二宮敦人『サマーレスキュー 夏休みと円卓の騎士』(文藝春秋、2024)
『ソードアート・オンライン』のようにゲームの中にすっぽり入り込むタイプではなく、我々の身近にもあるようなオンラインゲームのお話。サマーレスキュー 夏休みと円卓の騎士 (文春e-book)Amazon(アマゾン)しかし、のめり込んで夢中になるとまるでゲームの中も現実に思えてくる。そこにも人間同士の出会いや交流があるから。私もRPGに手を出すとやめられなくなるタイプだから主人公の気持ちもわからなくもない。しかし、たびたびエネミー的な描かれ方をされていた主人公の母親の感覚の方が明らかにまともであるとも思う。ゲームにのめり込んで勉強などの日常生活がおろそかになっている娘を心配するのは当たり前。禁止とまでは言いたくないが、時間を決めて、節度を持ってやってほしいという親として至極真っ当な感覚で話しかけているのにその声が全く響かず、娘はゲームのことしか話さないという状況だったら気が狂ってしまうだろう。周りの友達がそのゲームに飽きて招待しても誰も来てくれなかったというのは可哀そうだけれど、私だったら正直「ざまあ」と思ってしまうかもしれない。普段ゲームをやらないので「たかがオンラインゲームに時間やお金を費やすなんて…」という感覚で生活しているけれど、ゲームの中に自分の「好き」が詰まった世界を創れるというのは一種の才能だし、色々なことに活かせそうだから、一概に否定できないなと思った。しかし、「たかがゲームなのにチートアイテム量産したりウイルス仕込んだりする奴が蔓延っているなら怖いからゲームなんてするもんじゃないな」とも思った。世の中には色々なゲームがあるけれど、そのもの自体の良し悪しや上手な付き合い方というのはよくわからないな。この物語ではゲームで生まれた友情に心を打たれてしまったけれど、実際はオンライン上で知り合った人とリアルで会うなんて抵抗があるし、というか、良くないと思うから、現実においてはもっと冷静にならなければ。