夫のことが、フラッシュバックのように思い出される。


もう、忘れたいのに


同居していた最後の方は、夫の姿を見ると体調不良になっていた。


ずっと自分が弱いからだと責めていた。


だって夫といて、夫と子どもがいて、幸せなときも確かにあったから


でも、それは洗脳された幸せだった。


私は義母に「夫を洗脳した」と言われた。

(あ、言っちゃった、例のメール)


可愛い息子を洗脳した嫁、そう言われた。

(あんたの息子は洗脳される程弱いんか?自分で晒すか?)


でも洗脳されていたのは私だった。


生活費を握られていたから、頭を下げていつもお金をもらっていた。

2周間忘れられたこともある。

夫から、家族から、頭を下げてお金をもらう。

屈辱的だった、情けなかった。

お金は夫のお金だった、夫が稼いできた有難いお金だった。

最後はブチギレて使いたいだけ使ったけど。

これが良くなかったな、お金だけの嫁と思われている。

今もお金が欲しいんでしょ?あげないよ!という態度だ。

財産分与どうなるかな…稼ぎがない人間には死活問題だよ。


料理は美しくない、という理由で食べてももらえなかった。

家は高級居酒屋じゃない、定食屋でもない。

いくら頑張って作っても、「まぁ食べられる」が夫の最高評価だった。

いただきます、も、ごちそうさまもない。

晩酌するから永遠に終わらない食事。

ごちそうさまがないから、片付けのタイミングもわからない。

コロナ前はもう外食してもらっていた、それで丸く収まってたのに、コロナのせいで家に居る生活。


洗濯しても感謝もされず、靴下は丸まってる、服は裏返し。

その辺に転がっている、子どもか。


掃除しても、子どもは床に砂をまき散らす。

夫が帰ってくるまでに掃除できなくて、床が砂だらけと怒られた。


週7日で子どもと公園に行った。

夫はスマホをいじって寝ていた。


実は子どもは二人いる。

1人めのときは優しかったのに。

2人めになった途端に育児に参加しなくなった。


それを今さらいい父親したいのか。

私の苦労は何も認めてくれない人だった。


一言「ありがとう」と言われたい、と伝えたこともある。

言われたことはない。

からかわないで、馬鹿にしないで、とお願いしたこともある。

変わらなかった。

私がお願いしたこと、何も覚えてない。


結婚前に言っていたことと全然違う。

いつかは私の実家の近くに引っ越す約束だったのに、それもいつの間にか反故にされ。

俺のキャリア優先だ、と言わんばかりで東京永住が決まった。

私は東京の風土がどうしても合わなかった。


俺は出世に興味ないと言っていた。

だから私には出世する度に誇らしく報告する理由がよくわからなくて、一応お祝いはしていたが、出世してプレッシャーなのかな?と思っていた。

まさか「出世を祝ってくれなかった!」と怒られるなんて思いもしなかった。


あぁ、もう嫌だ、思い出したくない。

忘れたい。


でも幸せなときもあったのだ。

私が我慢すれば幸せだった。

我慢していることにも気づいていなかった。


私の呼び名は「嫁」だった。

今どき、家に入った人間だったらしい。

なんだか情けないな…

「婿」って呼んでやればよかった。

私が嫁なら、あんたは婿だ。


ああ、忘れたい。

忘れたい。


私が尽くしたことは、都合よく全部忘れられている。

もう悪の根源、敵と思われている。

悲しくて仕方ない。

私は精一杯頑張った。


もう本来の私に戻ろう、我慢はしない。