現地の人のビジネス感覚
以前のブログ『お金と協力隊』にも記載した通り、私が最も力を入れている活動は現地の方のスモールビジネス立ち上げだ。任地には日本人とは異なり、お金を借りてでも貪欲に新たなビジネスを始めたいと思う人が多い。彼らのハングリー精神や向上心にはいつも刺激をもらう。そして、今は養鶏のスタートアップを、あるユースグループのリーダーと行っている。しかし、、、ビジネス感覚があまりにもない。いや、ビジネス感覚というとあまりに仰々しい。端的に言えば、利益を出さなければビジネスではないことがわかっていない。他の人がやっているから自分も成功出来るはずだ。そんな感覚しか持っていない。と思えてしまう。養鶏のひよこや餌を供給するサプライヤーのところで簡単に収支計画を話した時のエピソードがとても顕著だ。サプライヤーに想定される売上と費用を確認すると、下記のようになった。100羽の養鶏を始めようとすると、 ※単位はUSH(ウガンダシリング)。○想定される売上1羽の売上:18,000ush総売上:18,000ush×100羽=1,800,000ush※奇跡的にすべてのひよこが成長したら。通常は何%かは病気などで死ぬ。○コスト・ひよこ代=180,000ush1羽のひよこ:1,800ushすべてのひよこ:1,800ush×100羽・餌代=2,078,000ushStarter(始めの3週間)1パック120,000ush×5パック=600,000ushGrower(途中の2週間)1パック105,000ush×6パック=630,000ushFishier(終わりの3週間)1パック106,000ush×8パック=848,000ush・ワクチン代:50,000ush※予防接種のみ。ひよこが病気にかかったら費用はよりかかる。とざっくり書いても、お分かりの通り、売上:1,800,000ush費用:2,308,000ushと大幅な赤字である。今回、小屋代などにかかる初期費用は入れていない。初期費用ですら軽く1,000,000ushはかかる。小屋代などの費用は私は支援する考えはないので、今回は省いているが。この計算を紙に書いて説明したら、ユースグループのリーダーもそして、サプライヤーも驚いていた。私の感覚から言えば、サプライヤーが最もおかしい。少し計算すればビジネスにならないとわかるものを売っている。そして、堂々と説明をする。説明をしたらみんなこのビジネスを辞めるということがわかっていない。ユースグループのリーダーも大概である。今回、私がこの計算をしなければ彼はこのサプライヤーからひよこ、餌を買うことを決めていた。サプライヤーからの説明を聞いてもすぐにはこのあまりにも矛盾した事実に気づかなかった。何度か説明して、紙に書いて利益が出ないことを気付いた。リーダーは今回、養鶏がビジネスにならないことを知ってとても悲しそうな顔をしていた。彼にとってここからが始まりだろう。他の人がやっている養鶏。自分もやれば儲けることが出来るという甘い考えは捨てられたはずだ。利益を出すというのは簡単なことではない。今回、このブログを読んでくださった方はこのリーダーがあまりにも甘い考えを持っている特別な人間と思われたかもしれないが、私の見立ては違う。私の任地ではかなりの大半の人がこうなのだ。みんながやっているから私もという感覚の人が多すぎて、自分が行っている事業で本当に利益が出ているかを気にしている人は少ない。投資をすれば必ずそれを上回るリターンがあると信じている。私の残りの任期で少しでもスモールビジネスのスタートアップに関わり、この誤った感覚を修正していきたい。きっとそのためには、ビジネス講習会なんてものではなく、実際にビジネスを始めるという経験をしなければならない。私一人の力ではたかが知れているが、私の活動が、行動が、波紋のように広がっていくことを願う。渡辺 慎平