテーブルもどこかの代議士一家の会食や、
テレビで見たことがあるような政界人たちの顔ぶれによる会合が開かれていた



紳士はオークラの近所に住んでいることもあり頻繁にこの店を利用しているようで



慣れた様子でコース料理ではなくお薦めの一品料理を頼んでいった



山里の売りは天ぷらだが鮨の久兵衛が隣接されているため、頼めば久兵衛の握りをその場でいただくことも出来る



私は政治家達に囲まれながらかしこまった雰囲気の中、お行儀よく料理をいただいた




食後にゆっくりお酒を飲みましょうと


紳士が連れていってくれたのがオーキッドBARだ


こちらもどことなく重々しく格調高い雰囲気で


見渡せば洗練された紳士淑女の方々しかいなかった


私は薦められるままにドンペリを使ったベリー二をいただき、その隣で彼はシガーを吸った


太くて重厚感があるシガーを彼は時間をかけてゆっくりとふかしていた



わたしの周りでシガーを吸う男性は彼が初めてだった


濃厚な香りを漂わせ、洗練されたしぐさでシガーの煙をゆるりとふかしている彼を見つめながら


『大人の男』とはこういうものなのか、と淡い憧れを抱いた記憶がある


BARを出たあと、彼はホテル内にあるシガー店ダビドフに私を連れて行き、たくさんのシガーたちを見せてくれた



私はシガーはもちろん、美しいヒュミドールに目が釘付けだった




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ヒュミドールというのはシガーを保管する保管箱のことである



内部は抗菌で適度な湿度を保つために主にスペイン製の木材が使われる



とても優雅で美しいフォルムのヒュミドールを見つめて、葉巻というよりヒュミドールが欲しいと思った


こんなに素敵な箱がインテリアとして置かれている自分の部屋を頭の中で思い描いてウットリし




あれから1年経って場所は赤坂



私は男性と飲む官能的なお酒ももちろん好きだが、一人BARでひっそりと飲む時間も好きだ



地下に降り、一瞬開くことをためらうような重々しい扉を開けると



店内は格調高いアリアがかかっている



四方の壁のうち二面いっぱいに天井までお酒の瓶が並んでいる光景が圧巻のBARだった



バーカウンターの一番奥の席に座った



この店にぴったりの柔らかくも粛々とした振る舞いのバーテンダーが丁寧に注文を聞きに来た



私は巨峰を使った季節のカクテルを頼んだ



目の前にシガーの大きな棚があった



美しいシガーの箱たちが並んでいてとても大きな存在感を放っている



眺めているうちにそれはとてもとても美味しそうな嗜好品として目に映った



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巨峰の果汁に、スコッチと少々のグレープフルーツを加えシェイクしたカクテルと



貴腐ワインで漬けた瑞々しい巨峰のコンポートが運ばれて来て



ゆっくりとその味を楽しんでいる間も
目の前のシガーが気になって仕方ない



隣ではこの店のVIPらしい紳士がバーテンダーと歓談をしながら1人シガーをふかしている



その姿がとても魅力的に目に映る




……やはり美味しそうだ




私があまりにシガーの棚を見つめているのでバーテンダーが近づいて来て『お吸いになりますか?』と訪ねて来た


(続く)