2021年もあと半月。

振り返れば、やっぱり今年も

ショパンから
そして
音楽という存在から

たくさんの喜びを与えてもらった1年だったと、しみじみ感じている。



演奏会に行った想い出は
ここに記してきたとおりラブラブ

"感"性が"動"くと書いて
"感動"ーー


素晴らしいピアニストと
素晴らしい音楽に出会うたびに

私の感性は動かされた。









少し前にはなるのだけれど、
この秋にも、とある演奏会へ出向いた。

古典楽器(フォルテピアノ)の魅力を知るべく

川口成彦さんの
フォルテピアノリサイタルシリーズへ赤薔薇


あらためて

ショパンの魅力と
ピアノという楽器の魅力を実感した1日だった。


























会場は

フェニーチェ堺(小ホール)














初めて見るあの〈プレイエル〉に
聴衆は釘付け..おねがい














ショパンは体調が良い時は
プレイエルを好んで弾いたと言われている。

(それだけ
コンディション良くないと弾けない楽器だったということ

すぐに完成された音が出るわけではないけれど
音色・表現・ニュアンスに限りなく拘ることが出来る楽器で

特にパリに渡って以降のショパンの創作活動はプレイエル無しには成立しなかったのではないかと考えられている。





まず、現代ピアノとの明確な違いが
幾つかある中で

ハンマーの上がり下がりの仕組みが
大きく異なるのだそうだ。


現代ピアノは
ダブルエスケープメントといって

ハンマーが下に下がり切らなくとも
上に上がってきてくれる作りになっているのに
対し

フォルテピアノは
ハンマーが下に下がり切らないと上に上がってきてくれない。



だから

同音連打のバッセージなんかは
機械的に高速で弾くことができないので

必然的に
よく歌わせて奏でないと音楽にならない
という現実があり

やはり

あの数々の素晴らしい名作たちと、いわゆるショパン的情緒と美は、

"当時の楽器ありき"で生まれたものなのだなあと思い知らされた。





この日は

フォルテピアノと現代ピアノの違いを
わかりやすくするためか

プレイエルの隣に
ファツィオリも用意してくれていて

聴き比べができてすごく良かった♪












フェニーチェさんのこの↑ファツィオリ
個人的に大好きなので

耳が幸せだった♡









プログラムは、こちら



ショパン: ワルツ第2番 op.34-1

アダリッド: 祖国の思い出(24の無言歌集より)
       愛の哀しみ(24の無言歌集より)
       ラメント op.9

ショパン: ワルツ第7番 op.64-2
                   幻想即興曲 op.66
                   バラード第1番 op.23

ー休憩ー


ショパン: ピアノソナタ第2番『葬送』op.35

アルカン: 波打ち際の狂女の歌
      幻影/嘆息/ないしょ話/舟歌
      戻らぬ時間/叱責/戦慄/小スケルツォ
      夢の中で/荒れ模様









アダリッドとアルカンは
初めて知る作曲家だったけれど、

どちらもショパンと同時代に生きた人物であり彼からとても影響を受けているのがわかる曲風で楽しめた。




ショパンの曲のうち、
プレイエルで演奏してくれたのは

ワルツ2番
ワルツ7番
バラード1番
ソナタ2番



なかでも
印象的だったのが

バラード1番だった。


昨年末〜今年初めにかけて
最も練習した曲がこの曲だったので、

モダンピアノで弾く場合との違いが
よく伝わって

記憶にのこっている。





先程書いた
ハンマーの作りの違いに加え、

ペダルの踏み方の違いもまた
興味深い点だと思った。


現代の私たちはピアノを弾く上で

ダンパーペダルをかなり細かく繊細に
踏みかえる必要があるのに対し

フォルテピアノは
音の減衰速度が速い為、そこまで細かく踏まなくとも濁らないという特徴がある。


ショパンが書いた楽譜は
当然のことながら

フォルテピアノで弾くことを想定した指示になっているわけで、

その前提を理解した上で楽譜を読み解かなければ、ショパンの求めた美しい音楽は到底再現できないとわかった。






川口さんのバラードは、
緩急の落差がかなりくっきりとしている演奏だった。

じわっと歌わせる部分はかなりゆっくりなテンポだけど、中間の展開部やコーダは超超高速回転!メラメラ

たぶん川口さんのコーダは今まで聴いた中で1番高速だったかたもしれない(笑)

プレイエルで弾くと余計そうなるのかもしれないけどね^_^;


モダンピアノのように残響があまりない分、奏者の技術がより問われる楽器なのだろうと想像する。




ちなみに、ご存知のとおり

川口さんは
フォルテピアノショパンコンクールで
第2位を獲得したキャリアを持つ
古典楽器の達人だけあって

生で聴いてみると一層
そのすごさがわかった。


ソナタ2番は
今年5回目の生拝聴だったけど、

ヤノシュ氏
反田くん×2
牛田くん
(笑)


プレイエルとソナタ2番の相性がめっちゃ良い!
ということを知る機会になった。

モダンピアノで聴くより私は好きかも。



そもそも古典楽器って、
アンティークみたいに

そこにあるだけで歴史を物語ってる。


家具はもの言わないけど
楽器はもの言う(鳴る)ぶん
さらに一層

時空を超えてやってきた生きもののような?(笑)
少し畏怖の念にさえ近い感覚で、

パワースポットにある大樹を見た時に感じるあの気持ちと同じ何かを感じてしまう。



















開演ぎりぎりまで入念に調律をされていたのもまた印象的で、

この歴史的遺産をいかに守り愛していこうかという真心のようなものを感じた。


ショパンもきっとすごく喜んでるだろうな..ピンクハート

























2021年も
相棒のように音楽を共に共有してくれた先生

振り返れば
にんまりしちゃう思い出ばかり..ラブ

今年もどうもありがとう。

















誰かと分かち合うことで
心に遺る温かいものがあった。

何事においても、そうだった。




今年最大のショパンイベントであるショパンコンクールも、

今振り返ってみれば

そのプロセスを
立ち会い人として見届けた自分が感じた様々な感情を

先生や心知れた人たちにシェアできたからこそ
素敵な思い出として残ったのだと思う。


1人でただ見ているだけでは生まれ得なかったもの..

それは目には見えないけれど
ここから湧いて出る温かな確かさ、だった。






ポーランドに住む従姉妹のEmiも
一緒にショパンコンクールを共有してくれたひとりだ。


今回の、彼女とのメールのやり取りで

私はなぜこんなにも自分がショパンを好きなのか?
それにあらためて気づかされる瞬間があった。





↓↓














彼女が
「私の第2の故郷は日本。それがとても誇りだよ。どうやったら、こんなに大きなコンクールで弾くための完璧な準備ができるんだろう!音楽性、そして繊細さ。日本人は芸術分野において非常に偉大よ。」

そう言ってくれたことで
ふと自分の中から湧いてきたこと、

「私も同じだよ!私の第2の故郷はポーランド。なぜならそこに家族がいるから!
子どもの頃からずっとポーランドに親和性を感じてきたし、私がショパンを愛し始めた理由はまさにそれだったんだよ。」

...




"ポーランドという国に大切な家族がいる"

物心ついた頃からその認識が確かにあって
私にとってはまるでもう1つの故郷のような
そんな感覚を

ポーランドに対して持っていたのだった。


猫はコット
象はスウォーニ

小学生の頃は
いつか従姉妹たちと会話ができるようにと

ポーランド語の単語にも興味を持ったりしていたし、行ってみたい国は?と聞かれれば必ずポーランドと答えていた。


そんななか

ある日、ポーランド人音楽家のショパンの存在を知ることになる。


従姉妹たちは幼少期からヴァイオリンを習っており小学校からは音楽院に進学(今2人はヴァイオリニスト)、
彼女らの母親はピアノをやっていたので叔父がこちらへ帰国する際のお土産はたいていクラシック音楽のCDだった。

バッハやモーツァルトをくれた時もあったけど、数としては圧倒的にショパンのものが多く、これがきっかけとなり、私はショパンの音楽をよく聴くようになったのだと思う。












(むか〜し貰った
ポロネーズ集とプレリュード集
1989年初版もの)













気づけばいつもすぐそばに居たショパンと
その音楽は

私の悲しみや痛み、孤独に寄り添い
そっと背中を推してくれるような

欠けがえのない存在になっていた。




最近も、練習中にふと

『ショパンは私の永遠』ーーそう想った日があった。

それは、

打ち上げ花火のように華やかに舞い散る喜びではなくて
線香花火のようにじんわりと心と身体に広がる喜びで

つまり私にとっては

ドーパミン的幸福ではなく
セロトニン的幸福なんだなあと

実感した。


ショパンに再会してから
それまでトラブル続きだった身体が日に日に健やかになっていっている理由はここにあるのかもしれない、と思った。





ショパンの音楽には、
日本で生まれ育った私たちにはとても親しみやすい要素がたくさん詰まっている。

私は日本の和歌が好きなのだけれど、

ショパンのノクターンなんかには非常に和歌との親和性を感じたりするし

ショパンの音楽は文学作品だ、と言っている人がいたけれど

まさに

それもそのとおりなんじゃないかと思ったりする。


先生にその話をしたら、
"侘び寂び"の概念とも何かしら通ずるのかな?と言うので

それも!まさにまさに

そのとおりだと唸ってしまった。






ショパンの音楽の持つ
寂しさや嘆き、閑寂さには常に
美しさが宿っている。ーー


千利休がもしショパンを聴いたらどう言うのか?ちょっと聞いてみたい気もするけれど(笑)


"日本人とショパン"と題して探求を深めることは想像以上に素敵な発見があるのではないかと思うし、

何故こんなにも日本人がショパン大好きなのかも同時に紐解けるだろうから

そういう観点からも今後
ショパンを考察してゆけたらおもしろいと思う。





いや、だってさ。

日本とポーランドの血を分けた従姉妹たちに
いつか、そんな話が出来たならきっと

すごく喜んでくれると思うから..

ね。




幼い頃はハーフということでちょっぴり辛い思いもしてきたと言っていた彼女たちだったけれど、

日に日に
そのことがむしろ誇りになっていっているようで、私もとても嬉しいし

さらに今後も

日本の素晴らしさと
ポーランドの素晴らしさの両方を
互いに確認し合ってゆけたら幸せだなって思うから。


















Emiの所属するオーケストラ
in ザモシチ














Emiは
結婚相手も音楽家(チェリスト)で
お義父さんも音楽家(ピアニスト)。

そして今
オーケストラと音楽学校を創っている真っ最中で、ザモシチの町を代表するくらいビッグなコンサートホールも同時に建設中キラキラ


2児の母でもある彼女は今超多忙とのことで
1日24時間じゃ足りない!って言ってるけれど^_^;

本当に、心から尊敬する。


いつか必ず日本に来て
コンサートをひらいてね。。


桜



















秋に行われた
コンマスオーディションで見事
選抜され、

立派にコンサートマスターを務めているようで喜ばしい限り♡♡


彼女と彼女の家族みんなの夢が
実現していきますように、

私は心から応援しています。







(ザモシチの冬)












異様な世界的状況になって以来、
あらゆるシーンでオンライン化が進み

良かった面もある一方で

"感覚から享受できる豊かさ"に触れる機会が絶対的に減ってしまったという現実がある。



"感覚から享受できる豊かさ"って

"感性が動かされること"を指している。

つまり

"感動"って
場の持つ臨場感が生んでくれる賜物なんだと思う。



音楽(エンターテイメント)こそ
もののリアルを忘れてはならない。

繰り返しにはなるけれど
あらためてそう強く感じる。


実際にホールで聴く音楽は
端末を介して聴くそれとは全く別物であり

今年もそうだったように
来年もいーーっぱい


生で
ホールで

素晴らしい芸術に触れたいと思う。


全身で
感覚で

豊かさを享受したいと思う。







私の
2021年最後の演奏会は

クリスマスイブクリスマスツリープレゼントピンクハート


昨年同様、先生と共に
奈良やまと郡山城ホールへ行ってきます。

















昨年もクリスマスイブにご縁のあった
務川慧悟くんヽ(^。^)ノ
JNOコンマスの岡本誠司くん

ハートハート


個人的には
めっちゃ好きな組み合わせなので
楽しみすぎる♪

今年のクリスマスは
どんなギフトが待っているかなぁ♡


体調整えて
Happyな1日にしたいな虹






ではでは
みなさまも健やかで..


I wish you a merry christmas 
and a happy new year!

(*˘︶˘*).。.:*♡




yu-co