コート・ダ・ジュールの村めぐりを満喫した日。

翌日は朝いちでボルドーに移動の予定。


数日間宿泊した、ニースの最後の夜となる。


今回の旅で私が何故、ニースを訪れたかというと、

もちろん一つには周辺を回るのには便利な場所であることがある。


しかし、もっともっと大きな理由があった。


暮らしの中の料理日記


約4年前、大学を卒業し、好きで入り、思いっきり仕事した業界を辞めて、

もっと好きだと感じた料理の道に進もうと決めた。


三十路独身、何の後ろ盾も保障もない。

これから自分の人生がどうなっていくのか、食べていけるのか、

選んだ道が正しいのか、間違っているのか、答えは誰にも分からない。


ワクワクする半面、不安でいっぱいだった。


会社を辞めるきっかけに、イタリアで料理を学び、

学校終了後、ヨーロッパを旅した。


そして、憧れだったニースに着き、

冬のはじまりのニースの海岸を歩きながら色々考えた。

もちろん考えはまとまらず、決心したのは一つだけ。


「いつかこの海岸に戻ってこよう、

いつになるか、誰と来るか、何も分からないけど、

戻って来られたら、今回の自分の選択は正しいものだった、って思うことにしよう」


そう決めて4年経たないうちに、この海岸に戻ることができた。


すべてが順調だったわけではない。

いっぱい壁にぶち当たったし、失敗もしたし、

ボロボロになるほど辛いことや悲しいこともあった。


でも、全てを打ち消せるのは、ここに戻って来れたこと。

あれからの全てのことに感謝しよう。


夏の日が暮れゆくニースの海岸、

ビール数本を飲みながら、そう思えた。


私をこの地に戻してくれた、全てのことに心からありがとう。
暮らしの中の料理日記


美しい日暮れを見ながら、なんだか涙がこぼれた。
暮らしの中の料理日記


まだ旅の折り返しでもない、旅は続く。


暮らしの中の料理日記

22時、賑やかなニースの海岸を去った。