小説書くのも好きなので、
今度は長編小説に挑戦したいと思います。

短編小説では省略された細かい仕草等、
伝わりやすく書いていきますので、
是非この機会に読者登録の程、よろしくお願いします。

また、各シナリオでの感想のコメントも頂けると嬉しいです。
ここはこう書いた方が良かった等、アドバイスもお待ちしております。


------------------ 本文ここから
カチカチッ。

ディスプレイを見ながら、自分のブログを開く。
誰も見る事が出来ない、非公開のブログ。
ここには、俺の全てがかかれている。

そして、左手には彼女から受け取った手紙。
これと照らしあわす為、振り返るのだ。

俺は何処からずれていたのか。
何処から傷つけていたのか。
もう一度確認するために。
そして、次の一歩を見つけるために。

今、見直さないといけない。
自分の歩んできた道を。


彼女から受け取った1枚目の手紙を握り締め。
出逢った頃のブログを読み返した。



4月6日、始業式。
俺は、高校生2年になり新たなクラスへ足を踏み入れた。
ガヤガヤしていると思って入ったのだが、
まったくの裏目。
1年の時と同じだったであろうメンバーが
こっそり話をしている位で、
他のメンバーは静かに座っていたり寝ていたり。

なんか、居心地わりぃ・・・

そういや、俺と同じクラスになったツレいたっけな・・・
自分のクラス確認しただけで、他のヤツをチェックするの忘れてたぜ。

自分の席に向かう中、知ってるヤツがいないか見渡す。

「おっ」

俺の声に反応したように、ツレの福岡(ふくおか)と目があった。

「よっ!成瀬(なるせ)。今年も宜しくな」

そう言って軽く手を上げ、合図する。
俺は自分の席に向かわず、福岡の机で立ち止まり。

「おう。今年こそは、勝ち越してやるからな!」

強く福岡の顔に指さし、忠告した。
俺達の間では、毎日昼になったら購買担当を決める事になっている。
ジャンケンで勝負して、負けたほうが二人分の飯を買ってくるんだ。
俺は1年の時、概ね2/3の確率で負けており、
ジャンケン弱魔王の称号が命名された。
だが今年は違う。
春休みにネットで調べたんだが、間をおかないジャンケンをすると、
高確率でグーチョキパーの単純な動作を出す人が多いという情報を得た。
今年はこれで勝ってみせる。
完璧な作戦すぎて我ながら誇らしい。

「今年も、パシリに使わせてもらうぜっ」

そうにやにやしながら福岡は笑う。
何か俺、子ども扱い。
この笑顔、やたらむかつくぜ。
だが、この笑顔に何人の女が騙されたことか。
悔しい話だが、こいつはめちゃ格好いい。
「顔」だけが売りで、女と遊んでやがる。

キーンコーンカーンコーン・・・・

8時30分のチャイムが鳴る。

「ふん、まぁみてろ」

俺は捨て台詞を残し、自分の席へ座る。
この学校は体育館がないため、始業式と言っても
館内放送で行われる。

新しくなった40代位の男担任もクラスに入ってきて、
簡単な自己紹介を黒板に書き始めた。

三越泰三(みつこしたいぞう)という名前らしい。

「先生を怒らせると痛いぞぉ。ハメをはずさず、しっかり勉強するように!」

担任のオヤジギャグに全米が引いた。
冷たい空気の中、遠慮なく自分の自己紹介を話しているが、
耳が腐りそうなので寝る事にした。
・・・・・


トントン。
肩を叩かれて、ふと目を覚ます。
眠い中、ゆっくり顔を上げる。

俺の席から前は、さっきまであった机がなく、
ガランとしていた。
周りを見渡すと、どうやら掃除しているようだ。

「掃除するので、机後ろに下げてほしいんですけど」

ほうきを持ったセミロング位の可愛い子が、
俺に机を下げろという用件で起こしたらしい。

「ああ、悪いな」

ずずっと、軽く机を引き、5cm位机を下げる。
そして俺はまた寝ようとする姿を見て。

「あの、後ろに下げてほしいんですけど」

また俺に向かって命令してきた。

「ああ、下げたよ。見てなかった?」

「え・・・今の下げたんですか?」

「ああ。見たろ?机を後ろに下げたぞ」

ちょっと困ったような顔をして、悩みこむ。
数秒して、パっと目が開き、何か名案が浮かんだようだ。

「今の、200倍位下げてもらえますか?」

「は??」

200倍?
意味わからん。
こいつあほちゃうか?

「200倍ってどんなもん?」

「えっと、、、あそこの机位です」

そういって後ろの机を指差す。

振り返って距離を見るが、
どう見ても2メートル位しか距離はない。
200倍も移動したら机と机がフュージョンしちまう。

そう考えると少し自分の中でウケてしまった。
それを隠そうとちょっとニヤニヤしてしまう。

「わかったわかった。下げるよ。すまんな」

こいつのあほっぷりに負け、いそいそと机を下げる。
なんか、おもろいクラスに入ったもんだな。

皆は掃除してるが、寝ていた俺にはどこの担当かわからん。

「ねぇねぇ、掃除って何時まで?」

さっきのあほっぷりな子に聞く。

「えっと、あと10分位です」

「そっか。サンキュ」

俺はその場を離れ、他のクラスにどの知り合いがいるのが
見て回る事にした。
どうやら結構バラバラな所に点在しているようだ。
見かける度に掃除の邪魔をし、一声自分のクラスが何処か教える。

ついでに階段の通路を渡った奥にあるトイレへ行こうと向かったが。
何処かのありきたりな出会いの風景のように、
階段の通路で誰かと正面衝突をした。

ゴチッ!
肩と肩がぶつかったあと、ノンストップで頭が飛んで来た。
見事に俺の耳付近にクリーンヒットし、耳がキーンとなる。

「っつー!いってぇなー!何処みとんじゃい!」

頭突きをもろに食らった耳を押さえながら、
犯人ににらみを掛けた。

「あたーー。。。。ごめんなさい!」

頭を押さえながら、懸命にいたそうなそぶりをし、
目を瞑りながら俺に謝る女の子がいた。
よく見たら、1年の時同じクラスだった中山千里(なかやまちさと)じゃないか。

「千里ー!お前が犯人かよ!」

千里は頭をさすりながら、片目を開けて俺を確認する。

「あ、光一(こういち)くん。ごめんねー。」

「ったくー。お前、前方不注意すぎなんだって。何処目つけて歩いてんだよ!」

「ここ・・」

千里は自分の目を指さしながら、涙ぐんでいる。
よほど痛かったらしい。
俺もまだ耳がキーンと鳴っていて、痛恨のダメージを受けたんだが。

「それは仮の目だろ?本当は後ろについてんじゃねーのか?」

「仮の目ってどう言うことよ~。ここにちゃんと2個あるんだから!」

両手の人差し指で両方の目を指差す。

「後ろに5個位ついてんだろ?ちょっと後ろ向いてみぃ?」

「またー!ついてないんだからね!ばか!」

そう言いのこし、自分のクラスへ歩き出した。
そんな後ろ姿を見て。

「やっぱ後ろに5個ついてんじゃん」

そう言われた千里は猛スピードで振り返り。

「ついてせんよーだっ!」

今時流行りもしないあっかんべーをしながら遠ざかる。
が。

「ぎゃっ!」

俺にあっかんべーしてて前方見てなかったがために、
また違う人とぶつかってやがる。

「あたーー。。。。ごめんなさいー!」

あいつの行動は永久ループだろうか。
また声かけると2度ある事は3度あるになりそうなので
やめておく事にし、トイレへ向かった。

気分すっきり膀胱すっきりになり、自分のクラスへ戻る。
廊下を掃除していたヤツもほとんどが教室にはいったようで、
数人ちらほらいる位だった。

クラスに入ると。

「あー!光一くん!」

千里が俺を指さしていた。
なんだ、千里も同じクラスだったのか。
千里の前に歩み寄る。

「千里も同じクラスだったのか。さっきは気づかなかったぞ」

千里の前の席に誰も座っていなかったので、
勝手にイスを拝借し、反対向きに座る。

「そうだよ。一緒のクラスだよ。ずっと寝てたでしょー」

「いや、瞑想してたんだよ。集中して先生の話聞かないとダメだろ?」

「えー!じゃあ、先生何話してた?」

「自己紹介に始業式。だろ?」

「んー・・・まぁ、そうだけど。。本当に起きてたの?」

「もちろんさ。俺が始業式早々寝るわけないだろ?」

「寝ると思う」

「即答かよっ」

「もちろん」

「瞑想だぜ?」

「よだれたらしてたけど?」

「えっ!まじ?」

「ほらー!寝てたんじゃん!」

「あ、しもた。。千里トラップにひっかかった」

「トラップとか言わない!もう!」

他愛のない会話が弾んでいる中、担任が教室に入ってくる。
俺は自分の席へ戻る。
明日からの時間割りが書き出され、それをメモする。
今週の授業は午前中だけか。
ジャンケンできねーじゃん。

そう思いつつ、無事高校2年1日目の学校は終わった。

福岡と少し話した後、帰宅するために1Fの下駄箱へ向かう。
すると、机を200倍下げろとか言ってきた子が
自分の下駄箱から靴を取り出してる姿があった。

「よっ、さっきは起こしてくれてサンキューな」

俺は気軽に声をかえる。
向こうも俺に気づいたようで。

「いえ、こちらこそお休みの中起こしてごめんね」

少しは気をつかっていたようだ。

「いや、あれ瞑想したから。集中し過ぎて気づかなかったんだ」

「え?瞑想って、滝に打たれる瞑想の瞑想ですか?」

「そそ、頭の中で滝に打たれてたんだよ。」

俺は自分の下駄箱から靴を取り出し、靴を下ろす。

「痛かったですか?」

「ん?ああ、もうなれっこさ。200年は滝の修行受けてるからね」

わざと200という数字を強調して言って見る。

「え!今、何歳ですか?」

こいつ、本気で質問してんのか?
このままだとボケ殺しじゃないか。
俺は靴を履きながら。

「今216歳でね、200年ばかり留年したのさ」

「えーーー!本気で言ってます?」

「嘘にきまってんじゃん!ってかつっこめよ!」

完全にボケ殺しだった。
こいつ天然なのか?

「ですよねー。びっくりしちゃいました」

そういいながら止まっていた手が動きはじめ、
彼女も靴を履く。
俺は校門を軽く指さし、一緒に歩き始める。

「お前って天然だよなー。よく生きてこれたな」

「天然ですか?普通ですよ?」

「ああ、天然なヤツほど普通っていうんだよ」

「そうなんですかぁ。でも普通ですよ?」

「ああ、だから天然なヤツほど普通って言うんだよ」

「そうですかぁ。普通なんですけど・・・」

「だから、普通と言うやつが天然なの!」

「えーー。。それは困っちゃいますねぇ。普通がいいです」

もういい。
どうしてこんなに女は永久ループを好むのか。
ようわからん。

「お前さ、名前なんていうの?」

話題を変えに入る。

「私は美恵(みえ)って言います」

「へぇー。上の名前は?」

「だから、美恵です」

「へぇー。じゃあ、下の名前は?」

「下の名前も美恵です」

「え?もしかして、美恵 美恵っていう名前なの?」

「はい・・・よく、同じ質問されるんです」

「まじかよ!すげー名前だな。わかりやすい!」

「覚えてもらうにはもってこいなんですけど、
 上も下も同じだけに、ちょっと説明が大変なんです」

「そりゃそうだろうなぁー。俺もびっくりしたぜ。
 世の中そんな名前もあるのねー!」

「うんうん。あなたは、名前何ていうんですか?」

「俺?俺は、成瀬光一。光一でいいよ」

「光一くんですかー。堂○光一みたいな名前で格好いいですねー」

「だろ?ダンサー光一って呼んでくれていいぜ」

「じゃあ、光一くんで」

「あ、そう?じゃあそれでいいや」

軽く流されたな。
こいつ、回避能力はそれなりにあるらしい。

「あ、わたしの家こっちなので」

美恵が立ち止まり、後ろの方角を指さす。

「え?通り越したってこと?」

「はい。つい話してる間に、過ぎちゃったみたいです」

「そかそか、そりゃすまんかったな。気をつけて帰れよ」

「はい。それではまた明日」

深く礼をし、逆の道を歩いていく。
俺は軽く手を上げ、バイバイをする。

なんか、あいつやっぱアホだよな。
そしてボケ殺し。
とみせかけといてうまい回避。
なかなか曲者だな。


俺はそう感じつつ、自分の帰路を歩くのであった。




俺はこの日のブログを読み終え、
彼女の手紙に振り返る。

「光一くんと出逢ったあの始業式。
 先生の話も聞かず、ずっと寝てたよね。
 瞑想とか言って騙されちゃったけど、
 そんな愛嬌が私には新鮮に見えた。
 
 下駄箱の前で、声掛けてくれたよね。
 自分の名前を言うのが恥ずかしかったけど、
 すごいって褒めてくれた。
 
 ダンサー光一くん。
 光一くんは。
 私が出会った中で、一番印象に残る人だったよ。」

こいつ。
あの時の事なんか。
俺、あんまり覚えてなかったのに。
女って、よく覚えてるよな。
こんな女だったなんて。
当時ミトコンドリアの大きさも感じ取れなかった。
本当に。
つよいよな。
美恵。。。。



To be continued.