(短編)友達と恋人のあいだ29 | marymaryのお気楽日記

marymaryのお気楽日記

気ままに読んだ本の感想や短編などをかきたいです。コメント大歓迎です!

授業がおわり、帰る帰り道。



まだ連絡が取れない駿一郎。



恭子にこのこと言えばよかった。



きっと恭子なら、納得のいく答えを出してくれたに違いない。



絶対に相談しても拒否するような性格じゃないし、恐ろしいほど見通す



話をしてくれただろう。



でもだからいえなかったのかもしれない。



確実になりつつある何かが傷みに変わってしまうような気がして、、、、



一人で抱えてる、、、馬鹿みたい。



事実を知りたくなくて逃げてるだけなのかもしれない。



下北沢の駅を降りて迷わず足は駿一郎の部屋に向かっていたが、



気持ちは迷いで一杯だった。



深呼吸をして駿一郎の部屋へと歩く。





”きゃははは、何いってんだか~”





ひときわ響く声が耳に入ってきた。





”もう少し小さい声で話せって”





たしかにその通り。でも、、、



聞き覚えのある声。親しげな話し方。まさか。。。。





角を曲がって見たものは、駿一郎と笑顔の女性だった。



駿一郎は、私の顔を見ると動きがピタリと止まった。



私は何も言わなかった。ただ黙って駿一郎の顔を見た。



”どうしたの?駿一郎、知り合い?”



私たちと年の変わらないその子は親しげに駿一郎の肩をたたいて聞いた。



”ちょっとお前は黙ってろって。”



”なんでよ~別にただ聞いてるだけだもんいいでしょうよ~”



”いいからちょっと黙ってろ”



”仲、、、、いいんだね、、、”



無意識に言葉が出ていた。



”仲はいいわよ~相当仲いいわよ~かなり深い付き合いだからね~そうでしょ?”



その言葉を聞いたら、すべてが聞かなくてもわかったような気がして



元来た道に戻り、早足から徐々に走っていた。その場所にいたくなかった。



一秒でも早く去りたかった。





”あら?なんかまずいこといった?”



”かなりまずいこといったよ。だから黙ってろっていったのに、、、”



駿一郎は角まで行って優の後姿を見て立ちどまった。




つづく