過去のお話し⑫の続きです。
その人は4つ年下の大学生だった。
当時流行っていた出会い系サイトで知り合い、正直に話すと初めは身体の関係のある友達だった。
彼のことを気に入った私がストレートに気持ちを伝えることで彼氏彼女としてのお付き合いに発展した。
私は当時、大学生のことを誤解していた。
親の脛を齧って遊ぶために大学に通っている人ばかりなんだろうと思っていた。
だけど彼は志が高く、就きたい職業に向かって努力を重ねている人だったし、頭が良かった。
頭が良いだけではなく柔軟な考えができる人だったから、彼と会話することは絶妙に楽しかった。
私も気持ちよく自分の考えを話せたし、それに対して彼なりの考えをストレートに返してくれる。
彼の返してくれる答えはいつも整然としていて道筋立っている。だから頭の良くない私にもすっと入ってくる。
そして必ず光のある方へ結論づけてくれた。
彼の導き出す答えはまさしく彼そのもの。当時の私がまるで接することのなかったような人。
だからとても新鮮だったし、彼の存在、彼の人生を介して明るい世界を垣間見ることができた。
希望と共に健全に生きる彼が眩しかった。
風俗の仕事にいい加減嫌気が差していたのもあったけど、彼と関わるうちに私も陽の光のあたる生き方がしたいと強く思うようになった。
自分に何ができるかもわからない。金銭的な問題もある。
それでも、もう"此処"にはいたくない。
私はやっと風俗の仕事をやめる踏ん切りをつけることができた。
彼との付き合いもそんなに長くは続かなかったけど、彼にはとても感謝している。
続きます。
続きます。