解雇されるほどのコピー。
さて、
そろそろ
反撃しても
いいですか?
というドコモ2.0の広告のコピーについて、
最近、立て続けに客先であの表現を
どう思いますかと訊かれた。
お客さん達には「インパクトがありますね」
とか「2.0ってどんな内容だろうかと
期待しちゃいます」とおおむね好意的。
グラフィックはau、コピーはソフト
バンクの方が似合いそうであるけどね。
反撃の矛先が
競合であるauやソフトバンク
であることは分かるのだが、
ソフトバンクのユーザーとしては
反撃される覚えがないのに
ケンカを売られているようで
なんだか困ってしまう。
新しい展開に向けての心意気は
買いますが、戦う気はないよ。
とはいえ、特に気にとめていなかったのだが、
ここにきて、この広告をバッサリ斬った方がいて、
ちょっと無視できなくなった。なぜあの方は
ここまで辛らつに斬ったのか。
それで、なんて言っているかというとですね…
★今回のなコピー(についてのな言葉)。
もし私がドコモの社長なら、
今回の広告を作った人を
解雇するでしょう。
大前研一さんのブログ「ニュースの視点」
より。
「トヨタの“謙虚さ”とDoCoMoの“傲慢さ”
から見える経営の本質」という5/18の記事の中で
大前さんはこの広告についてマーケティング上の
大きなミスであると述べている。
J-CASTニュース
でも取り上げられているので、
そちらもどうぞ。
詳しくは全文を読んでいただきたいが、
要点を言うとこうである。
この表現は同業他社を打ち負かす
ことだけを考えている。これは
経営学でいう「コンペティティブ・
リタリエーション(競合反発)」であり、
経営者が行ってはいけない戦略である。
業界収益をなくし、自分も相手も
血だらけになるだけという結果を
もたらすと大前さんは言っている。
巨人中心のプロ野球界の人気が
低下した状況と似ている気がする。
コンペティティブ・リタリエーション
という言葉は今回初めて知ったけれど、
実は少し前にこのことと関連する
記事を偶然読んでいてたので、
このタイミングにちょっと驚いたのだ。
かつてワコールの宣伝部長をつとめられ、
ヒット商品を連発、「ワコールの黄金期」を
作った人物として知られる、マーケティングの
専門家、三田村和彦さんは読売ADリポート
ojo(オッホ)の中で、広告する前に広告主が
決心すべきことについて12のポイント
を
挙げておられる。いいこと言ってます。
その10番目に「同業他社に砂をかけるな」というのがある。
広告を行うにあたって、自社だけが勝てばよいという考えは
持ってはいけないと言うことだ。
業界を価格競争の渦にまきこむリスクがあり、
業界全体を疲弊させることにつながることも
あるってことだ。(大前さんの考えと共通しています)
いろいろと反撃されてはいるが、これだけ
話題になればOKという広告業界内の評価ではなく、
ドコモ2.0キャンペーンがどのような成果を出すのかを
今後も気にしておきたいと思う。
NTTドコモの中村社長はナンバーポータビリティでの
不振を通信料や端末価格が高いというイメージが
顧客流出の原因と語っている。(5/31日本経済新聞)
今年の冬商戦から端末の割賦販売(ソフトバンクが今
行っている)を検討とか。
それも必要なことだろうが、
ドコモはもう一度、ポジショニングを行って
特異化、差異化を進めていく必要があるんじゃないかな。
単純に通信料、端末価格が高いから顧客が流出している
のではないと思うのだが。
通話料0円の広告でひんしゅくを
買ったソフトバンクもいつのまにかポジショニングを
行い、消費者の心の中に自らの強みを知覚させているしね。
あとは広告の表現で言えば、
広告も社員と同様にその会社の品を映し出すから、
注意を払う必要がある。ものの言い方って、
コミュニケーションでとても大切なんだし。