Billy Elliotがとうとうクローズしてしまい、新規開拓を色々していまして、今迄ノーマークだった作品を見始めました。
なかでもこの、ウエストエンドの新作ミュージカルMrs Henderson Presentsはいろんな意味で衝撃的だったのでご紹介します。
はっきり言います。
子どもはこの作品見ちゃダメです!
ビリー・エリオットすら12歳未満は保護者同伴の決まりだったのにこの作品に何も制約がついてないのはちょっとびっくりでした。
なぜか?
女性の生全裸が出てきます!
それも複数の!
ついでに男性のノーパン姿も。
知らずに観に行ったら、多分喜ぶ人とドン引きな人ではっきり分かれるでしょうね。
ちなみに私にとっては皆さんスタイルがとってもいいので目の保養になりました笑
ダイエットの、いいお手本とでも言いますか(^^)
でも、けしてこれはストリップでも怪しい劇場でもありません。あくまでウエストエンドミュージカル作品の1つなんです。音楽はまるでディズニーランドのBGMかMGMのアメリカ映画のように軽快でとても明るいです。劇中劇のレビューがまさに1950年代のミュージカル映画を生で観ているかのような雰囲気でした。
詳しくは、名女優ジュディー・デンチ主演の映画「ヘンダーソン夫人の贈り物」を見てください。
これは、実在した大富豪の未亡人ローラ・ヘンダーソンがイギリス初のヌードレビューを上演させるために奮闘するという嘘のような本当のお話。劇場のウインドミル劇場も本当にあります。
ヘンダーソン夫人のキャラが1930年代の上流階級のおばあちゃんと思えないくらいぶっとんでるんですよ!
なんせ、趣味で買い取ったウインドミル劇場をヌードレビュー劇場にしたいと言い出した張本人なので。
それで、検閲官の目をくぐり抜けるために女性のヌードはあくまで裸婦像の絵と同じ芸術と言い張り、女性が一切動かないのを条件に上演を許させたのです。
だから、劇中でレビューのシーンがあると、もれなく背景にはパンツすら履いていない素っ裸の女性がポーズをして立っているのです!
ひゃー!
よかったら、"Windmill Theatre Girls"で検索してみてください。ミュージカルではなくて当時の踊り子たちの写真がわんさか出てきます。
ものによっては、もれなくトップレスなのでご注意ください。
こんなにも裸三昧のミュージカルなのに、不思議なことに照明のおかげか女性達はポーズをしたまま何もしないのでいかがわしくみえません笑
ぱっと見は確かにミロのヴィーナスみたいな裸婦の彫刻のようです。
ぶっちゃけ羨ましい体型をしてらっしゃいます。美しいです!
そして、ヘンダーソン夫人がなんでヌードレビューにこだわるのか背景を知ると、彼女が奇をてらっているわけではないことがわかります。
夫人は、第一次世界大戦で息子に戦死されてしまいます。息子の死後、彼の部屋を整理すると女の人のエッチな写真がでてきたんだとか。21歳で息子が亡くなるんなら一回くらい生の女性を見せてあげたかったと彼女は非常に後悔します。それで、若い兵士たちにヌードレビューを通して戦時中のささやかな喜びをあげられないものかと考えたのです(映画版より)。
…日本で全く同じことはちょっと考えにくいですが、なんかこの作品を観て、戦時中の宝塚歌劇団を思い出しました。
昔見たドラマにあったのですが、宝塚も戦争中も上演をできる限り続けたんですよね。暗い戦争の中で人々に楽しみを与えるために。ターゲットや内容は違うんですが、ヘンダーソン夫人も自分のヌードレビューを真面目に捉えていたんだと思います。だから、この劇場もまた、ロンドンで空襲真っ只中な時も公演をやめなかったのです。
いかがでしたか?
たとえ全裸が出てきてもそれを芸術的にうまく魅せ、さらにユダヤ人、戦争、ジェンダーなど社会派な内容も盛りだくさんなMrs Henderson Presents。
映画もミュージカルももっと評価されるべきだと思います。
ちなみに、6月18日が千秋楽なので次はいつ見られるかわかりません。
チケットは値下げしているし、当日でも楽勝で取れます。
観客の年齢層は他の作品よりも高めですが、女性の方が多いです。若い女性のグループも結構見かけました。
恥ずかしがらずに一回くらいは観ておいてもいいかもしれません。色んな意味で貴重な経験になると思います。
映画版で予習オススメ度★★★★☆
英語難易度★★★★☆
目の保養度★∞