自宅にいる時間が増えたため、過去に読んだ漫画や本を改めて読み直すことが増えた。

   私は幼少期から、読書の虫で両親に本を読みすぎて注意されるほどだった。  
   しかし、幼少期から、小学生の頃は漫画に興味がなかった。もっぱら、○○神話とか、惑星図鑑とかを好んで読んだ。

    しかし私に漫画のイカズチが落ちる!
山岸涼子、萩尾望都、竹宮恵子、吉田秋生。
彼女らの作品の、素晴らしさよ!中学生になりひっしにあつめていた。なんなんだ、娯楽じゃない、この、重く深い作品たちは!と震えたものだ。

   『私を月まで連れてって!』は竹宮恵子氏によるコメディ。そしてこれを私に貸してくれたのは父の姉だった。

    この作品の素晴らしいところは、どう考えても非常識だし、変人なキャラも多いし、ただ皆愛すべき個性を持つことだ。 

   アストロノウツのダンマイルド、主人公。
かれは宇宙飛行士なれどワビサビだとか、案外女好きとか、屁理屈やなのにかっこいいとか。美学があるのはわかるけど合理性はないとか(それが粋!と言う性格)
聖人君子ヒーローではなく、なんとなくダメさのただよう男。しかし、決めるところは、バシッと決める。
シティーハンターのモッコリ僚ちゃんに近い。


   もう1人の主人公、ニナ フレキシブル。彼女は幼女なのだが、エスパーで、宇宙で事故に見舞われたダンマイルドを救う。ニナはダンマイルドに猛アタック!好きになっちゃったのね……
最初からこんな。なんじゃそら!な展開なのである。


  この、作品の中で、人が生きる上での矛盾や切なさ、も描かれる、しかし、それが人生じゃないか!と前向きなダンマイルドがとてもヒーロー感がある。
  
  ダンマイルドの、ハウスキーパー。お八重さん。
このキャラクターは影の主人公だ。

  倫理的かつ合理的な判断と行動、お八重さんはスーパーハウスキーパーでロボットのしつけまでこなす。

   色んな、警鐘を含みつつ、暗く終わらない作風が、とても好きな作品だ。

    この作品の中のエピソードには実在の文学小説の話が盛り込まれていたり、コメディなのにやたらと学術的な部分も多い。

     どんなに技術が進歩しても、宇宙に行くことが当たり前になっても、人間の心のありようは、拗ねたり、嫉妬したり、不安になったり、大事な人との時間が大事だったり、そこは不変なのかもなぁ。


  

   竹宮恵子氏の作品は、重い?ものも多いが、
私を月まで連れてって!  は、ドタバタあり。哀愁あり。とても楽しめる作品だ。

    アウトロノウツ(宇宙飛行士)の男
     と
    ESP(エスパー)の女の子のドタバタ!
そして、スーパーハウスキーパーのブレない凛々しさ!

    とっても楽しい作品である。
叔母からもたらされた出逢い。
1977年から1986年の作品であるが、色あせない。