朝日と日経が中国高速鉄道事故で「真逆」の報道? 中国当局も報道規制強化か
23日に発生した悲惨な中国・温州の高速鉄道から早1週間。
この1週間の間に、高速鉄道の早すぎる運転再開、事故の賠償額をめぐる混乱、先頭車両を土中に埋め、また掘り起こすという当局の対応などを経て、中国国内の報道も穏やかではなくなったが、またここにきて報道規制が強化されていると伝えられている。
日本での報道も若干落ち着いてきたとはいえ、まだまだ中国当局の対応に注目している状況。
そんな中、30日付の日本経済新聞(中国「新幹線」空席8~9割)と31日付の朝日新聞(中国高速鉄道、ほぼ満席)の間には、高速鉄道再開後の運行状況について、真逆ではないかとも思えるような記述の差異がある。(BLOGOS編集部・野村)
30日付日本経済新聞「空席率8~9割 急速に鉄道離れ」
30日付の日本経済新聞(朝刊・5面)では、高速鉄道の運行を再開したとはいえ、事故の影響で利用者離れが進み、収入減の恐れが出てきたと報じる。29日午後の上海虹橋駅。6月末に開業したばかりの北京までを結ぶ最新型の高速鉄道「中国版新幹線」の乗客はまばらだった。北京まで途中2駅に停車する列車と、途中6駅に停車する列車の2便の30日から1週間の予約状況は空席率が8~9割にのぼり、開業直後の熱狂は薄れた。
この他にも、ある証券会社からの「北京-上海間の航空便の搭乗率が高速鉄道開通以前の水準に戻った」との調査を引用し、記事内では主に、事故が高速鉄道の業績を悪化させる可能性について述べている。
また、鉄道省の総資産に対する負債比率が58%(2008年=47%)に上るとのデータを示した上で、鉄道省解体論も浮上するなか、中国紙「21世紀経済報道」は、ある国有銀行大手が事故発生後の26日に高速鉄道関連の融資先に対する与信管理徹底を緊急通知したと伝えた。鉄道省向けの優遇金利を見直す動きも出ているという。鉄道省にとっては金利負担が増し、収益力低下が懸念される。と伝えるなど、収益悪化と金利負担上昇の両面から経営環境の悪化を指摘する内容となっている。
31日付朝日新聞「中国高速鉄道、ほぼ満席 絶えぬ「速さ」求める人たち」
一方、31日付の朝日新聞(朝刊・7面)では和諧号(事故車両と同系統)の1つの車両を写した写真を掲載し、出張で同車両に乗る会社員の「利便性は捨て難い」とのコメントを引用し、乗客の多くが「(今回の事故が)1度起きた以上は、簡単には再発しない」と話したと伝える。
また、写真以外にも乗車率が堅調に推移している状況を伝える情報として、新華社によると、25、26の両日に走った135本の列車の平均乗車率は117%に達した。と具体的なデータを引用している。
両者の報道は180度に限りなく近く、違っているのではないだろうか。
なぜここまで極端に食い違うのか
両紙の参照データに着目すると、日経は「北京まで途中2駅に停車する列車と、途中6駅に停車する列車の2便の30日から1週間の予約状況」が「空席率8~9割」だったと伝えている。これはおそらく29日(金曜日)午後の上海虹橋駅で調べたものであろう。
また、当日の「中国版新幹線」の乗客は「まばらだった」と伝えている。
方や、朝日新聞は30日(土曜日)、記者が事故現場区間の「和諧号」に実際に乗車して中の写真を撮影しており、確かに、とある1つの車両がほぼ満席である状況は確認できる。
また、平均乗車率117%という運転再開後初日・2日目のデータを、中国・新華社通信からとはいえ引用している。
先週までは乗車率が堅調で、今週からは一気に空席ばかりになるというのは信じ難いところである。
また、日経・朝日以外にも共同通信が、朝日同様に車内の写真を撮影しているが、こちらはガラガラの車内を写しており、「事故列車と同じ福建省方面に向かう列車は、利用者の不安を反映してか空席が目立った」と報じている。
中国当局は報道規制を強化か
そんな中、「中国中央テレビ」の報道番組が鉄道省の事故対応を厳しく批判したとして、担当プロデューサーの王青雷氏が停職処分となったことを、各紙が30日付・香港紙「東方日報」を引用して報じている。
王氏はミニブログにも「強権を恐れず不正をただす記者が一人でもいれば、その国家にはまだ魂がある」などと書き込んだとされ、多くのネットユーザーの支持を得ていたようだが、共産党中央宣伝部によるメディア監視強化の一環で処分されたとみられる(31日付・読売新聞6面、毎日新聞7面など)。
31日読売新聞6面はさらに、中国紙記者の発言として、当局が鉄道事故関連のニュースについて「インターネットのニュースサイトにおけるトップページへの掲載は不可」とする規制が実施されたことを伝えた上で、関係者によると、中国紙・新京報が30日付の紙面を大幅に差し替え、新華社通信の記事だけを掲載することになったほか、事故を詳報してきた中国青年報も事故絡みの記事を一切掲載しなかった。他の有力全国紙も新華社の記事だけを載せ、事故の情報は突如途絶えた。中国中央テレビも30日、事故をほとんど伝えず、東京の地下鉄駅で起きたエレベーター事故などを報じている。と、中央宣伝部による報道規制の厳しさを伝えている。
こうした状況下において、日本の記者が現地から伝える情報は非常に有益ではあるものの、今回の報道のように大手紙で内容が大きく分かれるとなると、読者としては判断に悩んでしまう。
日本の新聞では唯一産経新聞がきちんと報道しているのでないだろうか、他の新聞はちょっと疑問が残る。最近は東京新聞がかなり真実の報道に取り組んでいると聞きます。実際、偏向報道に嫌気が指した人々が次々に東京新聞を購読しているとも聞きます。
人の良さゆえに、一部の韓国や中国に毒されている人々もそろそろ目覚めてくる事かと思います。