AIとは、試行錯誤を通じた機械学習により、
膨大な情報の中から因果関係の法則性を発見・応用し、
|電算機《コンピュータ》の応答を改善して課題を解決できる、
自動最適化型の|演算指示《プログラム》です。

人間は、高度な知性(知能)に基づく生活様式、
すなわち文明により発展してきました。
知性とは物事の間にある因果法則を発見し、
その原因に働きかけて必要な結果を得る能力です。

たとえば細菌などは主に餌があれば増え、
なければ死滅するだけですが、
人間は『種を植えて、苗を育てれば
また実が採れるのでは?』と考えたりします。

実際の関係は複数原因・複数結果や相互作用、循環関係、
不確実性や因果の連鎖(〝風が吹けば桶屋が儲かる〟や
バタフライ・エフェクト)もあり、広大で複雑ですが、
そうした因果の|網の目《ネットワーク》を利用する能力が知性です。

従来の|電算機《コンピュータ》では『こういうときはこうする』と
人間が|予《あらかじ》め考えて教えておく形での、
定型的な情報処理しかできませんでした。
しかし人工知能を導入すると、事情は変わります。

AI|演算指示《プログラム》を搭載すれば、課題を解決するために、
人間自身が『どうしたらいいか分からない』時も含めて、
機械が大量の情報から学習して判断する、すなわち
『こうしては?』と〝考える〟創造的情報処理ができるのです。

人工知能(AI)技術は農耕・工業・情報技術に続き、
文明の発展段階を分けるような〝画期技術〟だと思います。

AIが人工|神経回路網《ニューラルネットワーク》により発展したと聞き、
素人の私は初め新種の電算技術かと思いました。
しかし、それは動力機関と|電算機《コンピュータ》を、
同じ機械だからといって同視するような誤りでした。

現在のノイマン型電算機は初期型と異なり、
電気信号が通る経路を|演算指示《プログラム》により制御することで、
回線をつなぎ変えなくても機能を変更できるので、
AIはソフトウエア工学の産物といえるのです。

もちろんそれにはより良く演算・記憶・通信・
入出力ができる集積回路や外部機器の発達も必要ですが、
後で述べるように、AIはそれらを〝実現技術〟とした、
新たな〝画期技術〟とみてよいと思います。

電算とAIの関係は、農耕と動力機関の関係に近いです。
突きつめて考えれば、どちらの|組《ペア》も同じく
体外情報媒体か体外物質の利用なのですが、
それまでにない法則検出か動力抽出の方法を導入することで、
AIも動力機関も次世代の画期技術といえるまでに、
生産性を高めたのです。

これまでは人間にしかできなかった、
因果法則の発見と応用による知的活動、
すなわち人的|役務《サービス》を機械が支援できるようになる、
というのは大きな技術的飛躍でありましょう。

従来の様々な技術と同様に、危険を防ぎつつ活用できれば、
これまでは人間だけが行っていた仕事(問題解決)までをも
より良くできるようになるのが、AIの画期的利点であり、
そのことは文明にとって大きな意味を持つと思います。