ある日のこと。


爽空は自室で錬金術書に目を通していた。


何となく錬金術の勉強をしたくなったのだ。


「人を錬金術で構成することは出来ない・・・・。」


平民の爽空に、値段の馬鹿高い錬金術書など買うことは出来なかった。


これは友人から貰った古いものだ。


本の角は削られ、ページは日に焼け色あせていた。


ふと外に目を移した。


気味の悪い紫色の雲が、空を埋め尽くしていた。


そうやらここら辺だけらしい。


港町は青空だった。


「(気持ち悪い・・・・)」


本をパタン、と閉じたその時。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


悲痛な母の叫びが、爽空の耳に聞こえた。


本を投げ出すと、爽空は真っ先に声の方向へ向かった。


どうやら玄関の外らしい。


「母さん!!!」


玄関の戸を開けると、そこには父に支えられようやく立っている母。


その奥には、愛しい妹と見知らぬ男が1人。


「お兄ちゃん!!!!」


「曖歌莉!!!」


曖歌莉の元へ走り出す。


しかし。


「な・・・・んだ・・・・・・?」


突然爽空の身体を、原因不明の痛みが襲った。


「っ!!!」


そこに倒れ込む爽空。


「お兄ちゃん!!!」


「ちょっと黙ってくれる・・・?」


白く細く折れそうな手が、曖歌莉の口を塞いだ。


「何?この子のオニイチャン?」


長い髪を緩く結い、簪を差した髪。肩が出るまでに解けた着物。


そして、喋るだけで威圧がかかる声。


「イモウトも綺麗だけど、オニイチャンも美形だよね。」


真っ赤な唇を、三日月の用に歪めた。


「どぉ?オニイチャンも僕のコレクションに。」


爽空は激痛に堪え、喋ることも出来なかった。


「あ、僕ね瑛魅鳥っていうんだ。綺麗なもの好き。」


瑛魅鳥は、楽しそうに目を細めた。


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