のどかな村の、一面に広がった花畑。
赤・桃色・黄色・黄緑が、鮮やかに混ざり合って出来ている。
その花畑に見える濃い金髪の少女。
年はまだ13~15ぐらいで、長い髪を2つに結っている。先はくるりと巻いてあった。
両手には桃色の花を抱えている。
彼女の名は、知和(ちわ)。この村外れに母と2人きりで住む少女だ。
彼女の日課は、この花畑で花を摘み、幼い頃に亡くなった父の墓に持っていくことである。
「早く帰らないと、お母さん心配するかな~?・・・えへへ!」
少女は両手に桃色の花を抱えたまま、花畑を駆けていった。
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「ただいま!」
父の墓にも花をあげてきて、上機嫌で帰宅した知和。
「お帰り、知和。」
それを和やかに出迎えた母。
母は今まで、女手一つで知和を育ててくれた。
知和の唯一の肉親だ。
知和は母に今日の昼食を聞くと、真っ直ぐに自分の部屋へ戻った。
そして、ごそごそとベットの下を漁る。
そこから出てきたのは、薄い茶色の紙に包まれ、藁紐で結ばれた何か。
知和は鼻歌混じりで、その包みを開けた。
「しばらく拭いてなかったな・・・・・。」
包みを開けると、一本の剣がそこにはあった。
刃は銀色に光り輝き、柄の部分は青・赤・緑の硝子玉で彩られている。
柄は金色の光を帯びて、龍の姿が彫られている立派なものだ。
「御免ね・・・お父さん・・・・。」
その剣は知和の父の物であり、彼女にとっては宝である。
知和は白い布を手にすると、丁寧に拭き始めた。
硝子玉は卵を扱うように優しく拭き、彫られた龍をなぞるように拭いて行く。
全て父に習ったやり方だ。
そんな知和は刃に彫られた文字に気付く。
此処何年か刃を拭いてきたが、どうやら気付かなかったようだ。
よく擦って、その文字を読みとる。
「我が・・・・信頼なる・・・・んーと??・・・・兵士かな・・・に授ける・・・・・何コレ。」
滑らかなアルファベットで彫られた謎の文字。
『我が信頼なる兵士に捧げる』
「第81代帝王・・・・?」
更に、現帝王の名前まで彫られている。
「え?これ、今の帝王から送られたもの・・・・・?」
何故それを父が・・・・・?
まさか田舎で住む平民の父が、帝王と知り合いだったワケがない。
父が盗んだもの?
信じたくない言葉が、ぐるぐると頭を巡った。
知和は台所にいる母の元へ駆けだしていた。
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