せっかく寄り道して本を買ったと言うのに・・・
10秒も置かずにメールが鳴るので亜季は少し戸惑いながらも
この絶え間ないメール攻撃をどうしようか困惑していた。
帰宅してから、例の30代の人にメールを返して
返信を待たずにお風呂に入り、ご飯を食べ、テレビを見てしばらくしてから
自室へ戻ってきた。
ピカピカと受信を知らせる携帯電話を片手に取り
買ったばかりの本を袋から取り出しワクワクしながらベットへゴロンと横になった。
「アキちゃんは高校生なんだね~今まで付き合った人はいるのかな?」
「まだ付き合ったりっていうのは無いんですよね^^; ララさんは?居るんですか?」
「自分は居たけどねーやっぱこの年だし 笑 色々してあげるよ★キモチ イ イ コ ト 笑」
(!?)
30代の人、通称ララさんはかなり過激な方らしく
ちょっとまって!と言いたくなるようなメールを平気で送ってくるような人だった。
アキはそれまで付き合った事もなければ、もちろん関係を持った事なんて一度も無い。
友達との会話の中でも「キス」と言う単語でさえ顔が真っ赤になってしまうほどだ。
それほどまでにまだ純潔で何も知らないアキにとって、ララさんとの出会いは衝撃的だった。
付き合うとなると、それはもちろん・・・
手を繋いだり、身体が触れ合ったり・・・キスしたり・・・それから・・・それから・・・
「ごめんごめん(;´∀`) ジョウダンだよ~♪」
返信しようにも、何て言葉を返せばよいのか頭が真っ白だったアキは
5分ほど頭がショートしてしまっていたようで、流石の過激なララお姉さまもこれはマズイと思ったようで
すぐにフォローのメールをよこしたようだ。
「アキちゃんは甘い物好き?美味しいケーキ屋見つけたんだよね~今日!
S駅裏の ブルーネってお店知ってる?」
それは駅から少し裏手に回った人通りの少ないカフェで
小さな看板がひとつポツンと窓辺に飾られているだけのお店らしく、
亜季も駅への近道として良く通る場所にあるらしかったが、全く気が付かなかった。
「そこのレアチーズがめっちゃくちゃ美味しくってさ~!
また行きたいな~(´Д`)可愛い子と♪ 笑」
ララさんはメールの文面を見る限り、随分明るくて人をグイグイ引っ張るような印象で
ちょっと強引なようだけれど、これまで周りに居ないタイプで
亜季は次第にララのペースにハマっていった。
自分が引っ込み思案で恥ずかしがり屋なものだから、こうして物事をテキパキと決めて
『じゃあ行くぞ!付いて来い!』という彼女の男っぽいところも何だかミステリアスで気になった。
ララからメールを貰った後も、掲示板で気になる人がいると
ナツの後押しもあって亜季は積極的にメールをしてみたのだが
メールを送った相手も、メールをくれる相手も
なかなか相性が合わずに、大概4日目でメールは途絶えた。
しかし不思議な雰囲気を持つララとのメールは数日続き
気付けば日課のように毎晩寝る前にメールをするようになっていた。
ナツやララとの秘密の友情関係が続く中
日常生活ではいよいよ学園祭の時期が近づいてきていた。
ナツもこの時期はその準備に追われ、同じように亜季も大忙しだった。
各クラスの催し物は、「風船の部屋」や「クイズ大会」「プレゼント探し」などなど
亜季のクラスは恒例の「オバケ屋敷」となった。
お陰で昼休みも放課後もその準備に追われ、
特に取り掛かりの遅かった亜季のクラスはすっかり日が落ちるまでの作業が続いた。
家に帰るとすぐにご飯を食べて、お風呂へ入ってベットへ直行・・・
メールをする体力もないほど消耗し切った身体はあっという間に夢の中へ吸い込まれてゆく。
そんな日々が数日続いたある日、珍しく亜季は早めに帰宅する事が出来た。
ナツとは、出し物の相談や雑談などでメールをする事も多かったのだが
ララとのメールの回数はすっかり減ってしまっていた。
申し訳ないと思いつつ、帰りのバスに揺られながら数日振りにやっとメールを送ることが出来た。
「こんばんわ♪最近メル出来なくってごめんなさい(;´Д`)文化祭もうすぐなんだー」
いつものようにご飯を食べてお風呂へ入って、ベットへ横になる時間になっても
ララからの返信は無かった。
あんなに仲良く慣れたのに・・・やっぱり怒っているのかな~
「怒ってる?ごめんなさい。ケーキ一緒に食べたかったな~」
何気に打った一言だったが、これが自分からのデートのお誘いになっているなんて
亜季は気付くこともなく、そのまま返信を待たずに睡魔に誘われ夢の中へ吸い込まれた。
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その日、亜季は夢をみた――
笑い合っているこの人は、背が高くてすご愛おしい人・・・
不意に、優しく抱きしめられる
心地よい・・・温かくて、このまま溶ろけてしまいそうなほど――
唇が重なるほどの距離まで近づいてくる・・・
彼女は笑って、亜季のほっぺに唇を当てたまま 何かを囁いた
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何かぼにんやりとした音が聞こえてくる・・・
目覚ましの音が遠くで聞こえると、気付いたと同時に
今見た夢がものすごくリアルで、切なくて
夢の中の彼女に恋しているような感覚になった。
名前どころか、顔すらよく分らなかったのに・・・
思い出すと胸が少し苦しい・・・恋しい?
メールが受信されているのにも気付かず
気持ちを落ち着けるようにバタバタと準備を済ませて
いつもより少し早く家を出た。
一人になって、もう一度あの夢の中の彼女を思い出したかったのだ。
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はーい、虹花です。
ようやく!ようやく出てきましたー!
何かを起こしてくれそうなキャラが!!
脳内小説なので誰が出るやら自分でも楽しみです♪
ホントはちゃんと構成考えてノートにまとめたいけど
誰かに見つかっちゃったらリアルでピンチですのねで 笑
今日も読んでくださりありがとうございました~★
