ウォーキング・スタッフプロデュース

怪人21面相@下北沢シアター711、6日目ソワレ3回目拝見。

(E列上手寄り)

 

土曜の夜ということで、先行で申し込んだものの若干遠めのお席。

 

ようやく引きで全体を拝見できました。

遠めのお席も全体をゆっくり拝見できる良さはありますが、

今回のお芝居はリアルさを追求されているお芝居な分、

小物やら、セットやら、近くで拝見していた方が世界観に浸れますね。

 

 

この舞台は中々に面白い人間ドラマ。

 

白砂@俵木さん・幸村@木内さんと、

鳥羽山@小林さんと蓮見@石田さん。

暴力や権力といった力を行使する側と、

一般人としての生活に於いては力を行使される側。

2対2になりそうな背景の4人も

奇妙な連帯感と距離感で危ういバランスがとられていて、

時間経過や場面場面で様々な感情が乱れ飛ぶ。

 

白砂と幸村の

元公安刑事(飼い主)と暴力団員(飼い犬)の歪んだ師弟関係。

思いやりの欠片も見えない庇護者と非庇護者の関係でも、

どこか切っても切れない糸が見え隠れ。

最後には精神的な関係性の逆転劇もあり、

この2人の関係性が物語のベースを支えている。

 

幸村と蓮見、暴力団員と会社役員の不思議な馴れ合い。

終盤になって判明するどちらも「生まれ」という問題を抱えた2人。

歪な合わせ鏡のように時には気遣い合い、時には見下す。

このテーマも昭和な時代だからこそ、ですかね。

 

そんな二人にフラットな鳥羽山。

仕事柄、色んな人間と接することで差別とか偏見とか、

その辺りも無くなったのか、動じなくなったんですかね。

卑下する2人の間で確固として居る人。

 

そして自身の興味と探求心の末に、

“事件の先が見てみたい”

“リアルな体験をしてみたい”
ある意味で真っすぐに行き過ぎちゃった人。

 

自分の想いを貫くことに関しては、随分と狂っているのに、

幸村や蓮見への気遣いとかは普通の人なのが可笑しなところ。

 

深いお話な上に、不思議な関係性の男4人。

一人一人の背景を勝手に想像する楽しみもある作品なのでした。

 

 

 

さてと、個人的な解釈はこの辺にして、

鳥羽山さん@小林さんのキュートなポイントを書き忘れていたのでひとつ。

 

白砂「これから警察に行って欲しい」

鳥羽山「・・・・・・じしゅ(自首)っ?」

白砂「・・・ばか」

 

鳥羽山さんも可愛いボケっぷりなのに、

返す白砂さんの「ばか」も可愛いんだよーーーwww

 

「バカヤロウ」とかじゃない辺りがおっさん2人のやり取りに

客席あったまります。

 

シニカルさの笑いは幾つか入るものの、

明らかに笑いを誘うシーンはこれが一番じゃないかしら。

次点は「仲良くしようぜ、犯罪者同士」かなw

 

 

さて、明日の月曜日は千秋楽です。

あっと言う間の暑い夏が終わります。

「・・・自首?」を聞けるのもラスト1回。

楽しみたいと思います。