2月は断捨離で服を10着捨てる事を目標としていた。3年以上着ていないアウターから捨てる事にした。ここ10年ほどミリタリー系の服がメインになっている。本物に拘ってきた。ミリ服の本物は意外に安い。むしろアパレルメーカーのミリタリー風な服よりも本物の方が安かったりする。特にデットストック物は狙いめだ。数年前、フランス軍のミリ服にハマった。F2ジャケットやフィールシャツやハーフコートである。タグに服を生産した街の名前と製作した『年』が記載されている。中には1968年(私が2歳の頃)、フランスのある街(ネットで調べたらフランス田舎の街だった。生産地が『パリ』の物のもあった)で作られた物があった。フランスのどこかの倉庫に50年以上も大量に眠っていたのだろう。おそらくそれをバイヤーが買い付けたのだ。本物のミリ服は大量生産品であるため価格が安いのである。まして倉庫に眠っていた物だ。本物のミリ服は実に機能的(ポッケや風避け等)で丈夫である。まあ戦場で使うのだからね。本来フランス軍の兵士の誰かが着る為に作られた服が、50年の時を超えて日本人の私が着るのだ。なんかロマンがある。

 

 ミリ服は各国の物があるが、フランス軍のミリ服はオシャレなのである。シルエットは細身で、襟やポケットの形がカッコいい。アメリカ軍のミリ服は汎用性があり、丈夫だが、形がボックス型なので野暮ったいのである。フランス軍の半袖のフィールシャツはもう8年も着ているがまったくヘタっていない。F2ジャケットも6年以上着ている。胸の斜めのジッパー付のポケットは実に機能的である。フランス軍のパラシュートパンツも履きやすくて気に入っている。ミリ服の話が長くなってしまったが、ミリ服にもお国柄が出るのである。

フランス軍やイタリア軍のミリ服はオシャレである。旧共産圏や北欧のミリ服も独特の尖った感じがあって、結構オシャレである。本物のミリ服は安く、機能的で丈夫である。また歴史と巡り合わせを感じるロマンがある。ただし興味の無い人(大半か)から見ればただの作業着にしか見えないかもしれない。もちろんフォーマルな場所で着る事はお勧めしない。

 

 ミリ服の話が長くなってしまったが5着を捨てる候補に挙げた。古いビジネススーツも2着あった。なせかビジネススーツは捨てられないのである。普段は着る事が無いが、もし、今稼働しているスーツが破れたりトラブルがあった場合の予備として、とっておきたいのだ。今稼働しているスーツは3着で予備が2着である。

 

 しかしここで事件が起きた。なんと稼働しているスーツ2着のズボンの後ろが大きく破けたのだ。朝、出勤の為にスーツを着ようとした時に1着目のスーツのズボンの後ろが破れている事に気が付きショックを受ける。指ざわりで気が付いた。なぜ破れたのか原因は不明だが、ハンガーの内側の尖った突起(ズボンを挟んで止める箇所)に引っ掛かった状態で強く引いたのかもしれない。朝は忙しいのでズボンをハンガーから乱暴に引っ張る事がある。慌てて2着目に着替えようとするがなんと2着目もズボンの後ろが破れている。「アタタタ、ホーワッチャ!」思わず叫んでしまった。スーツが2着同時にトラブルになった。もう一着のスーツはクリーニングに出している。仕方無いので予備のスーツを着る事にしたが、長らくハンガーに掛けっぱなしだったため、形が崩れている。色も焼けた感じだ。稼働スーツ3着のうち2着がダメになった。虎の子の空母を2隻同時に失った艦隊司令官の気分だ。断捨離どころじゃねえ! スーツ買わなきゃ!!!

 

 翌日、会社からの帰りにスーツを2着買いに行った。店に入ると店員が「何をお探しでしょうか」と揉み手をしながら近づいてくる。「紺色と黒のスーツをください」私は間髪いれずに答えた。

普段はゆっくり何着も手に取って吟味してから購入するが、今回は焦っていた。店員が

無地の紺色と黒いスーツを持ってきた。光沢が上品で着心地が良さそうなスーツだ。生地も滑らかである。店員が商品の特徴を説明したが殆ど聞いていなかった。私は執筆中のネット小説の事を考えていた。店員の勧めで試着する。冷やかしではなく、買う気満々の客なので店員も対応が丁寧だ。試着をして寸法も合わせた。

「じゃあこれをください」

「ありがとうございます。お支払いは現金ですか、カードですか?」

財布の中には銀行でおろしたばっかりの、スーツ2着分の金額16万円入っている。現金で払おうと思った。

「幾らになりますか?」

「えーと、2着で袖直しが3500円ですので、24万9千円になります」

「えっ!!?」

<やべ、高い、1着12万円! 想定外だ。カードで払うか・・・・・・>

この店では見るだけのつもりだったのが勢いで買ってしまった。今更断るわけにはいかない。

 私が入った店は池袋の西武デパートにある『ポールスミス』だった。前から欲しいと思っていたブランドだが手が出せなかった。ポールスミスは見るだけで、もう少し安い他のブランドを買うつもりだったが焦りと勢いで買うことになってしまった。普段は『タケオキクチ』か『カルバンクライン』の7万~8万円のスーツを着ている。たまに9万円の『ブラックレーベル』だ。10万円を超えるスーツは初めてである。思わぬ出費だ。しかしポジティブに、10万円超えスーツのデビューと考える事にしよう。

 

 私は30代までは『アオキ』や『青山』や『コナカ』のスーツを着ていた。それもセール品ばかりだった。4万円を超えることはなかった。時にはダイエーの上下で19800円のスーツだったが不自由は感じなかった。スーツなど作業着だと思っていたからである。しかしある時、少し高いスーツを着てみようと思った。それは母の言葉がキッカケだった。35歳の時だった。急用(実家のパソコンがウィルスに感染)で会社帰り実家にスーツで帰った時だった。

「あんたいつもそんな安っぽいペラペラのスーツ着てるの? あんたも課長で部下もいるんでしょ。上司がそんな安っぽいスーツ着てたら部下の人達が可哀そうよ。こんな人の部下なんだって思ってるわよ」

母親の一言で意識が変わった。西武デパートに行って店員に勧められた『バーバリーブラックレーベル』のバンカーストライプのスーツを買った。8万6千円だった。袖が折り返しになっているオシャレなスーツだった。高い(私にとってはだが)スーツを着ると、スーツを雑に扱えなくなった。作業着だったスーツが意識して着る物に変わった。不思議と所作も変わった。気分も上がった。以来スーツは7万円以上のものを着ている。もちろんスーツの良さは値段ではないが、3万円のスーツよりは明らか着心地が良く、生地の肌触りも良かった。クラブのお姉ちゃん達は手触りで高いスーツか安いスーツかを見分ける事ができる。

「お客さん、いいスーツですね」

何回か言われた。エレベータの中で同じ会社の管理部門の若い女性社員に突然スーツの襟を掴まれ、ひっくり返して胸の裏側のタグを見られた事もあった。バーバリーブラックレーベルの特徴的なスーツを着ている時だった。

「結構いいスーツ着てるんですね。形がオシャレだからどこのブランドか気になったんです」

まあ悪い気はしない。

 

 それにしても断捨離を実行している時にスーツを2着買わなければならなくなってしまった。ズボンがダメになったスーツの上は捨てるか。でも普段使いもできるかな。ジャケットが2着増えてしまう。断捨離が進まない。何よりも悔しいのは予定外の思わぬ出費が発生した事だ。最近パソコンも調子が悪い。買い替え時なのか? 洗濯機も途中で止まったりして調子が悪い。シェーバーも変な音がする。電話機も留守電機能が壊れたようだ。家電製品が壊れる時は申し合わせたかのように一斉にダメになる。

 

PC「俺、そろそろ壊れるけど寂しいから誰か付き合ってくれよ」

固定電話機「おうっ、いいぜ、俺も長いし、もう疲れたわ。最近は仕事もあんまりねえし。

これでも昔は忙しかったんだぜ」

洗濯機「そういう事なら俺も仲間に入れてくれ。いずれ壊れるんだ、一緒に壊れようぜ」

シェーバー「俺も毎朝同じ事の繰り返しで飽きたよ。景気よく一緒にいくか」

PC「おい、コンポ、お前はどうするんだよ?」

コンポ「まだ耐用年数になってないからもう少し頑張るよ」

PC「お前は相変わらず真面目だな。もっとイージーに生きた方がいいぜ」

スマホ「俺は来たばっかりだからまだまだ頑張るよ。お前らの事は忘れないぜ」

 

 さて断捨離、レアなミリ服も着てない物は捨てるかな。メルカリとかに出す手もあるが面倒臭そうだ。スーツは来週に出来上がる。初めての10万円超えのスーツ。欲しかった『ポールスミス』。痛い出費だった事は忘れて気分をあげていこう。破けないように丁寧に扱わねば。いつかはヒューゴボスのスーツを着たいと思っている。

 

 執筆中だったネット小説「続 私とアイドルエイリアン『MM378戦記 革命士官ナナミ大尉』」の最終話を投稿した。あまりアクセス数は伸びていないが、全49話。文庫本換算で500ページ弱の作品になった。最初の作品にしてはよく頑張ったつもりだ。ネット小説は趣味として継続したい。季節はもうすぐ春。今週末の3連休は社員旅行で沖縄に行く予定だ。初めての沖縄だ。2泊3日の工程だが2日目はフリー(バスでの団体ツアーもある)にした。観光地より戦跡を巡りたいと思っている。もちろん一人だ。もしかしたらブログにアップするかもしれない。泡盛をしこたま飲みたいが我慢だな。

 

 私は桜が咲く頃(4月)一つ歳を取る(最近は開花が早くてすっかり散った後だが)。還暦まであと2年。社会人になってから、あっという間だった。光陰矢の如しだ。長々と書いてしまったが2月の断捨離計画は遂行中。3月の目標は何にしようか。そうだ、少し歩いてみよう。座骨神経痛で通勤以外はまったく歩かなくなってしまった。明らかに運動不足だ。お腹も出てきた。腹筋が割れていた5年前が懐かしい。5年前は休日に20Kgの重りの入ったリュックを背負って10Km以上歩いていたのだ。座骨神経痛の様子を見ながら、通勤以外で一月に30Km歩く事にした。休日に1日4Km歩けば達成できる。今の私には結構キツいけどやってみよう。もちろん無理はしないつもりだ。座骨神経痛を悪化させたくはない。とにかく早く春よ来い♪。

 

*最近写真が無い。つぎは写真を入れたい。