別荘に着いた

さほど遠くない郊外

こじんまりとした

綺麗な別荘…

村下さんは

"明日のお昼ころ
迎えに来るわ!
あっ、鍵空いてるから"

と言って

そのまま帰った…

オレは

汗ばんだ掌で

別荘のドアを開けた…

中に入ると

小さな暖炉があった

天井まである窓から

日射しが差し込んで

美しかった…

誰もいない

庭に出た…

白樺の木の間に

ゆうこはいた

長い髪が風に揺れている

細い肩がはかなく

佇んでいる…

オレは

駆け寄り

華奢なゆうこを

抱きしめた…

ゆ、う、こ…

涙があふれて

ギュッと抱きしめた

ゆうこも

泣いている…

オレの腕に

涙が

落ちた…

そのまま

ゆうこのあごを引き寄せ

キスをした

ふたりの涙が

お互いの頬に

流れた…

オレたちに

言葉など

いらなかった…