昔、私はとある大きめの機械の横で仕事をしていました。

それにはベルトコンベアーが付いていて、

その近くにはお客様も普通に近寄る事が出来、

もちろん、子供でさえも触る事が可能な場所にありました。


ベルトコンベアーがくるくる回るので、

子供は楽しそうに触ろうとしてきます。

もちろんその状況や子供と機械の距離にもよりますが、

そういう時、私は「危ない!!!」と、

子供がビクっとするくらい、

わざと大きな声で注意する事にしてました。


そのやり方は、職場の人全員に

受け入れられるものではありませんでした。


でも、事故が起こるのはいつでも一瞬で、

そうなった時、大人が責任の所在で騒いだところで、

子供の痛みを代わって上げる事は誰にも出来ません。


その瞬間に多少でも大声で「危ない!」と言う以外、

1秒以内に子供を危険から遠ざける手段はありません。

優しく言葉を選ぶと、それだけで5秒10秒かかるからです。


その場で泣かれようが何しようが、

子供を大きな危険から守る事が出来るのであれば、

迷い無くそうすべきだと思っていたからです。


だから私はいつでもそうしていました。

だけど受け入れられないから、

そのやり方は職場では定着していませんでした。



そしてある日、事件は起きました。

子供の手が機械に巻き込まれたのです。


かなり大きな事故だったのですが、

どのような経過からか、

その後詳細を聞く事はありませんでした。






似たような図式は、かつて産科訴訟問題が、

相次いだ時期にも見られました。


母子共に残念な結果になった時、

マスコミがそれを不完全な知識でバッシングし、

世の中の「常識ある」方々の気持ちが勝って、

その後、産科崩壊が進む結果となりました。


人の命は尊いし、

ましてや新しい命を授かって、

もうすぐご対面というタイミングで、

想像出来なかった結果に直面する気持ちは、

一応私にも経験があるので、

少しだけでも理解出来る部分はあります。


今の世の中、たぶん常識に従って言えば、

そういう心が傷ついた人に向かって、

「その訴えは違うよ」と言う事も、

たぶんしてはいけない事なのかもしれません。


でもあの当時、それが出来ない空気があり過ぎて、

その後産まれてくるもっと多くの命の保証が、

相次ぐ医師の産科撤退という形で、

今もまだおそらく、失われ続けていると思います。






そこにある危険を知っている人は、

時として、声を荒げて人に注意を促します。

でも今は、その様子が常識にあってるかどうかの方が、

危険回避よりも重要視されているような気がしてなりません。


私も危ない場所をそうとは認識せずにぼんやり歩いて、

ものすごい勢いで怒鳴られた事があります。


それは明らかに私が間違っていたので、

むしろそれは、そう言って下さった方に感謝してますし、

それが出来るその方を素晴らしいとも思っています。


私の気持ちがどうであれ、

そこに存在する危険性には何も関係ありません。


本来その度合いに応じて、

危機回避は何よりも優先されるものでなければ、

最悪の事態というものが簡単に起こってしまいます。


でも今はそういうのって、正しい話になるのでしょうか?

それが最近、私には分からなくなっています。

だけど私は世の常識がどう判断しようが、

怒鳴って下さったその方が100%正しいとしか思えません。


優しく諭すように言われたって、

大抵の場合、頭に入る事はほんのわずかで、

でもそこにある危険は、私が理解する時を待ってくれません。

その人に毎日会って、何が危ないのか諭してもらう時間もありません。



どちらが正しいか何かを論じる時間があるかないか、

その判断は、そこにある危機の大きさであるべきだと思っています。


「そういう言葉は受け入れられない」

ゆっくり時間を掛けられるものであれば、

それも考慮すべき大きなポイントとなるでしょう。


しかし、特に身体に危険を及ぼすような事象等、

本来一刻を争うような事にさえそれを求める傾向は、

自分達の首を絞めているような気さえしてなりません。


最近、国土強靭化計画を訴える人達の声も

結構荒々しくなってきてますが、

それはその裏にある、いつきてもおかしくない大災害や、

日本を食いつぶしている外国勢力の数々と、

国が弱体化に向かってるインフラの状態があるからで、

その様子を直接調べて訴えたい事だらけになってる人々が、

つい「まだアホがおる!」と言うのも頷けます。


でもそういう言葉づかいが悪くて、

グローバルや平和とかいう耳障りの良い言葉が良くて、

それで中身をよく見ないで好き放題言う人達が、

「常識ある人」というのであれば、

それはもう、世の中がひっくり返っていると、

やっぱりそうとしか思えないって事が、

最近特に、いろいろ目につくような気がします。




まぁ、もちろん、普段付き合いのある方に向かって、

年中そんな事を言うのもってのは肝に銘じるところですが、

でもやっぱ、おかしいものはおかしいです。


最近この辺が消化出来なくてくすぶってたので、

ちょっとここで吐かせて頂きました’(汗


お付き合い頂きありがとうございますm(  )m