今日は中秋の名月なんだね
でもね、お山のトレイルは海から山から谷間へと霧が流れ込んでくるんだ。まるで滝のようだよ。
霧が立ち込めてお山のトレイルはどんどん暗くなる。
これじゃあ、お月さまに会えないなあ。
そう思いながら尾根に出ると、あ!
街の灯りをすっかり覆い隠した分厚い雲の上にポッとお月さまが浮かんでいたよ。
やあ、るうく、こんばんわ
会えて嬉しいよ、とお月さまはご機嫌だ。
ぼくの歩いてきた山も雲に隠れて見えなくなった。
マキちゃんが、飛行機に乗っているみたいだねって言うんだけど、ぼく飛行機乗ったことないからなあ
でもね、雲の上の神さまのおうちなら知ってるよ。
お月さまの反対側で金星がおやすみと言って雲隠れ
うわぁ、雲が足元からじわじわとぼくたちを覆いだした。
雲の中のぼくとマキちゃん
とっても静か
お月さまのまばゆい光が雲の水滴をキラキラさせながらぼくたちに降り注ぐよ
だあれもいない雲のなか、お月さまとぼくとマキちゃん
世界が青白くぼーっと浮かび上がる
尾根を降りると雲の下に出てきた。街の灯りが見えるよ
でもお月さまはかくれんぼ
中秋の名月、ステキな世界をありがとう