いろんな疑問も迷いもいきどおりも正一郎の決め細やかな優しさの前では、不必要なものだった。
ときおりのぞく思いも姿をけした。
優しさは自分から与えるものだと思ってきた。
優しくしてもらうという期待をしながら、優しくされなくてもいいという半ばあきらめの気持ちがいつも相反していた。
正一郎の優しさは真理にとっては新鮮で忘れていたものを思い出させてくれた。
結婚を前提にした付き合いなので、会話の中にもたびたび”結婚”の二文字は出てきた。
それは女性にとっては未来を感じる嬉しい話。
自分の鎧をとってもいい、無理をしなくてもいいということなのかもしれない。
”私はいったい何に戸惑っているのだろうか?ただ過去の自分を捨てるだけでいいのに、、、”
空を見ながら思った。